パスワードを忘れた? アカウント作成
この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。

ウィルス作成者、再逮捕:今回の罪名は器物損壊罪」記事へのコメント

  • 法的論点 (スコア:3, 興味深い)

    by gnaka (17369) on 2010年08月05日 15時21分 (#1805446) 日記

     既に別のコメントで指摘されてますけど、ファイル(情報)そのものが財物にあたらないというのは通説的見解なので、これは多分朝日の記者の勘違いではないかと思われます。たぶん本当の警察側の見解は、パソコンという財物の効用を失わせたから器物損壊罪が成立するというものでしょう。
     物の効用が喪失されるような場合に広く毀棄罪が成立するというのが判例も含めた一般的な解釈であり、この場合パソコンの効用が確かにある程度喪失されてはいるわけですから、警察の見解にも一理はありますが、しかしこの理屈をそのまま認めると、例えば会社の信用を損なった結果債券価格が暴落したというような場合、社債券に対する器物損壊罪が成立してしまうわけであり、この解釈にはもう少し何らかの限定が必要なのではないかと思われます。思うに、やはり損壊と言うからには、物理的損壊である必要はないにせよ、その物に対する物理的有形力の行使によるものであることは必要と考えるべきではないでしょうか。そうであるならば、この事例では器物損壊罪は成立しないことになります。とはいえこの説は学説中に少数説として存在するだけのようで、裁判所はこうは考えないのかも知れません。
     なお、この説による場合は、258・259条(特に後者)が電磁的記録を財物である文書と区別して規定している点を、電磁的記録については物理的有形力の行使が必ずしも必要ないという点に注目して特則を定めたものと解することになります。そして電磁的記録について触れていない261条は、反対解釈として、単なる電磁的記録の毀棄については、物理的有形力の行使がないかぎり、処罰しない趣旨であると読むことになるかと思われます。

犯人は巨人ファンでA型で眼鏡をかけている -- あるハッカー

処理中...