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6720 story

Alpha、最後の船出 99

ストーリー by Oliver
時代に先行しすぎていた 部門より

von_yosukeyan曰く、"ZDnet日本語版の速報記事によると、Hewlett Packardは、同社の販売するAlphaシリーズの最上位機種を発売する(/.本家の記事)
この新機種は、現行Alphaラインの最上位機種でEV7 (AlphaChip21364)を最大32CPUまで搭載するGS1280を超える、64CPUまでの拡張性を持った大型機。この機種をもって、HPQはAlpha新機種の開発を原則として打ち切り、IA-64/HP-UXへの統合を目指す。
思えば、AlphaはDigital Equipment (DEC)からVAXの後継プロセッサとして92年に発表された64bit/RISCプロセッサで、OpenVMSやDigital UNIX(OS/F1、現Tru64)の他に、WindowsNT、Linux、*BSDも稼動した。また、祖先となったVAXシリーズ(もっとたどればPDPシリーズ)は、本格的な32bitミニコンとして登場し、仮想メモリー、クラスタリングなどの新概念をいち早く採用して創生期のUNIXやWindowsNTなどに重大な影響を与えた。しかしその高い性能の反面、PCや他のUNIXプラットフォームとの競争に破れ、起死回生の策だったAlphaプロセッサのライセンス供給や、互換機戦略なども失敗しジリ貧の状態だった。また、DEC自体はCompaqに買収され、そのCompaqもHPQに買収されるなど激変し、Alphaの命運もその度に左右された。
DECが運営していたAltavista (現在はLinux/IA-32)や、Microsoft Terraserver (現在はWindows/IA-32)などのハイエンドシステム、NORADの防空管制システム、新幹線の運行支援システムなどのミッションクリティカルなシステムにも使われ、タレコミ者も大学時代Alpha/OpenVMSなシステムに随分とお世話になった。一つのアーキテクチャーが消えるのは寂しいが、スラドの諸兄のAlphaシリーズに対する思い出/文句などがあったらぜひ聞かせて欲しい。なお、Alphaシリーズは来年登場する予定のEV79が最終アップグレードとなる"

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  • by cassandro (6035) on 2003年10月19日 11時06分 (#417423)
     この3つが登場した当時、インテルのマーケティングとエンジニアの方とお話しする機会がありました。3種のCPUでAlphaが一番印象的です、と言った途端、「あんなもんは(うちなら)簡単に作れるんです!」と怒気をはらんだ返答を受けた事がありました。当時は相当にAlphaを意識していたのでは、と思いますね。

     この様な結末になったのは、マーケティングの方向性が第一と考えます。ワークステーションやハイエンドサーバの指向はPCという数売りの指向に敵わなかった、ということでしょう。

     多大な研究開発投資を伴う事業は、どんなに高くても買って呉れるお客が付いているか、マスプロダクション/マスセールスを指向するかのどちらかしか成立しない、が僕の持論だったりします。僕個人としては非常に悲しい事ながら、DECやAlphaの消滅は、当初から織り込まれていた事なのでしょう。
    • Re:Pentium, PowerPC and Alpha (スコア:2, すばらしい洞察)

      by saitoh (10803) on 2003年10月19日 15時15分 (#417484)
      マーケッティングの狙いが間違っていただけとも思えませんが。

      ワークステーション/サーバ用のCPU(で、PC市場などはねらわない) は、高い単価をつけないと開発費がまかなえません。 常時、PC用のCPUに比べ5割り増しとか、10割り増しくらいの 性能を維持できていれば「アーキテクチャが独自でも 高性能なら買う」という顧客が、商売が維持できる程度は 確保できます。
      アルファCPUは、途中まではがんばってたんですがねぇ。。 DECと違って独自CPUを持ち続けることにCOMPAQは執念を 持たなかったってことでしょう。

      親コメント
      • by cassandro (6035) on 2003年10月19日 17時16分 (#417519)
        >「アーキテクチャが独自でも 高性能なら買う」という顧客が、
        >商売が維持できる程度は 確保できます。

         でもないです。プロセッサビジネスもある意味自転車操業なんです。マスプロダクション/マスセールスで得られた利益をそのまま飲んでしまうならアウトですが、マーケティング主導の会社(インテルがその好例と考えてます)は開発投資に回す場合が多いのです。そして高性能化や当初は捨てて(半分捨てて)いたセクタを拾うとかをやって行くんですね。マスセールスが出来ない所は次の開発が出来なかったり、あるいは遅れたり、別セクタへの展開が出来なかったりと、段々アウトになって行くのですね。C/Pが悪くなってしまうのです。

