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不正アクセス行為の禁止等に関する法律 [e-gov.go.jp]第二条 より引用---4 この法律において「不正アクセス行為」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。一 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)---
朝日の言い分【1】「不正アクセス禁止法」違反罪の構成要件に該当しない は成立しない。
当該メールアカウントを使用した犯行声明メールからパスワードを入手したから、「当該識別符号に係る利用権者の承諾を得た」と言いたいようですが、そのメールを送ってきた本人が正当なメールアカウントの利用者である保証がない上に、この事件の性質上乗っ取ったアカウントである可能性が十分予想される以上、「利用賢者の承諾を得た」と推定するのは根拠薄弱。よって第2条4の不正アクセスを行ったと認められる。
【2】報道機関として必要な取材であり、正当な業務行為
第三者が犯人になりすまして送った形跡はないかなどを確認するために行った、正当な取材行為だと主張しているが、他人のメールボックスを覗くことでどうやってなりすまし行為などを見ぬくのか?本件の真犯人は非常に巧妙であり、素人がメールボックスを見た程度でわかるはずもなく、かえって犯人に誘導される恐れがある。よって必要な取材とは到底みなせず、単にスクープを狙った商業行為に過ぎない可能性が高い。
....と考えますが、諸兄のご意見を頂きたく。
朝日の言い分【1】「不正アクセス禁止法....該当しない は成立しない
「利用賢者の承諾を得た」→「利用権者の承諾を得た」
1. Aではないから犯罪ではない2. 仮にAだとしてもBではないから犯罪ではない
というのは弁護側の基本的な論理の組み立てだからそういうもんだとしか現実的には1の主張が通ることのほうが少ないくらいだ弁護士は客のためなら白を黒と言うのが職業倫理だということをお忘れなく
> 仮にこれが第三者のメールアドレスとパスワードであっても騙された朝日は罪に問われず送信者が罪に問われるだけ。どちらにしても送検された検察は嫌疑なしor不十分で不起訴にして終わりだろう。
そうはいかない他人のアカウントにアクセスするのだから、騙されない
注意義務違反があったとしても、過失でしょう。
合意と信じて騙されただけから無罪ですか?
そうです。http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20130509#1368069733 [hatena.ne.jp]
自分で張ったリンク先を読まずに脊髄反射で断言しちゃったね
どうしても部分的引用になってしまうが、無罪になるにはそれ相応の理由が必要です「私を痴漢してください」という掲示板の書き込みを見ただけですから相応の理由にはなりませんね被害者も抵抗してるし、真っ黒ですね
> 裁判例コンメンタール刑法ⅡP301> 実務的には被害者の示諾があった、いわゆる和姦である、仮にそうでないとしても承諾があると誤信していたとの主張が多いが、要は暴行・脅迫の有無が争点であり、被害者の被害供述が信用できるか否かの事実認定の問題である。これらが深刻に争われる
引用にある通り、それは事実認定の問題です。「承諾を誤信した」と認定されるかどうかという話。認定されれば無罪、されなければ有罪。
有罪となるのは、「承諾を誤信していない」から有罪なのであって、誤信したけど勘違いや騙された方も悪いから有罪、というような理屈ではありません。
その通りですよ「承諾を誤信した」ということは弁護側が立証すべきことで、痴漢事件においては引用した通りそのハードルが高く、掲示板事件ではまず認められないだろうということを書きました
法の理屈について共通認識を持っているとの確認ができてよかったです。
個別事件について「事実」をどう判断するかは、外野には仮定を論じるならともかく、断定するのは無理ですが、その痴漢事件でも、間接正犯(利用された側は犯罪とならない)となる可能性はあるようですね。
「国税職員の供述が事実だとすれば、他人を利用してわいせつ行為を行う『間接正犯』にあたる可能性がある。(省略)」県警幹部の発言、【衝撃事件の核心】「痴漢募集」女性になりすましたと49歳国税職員「出頭」…「痴漢プレー募集」サイトいぜん活況(1/3ページ) - MSN産経west [msn.com]
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%93%E6%8E%A5%E6%AD%A3%E7%8A%AF [wikipedia.org]> これについては、「反対動機形成の可能性がないこと、または強い支配を受けていること」が道具性の要件であり、このとき間接正犯に実行行為性が認められるとしている。
