実質的にすべての電子タバコの蒸気が有害な化学物質を含むとの研究結果 94
放出 部門より
電子タバコの蒸気の成分は使用するリキッドによって異なるが、ほぼすべてのリキッドでプロピレングリコールとグリセリンが主成分となっている。これに着目した研究チームでは、プロピレングリコールとグリセリンのみのリキッドを使用して電子タバコによる吸入実験を行ったという。その結果、アクロレインやホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどを含む31種の有害化合物が顕著なレベルで検出されたとのこと。31種の中には過去に電子タバコの蒸気からは発見されていなかった酸化プロピレンやグリシドールも含まれる。
今回使われた電子タバコ器具は加熱用コイル1個の低価格な製品と、より高価な加熱用コイル2個の製品で、電圧や吸入回数などを変動させて実験が行われている。同じ電圧でコイル1個の製品と2個の製品を比較するとコイル1個の製品の方が放出される有害物質の量が多くなるなど、コイル表面の温度が高くなると有害物質は増加するとみられ、20回以上連続して吸入した場合には最初の数回と比べて有害物質の量が大幅に増加することも判明したという。また、使用後に清掃せず、繰り返し使用した場合にも有害物質が大幅に増加したとのこと。
普通のタバコでは主流煙・副流煙合わせて1本あたり400~650マイクログラムのアクロレインが放出されるのに対し、電子タバコを20回吸入した場合には90~100マイクログラムのアクロレインが放出されるという。電子タバコは普通のタバコよりも安全であるなどと宣伝され、使用者は近年大幅に増加している。しかし、電子タバコの安全性はタバコをどうしてもやめられない人などにとっては事実かもしれないが、健康的であるわけではないと研究者は語る。普通のタバコが「超非健康的」なのに対し、電子タバコはただの「非健康的」というレベルにとどまるとのことだ。