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紙のように薄くて曲げられる電池 29

ストーリー by yoosee
これはなかなか夢の電池だ 部門より

tmp.tar.gz 曰く、

AFPの報道によれば、 Rensselaer Polytechnic Instituteの研究チームが、 紙のように折ったり曲げたりできるシート状の次世代電池を開発したとのこと。 この電池は成分の90%がセルロース製で、 ITmediaの記事によれば300F(149℃)~-100F(-73℃)でも動作するそうだ。 シート状の電池は何枚も重ねて電力アップもできるらしい。

どうやらカーボンナノチューブがセルロースに埋め込まれているという構造のようだが、 リチウムイオンバッテリーとスーパーキャパシタの両方の機能を持たせられたり、 印刷が出来たりと応用範囲は広そうだ。 環境への害も無く汗や血液などを電解質として利用することも出来るため、 人体への埋め込みも考えられそうなので、医療用にもいいのかもしれない。

Scientific American の記事ではスーパーキャパシタ版での power density が 1.5kW/kg、また Green Car Congress の記事によると Li-ion電池版で 3.6-0.1V の充放電を繰り返した場合、10 mA/g の電流・110 mAh/g のキャパシティとなっている。

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  • 元論文 (スコア:5, 参考になる)

    by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2007年08月17日 2時34分 (#1206057) 日記
    元論文はこちら.

    PNAS 104 13574-13577
    http://dx.doi.org/10.1073/pnas.0706508104 [doi.org]

    電極からナノチューブを垂直に生やして,セルロースに埋め込んで,イオン液体染み込ませて
    二枚対向させればキャパシタ.
    一枚に,対極として電極上に金属リチウムを蒸着したものを貼り合わせればバッテリ.
    二枚の間にリチウム付き電極を挟めばバッテリとキャパシタのハイブリッド.
  • CNTの時価 (スコア:2, 参考になる)

    by bochi-bochi (4490) on 2007年08月17日 0時49分 (#1206037) ホームページ 日記
    IT mediaの記事を読んでいて気になったのが
    CNTを使っているのに価格が安いという記述です。

    ぐぐると02年時点で10万円/キログラムという論文を見つけたのですが
    直近の価格情勢はどうなっているのでしょうか。
    --
    〜後悔先に立たず・後悔役に立たず・後悔後を絶たず〜
    • Re:CNTの時価 (スコア:5, 参考になる)

      by Anonymous Coward on 2007年08月17日 2時20分 (#1206055)
      ・10万円/kg=100円/gってのは異常に安いです。桁、間違ってません?
       多層の混ぜもので試薬メーカーから買うようなのだと1万円/1g、単層のみだと10万円/1g。
       カイラリティ(巻きかた)まである程度そろえたやつだとさらに桁でいくつか上がります。
      #というかそこまでいくと普通売ってないんで作るしかなくなりますが。

      ・最近は量産手段が増えたため、大量生産レベルでかつ多層/単層等問わなければかなり安く作れます。
       多分量産すれば最低でもフラーレン(各種混合物)と同程度の価格(数百円/1g)でいけるんじゃないかと。
       このレベルの価格なら試薬としては格安の部類。

      ・さらにごく最近のいくつかの発見(日本だと澄男ちゃんのところの水を混ぜるとかガスを混合するとか)
       を使うと、単層などでも相当の量産が可能です。今月の物理学会誌にも出てましたっけ。
       この辺を使えばまあ単層ナノチューブでも1000円/g程度までは行けそうな気はします。

      #飯島先生と呼んで「先生なんて呼びかたは気に食わん、澄男ちゃんでいいんだ」とか言われたのも
      #懐かしい思い出。
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    • Re:CNTの時価 (スコア:1, 参考になる)

      by Anonymous Coward on 2007年08月17日 1時51分 (#1206047)
      CNTを使うものはCNTが量産可能という前提でコスト計算されてることが多い気がする
      たとえばSEDとかSEDとかSEDとかな。

      青色LEDのようにブレークスルーまで10年単位かかるものなんてざらなので
      CNTが単離量産可能になったらこんなこともできますよ
      程度に思っていればよろしい。
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    • by Another Coward (33409) on 2007年08月17日 2時16分 (#1206053) 日記
      読売の記事 [yomiuri.co.jp] では、記者は
      カーボンナノチューブは高価なため、用途は限られそう
      と書いているね。
      親コメント
  • 残りの10%は? (スコア:2, おもしろおかしい)

    by gm_camouf01 (31675) on 2007年08月17日 0時59分 (#1206041)
    >この電池は成分の90%がセルロース製で、
    残り10%は「思いやり」?
    • by Anonymous Coward
      電池として働いているのが残りの10%
      もっとセルロースの比率を落とせれば高性能化?

      • by gm_camouf01 (31675) on 2007年08月18日 1時20分 (#1206360)
        働きアリの中でも、よく働いているのは10%程度だそうです。
        その10%を取り除いて別へ移すと、元の90%の中の10%程度が良く働くようになりそうです。
        更に、別へ移した10%の方も、その90%が働かなくなったそうです。

        なので、セルロースの比率を落とすと、その分の「思いやり」がセルロースになっていきます。たぶん。
        親コメント
        • by Anonymous Coward on 2007年08月19日 11時58分 (#1206687)
          働きアリの中でも、よく働いているのは10%程度だそうです。
          その10%を取り除いて別へ移すと、元の90%の中の10%程度が良く働くようになりそうです。
          更に、別へ移した10%の方も、その90%が働かなくなったそうです。