> 具体的には、被利用者の身体活動が刑法上の行為に当たらないとき被利用者の行為が構成要件要素を欠き、構成要件該当性を有しないとき被利用者の行為が違法性を欠くときが挙げられている。
この事件ではどれにもにも該当しませんから、報道からわかる事柄だけで考えれば間接正犯となる可能性はきわめて低いでしょう
わざわざ太字にしてある部分、刑事訴訟法的に根本的に間違っていると思いますが……。# 実際の運用がおかしいという問題提起としてなら了解です。
今更ですが、件の騙された人は、不起訴になったようです。間接正犯の道具ですね。
助ければ自分を好きに…痴漢呼び掛けの男に罰金 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) [yomiuri.co.jp]「痴漢被害助ければ仲良くなれる」 ネットで女性装った大阪国税局職員供述 - MSN産経ニュース [msn.com]
ついでに言っておきますと、過失や錯誤を立証するのは弁護側ですよ
錯誤を主張するのが弁護側で、過失を立証するのは検察側です。というかまず検察側は「このメールアドレスの利用権者は朝日新聞にアクセスを許諾していない」ことを立証する必要があります。朝日新聞側はそもそも錯誤ではなく利用権者が許諾していると認識していると主張するでしょうし、検察は錯誤以前に許諾が有ったのか無かったのかの部分を立証しなければなりません。これはつまり検察は「被害者」から「許諾してねえよ」という言質を取ってくる必要があるということです。もし「許諾していない」ことが立証できれば、朝日新聞は次に「許諾していると思った」という錯誤を主張するでしょうから、その段階になってやっと「朝日新聞は許諾していないことに気づけたはずだ」という攻め方になります。
刑罰法規では、原則として「過失」は罪に問われないので、過失の立証は無罪の立証を意味します。従って、検察が「攻め」として過失を立証することはありません。例外としていくつかの罪で過失を罰する規定があるのみで、不正アクセス禁止法違反に過失罰はありません。
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目玉の数さえ十分あれば、どんなバグも深刻ではない -- Eric Raymond
まとめると (スコア:3)
不正アクセス行為の禁止等に関する法律 [e-gov.go.jp]
第二条 より引用
---
4 この法律において「不正アクセス行為」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
一 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)
---
朝日の言い分
【1】「不正アクセス禁止法」違反罪の構成要件に該当しない は成立しない。
当該メールアカウントを使用した犯行声明メールからパスワードを入手したから、「当該識別符号に係る利用権者の承諾を得た」と言いたいようですが、そのメールを送ってきた本人が正当なメールアカウントの利用者である保証がない上に、この事件の性質上乗っ取ったアカウントである可能性が十分予想される以上、「利用賢者の承諾を得た」と推定するのは根拠薄弱。よって第2条4の不正アクセスを行ったと認められる。
【2】報道機関として必要な取材であり、正当な業務行為
第三者が犯人になりすまして送った形跡はないかなどを確認するために行った、正当な取材行為だと主張しているが、他人のメールボックスを覗くことでどうやってなりすまし行為などを見ぬくのか?本件の真犯人は非常に巧妙であり、素人がメールボックスを見た程度でわかるはずもなく、かえって犯人に誘導される恐れがある。よって必要な取材とは到底みなせず、単にスクープを狙った商業行為に過ぎない可能性が高い。
....と考えますが、諸兄のご意見を頂きたく。
--- de FTNS.
Re:まとめると (スコア:4, 興味深い)
だいたい,IDとPASSがセットで送られてきたわけでもなく,
ブルートフォースというか同じPASS使い回してるかも?
といういわゆるソーシャルハッキング的な類推によって
アクセスを可能にしてるんだから,
不正アクセス行為をしたとしかいいようがない。
コレには善悪関係ないですし。
だから2に頼らざるを得なくなる。
2は主観の問題だから,最悪,判決出るまで主張できるからね。
typoが... orz (スコア:2)
朝日の言い分
【1】「不正アクセス禁止法....該当しない
は成立しない「利用賢者の承諾を得た」→「利用権者の承諾を得た」
--- de FTNS.