         例外は軍用プロセッサです。「どんなに高くても買って呉れるお客」とは軍の事です、端的に言えば。もっとも軍用プロセッサが高パフォーマンスとは言いませんけど。パフォーマンス故に高価格でもその地位を末長く保てる民生品のプロセッサは、まあ、無いと思いますよ。SMP、クラスタ、グリッド、単プロセッサの能力不足を解消なり緩和する手法はあるのですから。

         こういう事を考えるのが、マーケティングです。PowerPointでお絵かきだけをやっているのがマーケティングでは無いです(そういうマーケティングって多いですけどね)。

         compaqがDECを買収した時には、もう勝負は付いていたと思いますよ。saitohさんが仰る所の「アルファCPUは、途中まではがんばってたんですがねぇ。。」、これ自体がマーケティングの失敗を如実に物語っていると思います。
        親コメント
        • by oku (4610) on 2003年10月20日 1時42分 (#417712) 日記
          compaqがDECを買収した時には、もう勝負は付いていたと思いますよ。
          ですね。 確か'96年頃だったと思いますので DEC がまだ DEC だった時期ですが、某大学付属某研究所で大量に Gateway の PC を導入して Slackware を放り込み、数値計算 etc. に使用しているところがありました。 「Alpha 使わへんの?」と聞いてみたところ、曰く「Alpha だと PC の三倍くらいの値段になるけど Alpha で PC の三倍以上の性能を出すのはしんどい」というお答えが返ってきました。

          私が機種選定したわけじゃありませんので真偽は定かではありませんが、少なくとも世間様にはそのように見られていた、ということでしょう。

          例外は軍用プロセッサです。
          (引用順を変えて申し訳ない) そういえば OpenVMS って米軍関係にユーザがいたような記憶があります。 出典が見つからない...
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      • by Anonymous Coward on 2003年10月20日 3時21分 (#417739)
        DECと違って独自CPUを持ち続けることにCOMPAQは執念を持たなかったってことでしょう。
        じゃなくて、社風の変化に嫌気がさしたチーフアーキテクトを含むAlphaの技術者集団がAMDに移っただけ。Alpha、Digital、ってこのストーリーでは騒いでるけど、人材面で見るとAMDがその後継的な位置付けになってることに誰も触れないのがいかにも/.Jらしいですな。歴史的に見ても、CPU設計においては、どの会社が開発したかより誰がチーフアーキテクトだったかの方が重要なのは明白なのに。
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        • by saitoh (10803) on 2003年10月20日 11時52分 (#417849)
          当然AMDのことは承知していますが、DEC/alphaがダメになったから 技術者がAMDに移ったのか、技術者がAMDに出ていったからalphaが 失速したのか、どっちなのか知らないので書かなかったのだけど。

          alphaが速かったのは、CPUクロックがどうのこうのというだけでなく、 バススピード(EVバスだったっけ?)が(当時のintelPCより) 速くてチップセットも がんばって作っていたというのが大きい。 今は、AMDが継承してますねぇ。

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  • by Anonymous Coward on 2003年10月19日 15時15分 (#417485)

    Alphaといえばとにかく、動作クロックが速いCPUという
    印象でしたね。PCが66MHzが主流の頃に、
    WindowsNTが動いて500MHzでしたから相当驚きました。


    その数年後、大学の研究室にAlphaマシンがやってきたので
    相当期待期待したのですが、Alpha用にコードを書いてやらないと
    汎用コードで動かす型落ちのSUNに負けてしまうという
    欠点が発覚・・・。


    したがって、誰でもプログラムを組めば速さを享受できるほど
    甘くはなく、また、過去のプログラム資産が役に立たず、
    そういう意味では非常に使い難いマシンでした。
    ちゃんと書き直してやると、すごく速かったのですが・・・。
    乗り手を選ぶ、レーシングカーの様なマシンでした。


    CPUの能力をフルに使いきれるようなプログラムで
    資産と呼べるようなものができた頃には、
    コンパックとの合併でAlpha開発中止話が流れていましたとさ。

