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Winny開発者に罰金150万円の有罪判決」記事へのコメント

  • 禍根 (スコア:5, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2006年12月13日 12時01分 (#1074819)
    高木先生が、裁判が残した禍根 [takagi-hiromitsu.jp]と書いている。
    タイトルで誤読無いよう解説すると、裁判の結果を受けて被告人や弁護人関係者の責任を追求
    するものではなく結論が出るまでに世間一般がアレコレ議論して脇道にそれた事を禍根としている。

    ■ある性質を備えるソフトウェアの使用を法律で禁止する立法
    情報流出事故の被害拡散の防止のためには、「ファイルを公衆送信可能化する意思」
    を隠す/持たせない性質を備えるソフトウェアの使用を法律で禁止する立法が必要。
    としているのだけれど、組み合わせて作者の意図と別にそういう機能になっていた、
    ユーザーが意図せず使用させられていた等の例外は、ApacheやVNCを流用する悪質ツール、
    セキュリティを名乗りユーザーの不安を煽ってインストールさせるツールが現に存在する
    現状を見ると、性質ありと判断する条件を恣意的運用がされないように厳密に設定して
    その性質を改善させる意思を確認して、改良させる期間を設けるフォローが必要と思う。

    ■開発続行が事故防止になるか、上記立法との関係
    作者が開発を続けていたほうが流出を防げた、と言う主張が裁判対策だけと
    言えないのは、常にハッシュ仕様がガラッと変わり互換性が無くなる可能性があり
    悪用目的で実用しようとすると更新の速さ・実験色の強さが不安材料だった。
    それが逮捕以降は流れる川ではなく、澱んだ湖になってしまったという経緯がある。
    道具の利便性を変える実効性だけでなく、高木先生の「利用者の意思表示」観点からも
    「そのツールが次のバージョンで対策した」のに敢えて対策されていないバージョンを
    使うという事は充分「利用者の意思表示」になり、既存のそういう性質のあるツールの
    作者でも著作権者や情報流出事故の被害拡散に対する協力の姿勢を示す事が出来る。

    逆に言えば、それに従わないという事は作者に幇助の意思ありと判断する事が出来る。
    それなら、高木先生がいうような今回のような表現の自由等を持ってくるような脇道に
    議論がそれる事も無かっただろう。未必の故意などに頼らなくてもいいのだから。
    要するに、そういう法根拠が無いままいきなり幇助で引っ張った事で、幇助概念の扱いが
    乱暴に受け止められ、共謀罪や代用監獄などの問題が絡みあって技術的見地ではなく
    法律的見地から危機感や関心を持つ人が増えたという事なんだな。

    ■雑感
    情報流出事故の被害拡散の防止を怠っていた罪が問われていた訳でないし、
    作者逮捕時点では酷すぎる現状の具体的想定は出来なかったのだろうから、
    今回の件で情報流出事故対策の不備で作者を責めればコジツケになるだろう。
    そもそも私物PC上に流出事故が起きていて、空き巣が住居に侵入したら、
    その家に麻薬があったので売りさばいていた、
    売った空き巣が捕まったら罰せられるのは当然だが、入手した家も問題がある。
    空き巣が包丁を持っていたから、包丁職人を捕まえた、麻薬売買も包丁職人が
    悪いなんて罪状の根拠としてアリにしろという話になってはかなわない。

    とにかく件のツールが違法性を助長している、その作者が気に入らないから現行法を
    こねくり回して捕まえようという西部劇的成敗アプローチだけしかなかったのか。
    「ある性質を備えるソフトウェアの使用を法律で禁止する立法」を待てなかったのか、
    高木先生の日記をみて思った。
    懲役刑でなく罰金刑というのは地裁的には無難な落としどころだったと思う。

    • by Anonymous Coward
      > 懲役刑でなく罰金刑というのは地裁的には無難な落としどころだったと思う。

      直前に住基ネットの裁判官が亡くなっている事もあるし、非情な圧力のかかる中でギリギリの判断をしたんだと思う。同じく一審の着地点としては無難だと思うし、個人的にはこの裁判官を評価したい。

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