          ネタにマジレスというかオフトピックになるのですが、
          働かないアリと働くアリを別々に分けても働かないアリはやっぱり働かず、
          良く働くアリが居なくなれば働かないアリの中から良く働くアリが出てくるわけでも、働くアリが良く働くアリになるわけでもない(*1)という実験結果ではなかったかと。

          その実験ではっきりしているのは、良く働くアリと働くアリと働かないアリが2:6:2の比率で存在するということ。働かないアリだけを取り除くと良く働くアリの作業量がわずかに減少したことの二点。
          後者が誇張されて働かないアリが生まれるという話になったのだと思います。

          *1 性格的な変化ではなく単純に人手(蟻手?)が減った分仕事が回ってくるようになったため作業量は増えていて、そういう意味では良く働くアリになったと言えなくもない。
          親コメント
        • by Anonymous Coward
          > その10%を取り除いて別へ移すと、元の90%の中の10%程度が良く働くようになりそうです。

          10%「こんな忙しいのに人員を割くなんて。俺達が余計にがんばらなきゃ」
          90%「がんばりすぎて体を壊してもしょうがない。今までどおりで行くぜ」

          > 更に、別へ移した10%の方も、その90%が働かなくなったそうです。

          10%「新プロジェクトか。これまで以上にがんばる気はないけど」
          90%「新プロジェクトってなんだよ。あーあ、もうやる気ないよ」
  • スーパーキャパシタ版での power density が 1.5kW/kg、また Green Car Congress の記事によると Li-ion電池版で 3.6-0.1V の充放電を繰り返した場合、10 mA/g の電流・110 mAh/g のキャパシティとなっている。

    元記事もそうなっているみたいなんだけど、電池の容量はJとかWhみたいな仕事の単位で書いてくれないとわからん。
    # のだが、このへんをちゃんと書いてある記事って意外とないよなぁ。
    • Re:単位が微妙 (スコア:3, 参考になる)

      by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2007年08月17日 8時49分 (#1206083) 日記
      キャパシタの時のenergy densityが約13Wh/kg(元論文より)
      電池としての場合は,かなりの電圧降下があるんでFig. 3の放電特性を適当に積分してください.
      #目視で,10mA/gの放電で,おおよそ0-70mAh/gの区間で3.6 -> 1.4Vに直線的に落ちて,そこから
      #550mAh/gの区間で0.1Vまでおおよそ直線で降下.
      親コメント
    • Re:単位が微妙 (スコア:3, 参考になる)

      by Diffusional-Mind (4061) on 2007年08月17日 18時31分 (#1206277)
      電池を設計した時点で、保証できるのはエネルギーではなく、電気量です。
      この電気量は、電池を構成する活物質の量によって決まります。
      一方、内部抵抗による分極が発生するために、取り出せるエネルギーは動作条件によって大きく異なります。
      よって、Wh等の単位で記述する際にはその条件を併記しなければ意味がありません。
      親コメント
    • Re:単位が微妙 (スコア:2, 参考になる)

      by apt (28270) on 2007年08月17日 8時07分 (#1206075) 日記
      電池の容量はJとかWhみたいな仕事の単位で書いてくれないとわからん
      むしろ、電池の容量は、普通はAhとかmAhとかで表す物だと思ってましたけど、
      あなたの手元にある電池には、容量がJとかWhとかで書いてあるんですか?

      例えば、秋月のカタログ [akizukidenshi.com]なんかを見てもAhとかmAhとかですが。

      まあ、公称電圧を掛けてWhに、それを60倍してJに変換すれば済む話ですが。
      それとも、放電時の電圧変動も考慮して積分しなきゃ気が済まないですか?

      親コメント
    • by Anonymous Coward
      AFPの記事中に
      > 試作品は初期段階ながら、親指と人差し指でやっとつまめる程度の大きさでも、2.5Vの電池容量がある。
      なんて事が書かれているあたり、それ以前の問題であるような気がします
  • >人体への埋め込みも考えられそうなので、医療用にもいいのかもしれない。
    今の人類の実態は、これ [duracell.jp]だ。
    --
    喫茶店でもマルチモニタ協会会員
  • by bussei_robo (33039) on 2007年08月17日 14時54分 (#1206226)
    >環境への害も無く

    え,無いんですか?
    ナノ材料がばら撒かれると怖いイメージがあるのですが...
    DNAを傷つけるとかいう報告があったような...
  • by SteppingWind (2654) on 2007年08月18日 13時05分 (#1206448)

    電子機器用のコンデンサとして絶縁体に紙を使うペーパーコンデンサ [nifty.com]というものが存在していました.

    実際には絶縁破壊を防ぐために紙に油脂を浸透させて使っていたのですが, 元が紙だけに湿気による変質が大きく, 現在ではフィルムコンデンサに完全に置き換わっています.

    そんなこともあって, セルロースが主成分と聞くと, 湿気とかに対する耐久性はどうなんだろうと心配してしまいます.

  • by Anonymous Coward on 2007年08月17日 1時54分 (#1206048)
    これからは飛行機の手荷物検査で本やノートも1ページ1ページチェックしないといけないですね。
  • by Anonymous Coward on 2007年08月17日 10時03分 (#1206110)
    テロリスト向けに、新型の手紙爆弾のパーツとして使えたりしません?
  • by Anonymous Coward on 2007年08月19日 8時46分 (#1206628)
    > ITmediaの記事によれば300F(149℃)~-100F(-73℃)でも動作するそうだ。

    F=ファラッドに見えるんで、容量変化の大きいキャパシタだなと思った。

    元記事は華氏XX度と書いてあるし、
    Wikipedia [wikipedia.org]とか見ても°付けるのが普通のようなので、付けてください。
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日々是ハック也 -- あるハードコアバイナリアン

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