    • Re:レーシングカー (スコア:2, おもしろおかしい)

      by nekopon (1483) on 2003年10月19日 15時54分 (#417498) 日記
      レーシングカーの様なマシン

      なるほど、それで OS がOS/F1 [srad.jp]なわけですね。

      # 誤記ネタなのでID

      親コメント
    • by saitoh (10803) on 2003年10月20日 1時30分 (#417706)
      FPUをばりばり使うようなプログラムでは、特別な チューニングが必要だったって事でしょうか? X11とかtexとか、手持ちのツールをコンパイルして使う分には (21064のTru64UNIXで使ってましたが) SUNに負けるという記憶は無いなぁ。 アルファ用というよりは、LP64モデルに会わせて書き換える 必要はありましたが、それは後に出てきたsparc64でも同じでしょう? 確かに、出た当初はコンパイラがまだまだ発展途上だったけど。 あと、従来のLP32コードを動かすためのオプションをつけて コンパイルすると、出てきたオブジェクトは遅かったような。

      当時の他のCPUと比べてクロック比ほどには早くなかった ってのは事実。

      親コメント
  • typo (スコア:2, すばらしい洞察)

    by KENN (3839) on 2003年10月19日 9時23分 (#417406) 日記

    s/OS\/F1/OSF\/1/

    Open Software Foundationの略だから、途中に/は入らないでしょ?

    昨日中古で売られてるAlphaStationを見て、一瞬食指が動いたのでID。

    • Re:typo (スコア:1, おもしろおかしい)

      by Anonymous Coward on 2003年10月20日 1時20分 (#417701)
      C●mpa●関連で働いて散々苦労したので私はAC
      Alpha自体は好きだったんだけどねぇ。

      VAXやTru64Unixなつかしいねぇ・・・DECの遺産をどぶに捨てやがって
      このDQN会社め。
      親コメント
    • by tiga (4391) on 2003年10月20日 20時10分 (#418057) 日記
      Open Software FoundationのOSって、存在していたんですね。
      MACHベースだったので、興味は、あったのですが・・・
      結局触れずじまいでした。

      #懐かしさから、IDで投稿しました。
      親コメント
  • by pantora (11989) on 2003年10月19日 7時30分 (#417381)
    某国立大学で捨てるとか言ってました。
    えぇ、しかも5、6台。

    Alphaの運命ってこんなもんでしょうか?
    --
    PCにECC Registeredメモリの利用を推奨します。
    • Alphaに限らず、どんなワークステーションでもPCでも陳腐化すればそんなものじゃないでしょうか?
      コレクターズ・アイテムとして生き延びることがいいとも悪いとも言えないし。
      親コメント
    • by seraph (40) on 2003年10月19日 7時49分 (#417387) ホームページ
      今となっては遅い上に電気喰いだしなぁ…

      性能の陳腐化が早く、Workstation を個人で持つのは
      昔ならともかく今はあまりお勧めしないよ
      --
      -- みずき
      親コメント
    • by hamukichi (5525) on 2003年10月19日 8時04分 (#417392)
      捨てるなら欲しいぞぉっ
      親コメント
  • by shn (7678) on 2003年10月19日 19時37分 (#417547) ホームページ
    当時中学生だった私は、どっかのアメリカの学生がつくったCPUの性能表を見て、
    「Alphaはすげぇなぁ、おいらの68040何個分だ? でもPowerPCが出れば!」
    なんて妄想してたりしたのですが、それを思うとなんだか悲しい感じです。
    AlphaののったWSなんて触った事ないけど。

    それにしてもあの表まだあるのかな ちっとも思い出せない
    古いのから開発中のまで様々なCPUのSPECIntやらが載っててなかなか面白かったんですが。
  • by Anonymous Coward on 2003年10月19日 20時01分 (#417551)
    昔、メルコ関連会社のの某物流でバイトしてたことがありました。
    そしたら、DECの21164を多数在庫していて日常的に送り出して
    いるんですよね。

    何をしていたんだろう。
    というか、メルコが21164をあんなに大量に供給していたのが
    意外でした。

    #遠い昔のことだけど。
  • by Anonymous Coward on 2003年10月19日 23時20分 (#417640)
    Macに採用されていればよかったのにね。
    アップルからオファーがあったがKen Olsenが断わったらしい。
  • by gonta (11642) on 2003年10月19日 23時57分 (#417667) 日記
    Intel系よりも浮動小数点演算が早い、ということで
    計算をバリバリやる連中が欲しがっているという話を
    聞きました。本当でしょうか?
    --
    -- gonta --
    "May Macintosh be with you"
    • by SteppingWind (2654) on 2003年10月20日 16時53分 (#417964)

      CPU速度というよりも

      • 倍精度浮動小数だと64bitなので64bitバスの恩恵が大きい
      • ちょっとした3D(ないしは時間軸も含めた4D)の物理モデルを作ると, すぐに4GBを超えるので32bitアドレスでは制限が多すぎる

      あたりが大きいと思います. 特に後者については過去のFORTRANの資産を使う場合などに効いてきます.

