米エネルギー省(DOE)が定めるテレビ受像機の省電力テストの不備を突き、受像機メーカーが現実の視聴時よりも消費電力を低く見せかけていると天然資源保護協会(NRDC)が指摘している(NRDCの
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DOEが定める10分間の消費電力テスト用映像は、非常に短いシーンが繰り返し切り替わる内容だ。SamsungとLGのテレビでは、コマーシャルなど頻繁にシーンが切り替わる場合にバックライトを暗くしたりオフにしたりする機能(MDD)が搭載されており、テスト用映像をループ再生した場合、大幅に消費電力が低下するとのこと。
また、SamsungとLG、Vizioのテレビでは映像設定を変更すると省電力機能が無効になり、消費電力が50~100%増加するのだが、適切な警告が表示されない。今回のテストとは別に店頭で6社計21モデルを確認したところ、映像設定の変更で省電力機能が無効になるのはSamsungとLG、Vizioの製品のみだったという。
3社は米国でのテレビ受像機シェアの半数を占めており、32インチ以上のモデルを購入した消費者の3分の1が映像設定を変更した場合、10年間でロサンゼルスの全家庭の消費電力1年分が余分に消費されることになるとNRDCは試算する。この問題について3社は、ソフトウェア更新で対応すると回答しているとのこと。
このほか、最新の4Kテレビでは4K+HDRコンテンツを再生する際に消費電力が30~50%増加するが、DOEのテストにHDRコンテンツは含まれていない。各社はNRDCに対し、4K+HDRコンテンツ再生時には省電力機能を一時的に無効化すると説明しているそうだ。
NRDCはテスト結果をSamsungとLG、Vizioの3社に伝えているが、結果の正確さについて異論はなく、特定のモデルに限定されるものだとも主張しなかったという。また、DOEとENERGY STARラベルを管理する環境保護庁もこの問題を認識しており、方針の変更を進めているとのことだ。
なお、CM時の輝度調整機能はNRDCが不正だと主張しているだけで、実際にテストを意識したものかどうかは不明だ。映像設定の変更による省電力機能の無効化は単なる不具合のようにも見える。スラドの皆さんはどう思われるだろうか。