Re: (スコア:0)
1. Aではないから犯罪ではない
2. 仮にAだとしてもBではないから犯罪ではない
というのは弁護側の基本的な論理の組み立てだからそういうもんだとしか
現実的には1の主張が通ることのほうが少ないくらいだ
弁護士は客のためなら白を黒と言うのが職業倫理だということをお忘れなく
> 仮にこれが第三者のメールアドレスとパスワードであっても騙された朝日は罪に問われず送信者が罪に問われるだけ。どちらにしても送検された検察は嫌疑なしor不十分で不起訴にして終わりだろう。
そうはいかない
他人のアカウントにアクセスするのだから、騙されない
Re: (スコア:0)
注意義務違反があったとしても、過失でしょう。
そうです。
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20130509#1368069733 [hatena.ne.jp]
Re: (スコア:0)
自分で張ったリンク先を読まずに脊髄反射で断言しちゃったね
どうしても部分的引用になってしまうが、無罪になるにはそれ相応の理由が必要です
「私を痴漢してください」という掲示板の書き込みを見ただけですから相応の理由にはなりませんね
被害者も抵抗してるし、真っ黒ですね
> 裁判例コンメンタール刑法ⅡP301
> 実務的には被害者の示諾があった、いわゆる和姦である、仮にそうでないとしても承諾があると誤信していたとの主張が多いが、要は暴行・脅迫の有無が争点であり、被害者の被害供述が信用できるか否かの事実認定の問題である。これらが深刻に争われる
Re: (スコア:0)
引用にある通り、それは事実認定の問題です。
「承諾を誤信した」と認定されるかどうかという話。
認定されれば無罪、されなければ有罪。
有罪となるのは、「承諾を誤信していない」から有罪なのであって、誤信したけど勘違いや騙された方も悪いから有罪、というような理屈ではありません。
Re: (スコア:0)
その通りですよ
「承諾を誤信した」ということは弁護側が立証すべきことで、痴漢事件においては引用した通りそのハードルが高く、掲示板事件ではまず認められないだろうということを書きました
Re: (スコア:0)
法の理屈について共通認識を持っているとの確認ができてよかったです。
個別事件について「事実」をどう判断するかは、外野には仮定を論じるならともかく、断定するのは無理ですが、その痴漢事件でも、間接正犯(利用された側は犯罪とならない)となる可能性はあるようですね。
Re: (スコア:0)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%93%E6%8E%A5%E6%AD%A3%E7%8A%AF [wikipedia.org]
> これについては、「反対動機形成の可能性がないこと、または強い支配を受けていること」が道具性の要件であり、このとき間接正犯に実行行為性が認められるとしている。
> 具体的には、
被利用者の身体活動が刑法上の行為に当たらないとき
被利用者の行為が構成要件要素を欠き、構成要件該当性を有しないとき
被利用者の行為が違法性を欠くとき
が挙げられている。
この事件ではどれにもにも該当しませんから、報道からわかる事柄だけで考えれば間接正犯となる可能性はきわめて低いでしょう
Re: (スコア:0)
わざわざ太字にしてある部分、刑事訴訟法的に根本的に間違っていると思いますが……。
# 実際の運用がおかしいという問題提起としてなら了解です。
Re: (スコア:0)
今更ですが、件の騙された人は、不起訴になったようです。
間接正犯の道具ですね。
助ければ自分を好きに…痴漢呼び掛けの男に罰金 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) [yomiuri.co.jp]
「痴漢被害助ければ仲良くなれる」 ネットで女性装った大阪国税局職員供述 - MSN産経ニュース [msn.com]
Re: (スコア:0)
ついでに言っておきますと、過失や錯誤を立証するのは弁護側ですよ
Re: (スコア:0)
錯誤を主張するのが弁護側で、過失を立証するのは検察側です。
というかまず検察側は「このメールアドレスの利用権者は朝日新聞にアクセスを許諾していない」ことを立証する必要があります。
朝日新聞側はそもそも錯誤ではなく利用権者が許諾していると認識していると主張するでしょうし、検察は錯誤以前に許諾が有ったのか無かったのかの部分を立証しなければなりません。これはつまり検察は「被害者」から「許諾してねえよ」という言質を取ってくる必要があるということです。
もし「許諾していない」ことが立証できれば、朝日新聞は次に「許諾していると思った」という錯誤を主張するでしょうから、その段階になってやっと「朝日新聞は許諾していないことに気づけたはずだ」という攻め方になります。
Re: (スコア:0)
刑罰法規では、原則として「過失」は罪に問われないので、過失の立証は無罪の立証を意味します。
従って、検察が「攻め」として過失を立証することはありません。
例外としていくつかの罪で過失を罰する規定があるのみで、不正アクセス禁止法違反に過失罰はありません。