      親コメント
  • by saitoh (10803) on 2003年10月20日 1時35分 (#417709)
    オフトピックですが。 VAXが影響を与えたのは創生期のUNIXなのかなぁ。 創生期と言っていいのはV6とか、100歩譲ってV7とか32Vまででは? 4BSDの時にはすでに誕生から10年以上たっていたわけだし。 創生期のUNIXに多大な影響を与えたのは、VAXのもう一つ前の世代の CPU、PDP-11ですよね。
    • by oku (4610) on 2003年10月20日 2時42分 (#417732) 日記
      VAXが影響を与えたのは創生期のUNIXなのかなぁ。創生期と言っていいのはV6とか、100歩譲ってV7とか32Vまででは?
      一応タレコミ文には (実は saitoh さんの投稿の後で書き換わってるのかも知れませんが)
      また、祖先となったVAXシリーズ(もっとたどればPDPシリーズ)は、
      とあるので間違いともいえないように思います。

      ところで 32V って VAX で動くんじゃありませんでしたっけ?

      親コメント
      • by saitoh (10803) on 2003年10月20日 12時07分 (#417860)
        32VはVAXで動きますが、機能的にはv7そのまま。 「OSアーキテクチャ上、VAXの影響を受けて」 はないと思います。
        親コメント
  • by Anonymous Coward on 2003年10月20日 1時54分 (#417716)
    21064 が出たとき クロックドライバ (注: Slide6 は技術的に感心しましょう) [msstate.edu]を中央に配置したレイアウトは衝撃的なものでした。当時 WS/PC 向けプロセッサとしては熱いチップで、 ネジ止め式のヒートシンクを背負っていました。ただし、ファンレスであり、今から思えば可愛いものです。

    64 bit 長の命令とデータでしたのでデフォルトの型は double か long long int でした。さくっと数値計算 のアプリケーションが書けました。ただし、8/16/32 bit の扱いは相当にハンディがあり、 事務処理的なアプリケーションでは実力が発揮できないのが問題でした。それでも Windows NT で x86 コードな MS Word なんかをエミュレーションで当時の PC と比べて等速かまあまあ早く 動かしていました。

    チップそのものは DEC から SAMSUNG(今の DDR メモリの製造技術に生かされているかもしれない)、三菱電機 と渡り、アーキテクチャは Intel, AMD に離散していき、今ある技術のゆりかごと思えます。
    • by Dosa (17200) on 2003年10月20日 11時32分 (#417840) 日記
           Windows NT で x86 コードな MS Word なんかをエミュレーションで当時の PC と比べて等速かまあまあ早く 動かしていました。

      Fx!32 でしたっけ.職場の Alpha Stationで使っていました.
      エミュレーションというよりは中間コードを生成するコンパイラのようなもので、使い込むにつれてコードが最適化されて速くなる、というなかなかに味わい深いツールでした.

      職場のAlpha Station、もともとは事務系のワークステーション(この時点でハードの選択間違ってるような気がする)として購入され、Open VMS(更にOSの選択間違ってるような気がする)上でCのプログラム(言語の・・・以下略)を動かしていたのですが、数ヵ月後、20分の1値段のショップブランドPC(P6 200MHz & Windows NT4.0 + MS Access 95)にパフォーマンス(CPUだけではなく、DBやUIを含めた「仕事に必要なアウトプットを得られるまでの速さ」)で負けることが発覚してワークステーションは御役御免、リース切れまでの間Windows NT上でExcelやMS Wordを動かす高級パソコン(何が高級って、当時メモリ128MB、HDD5GBも積んでUXGA対応モニタを装備したパソコンは社内になかった)となった筈(リース切れる前に自分が職場を去った).

      本当にAlpha Station のパフォーマンスが低かったのか、プログラマの腕が悪かっただけなのかはもはや知る術も無いけれど、鳴り物入りのテクノロジーがどんな用途にも適するわけではない、という教訓を得ました.
      親コメント
  • by take0m (4948) on 2003年10月20日 11時08分 (#417830) 日記
    いまから思うと、Alphaは、バス及びLANの性能向上と、シリコン内の性能向上のトレンドを見誤った感がありますかね。
    今や、莫大なメモリを使うような科学技術計算でも、高価な超高速のCPUを使うより、安価なそこそこのCPUをぎんぎんに高速化したネットで繋ぐ方を選んじゃいますもんね。
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吾輩はリファレンスである。名前はまだ無い -- perlの中の人

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