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KENN (3839) の日記

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少女漫画部:「獣王星」5巻

KENN による 2003年05月18日 13時20分 の日記 (#127754)

せっかくお誘いを受けたので、幽霊部員にならないよう部活動に励むことにする(笑)

バルカン星系への恒星間移民が始まって以来数百年、星系独立後も公式には星自体が存在を許されていない死刑星キマイラ。凶暴な食肉植物が跋扈する驚異的な自然環境の中、人間は肌の色ごとに「リング」と呼ばれるコミュニティを形成し、各リングを支配する「トップ」から選ばれる「獣王」は、文字通り王として頂点に君臨する。

前巻でその「獣王」となったトール。「死刑星」そして「獣王」が存在する意義が明らかとなった後、彼が何を選び、未来に何を残すのか。

最終巻となる5巻は、ドラマティックではあるけれど淡々とした、言ってみれば「予定調和」的なストーリーであるとも言える。自らの出生の秘密を知らされた前巻の衝撃の展開を受けたにしては、少々盛り上がりに欠けると思えなくもない。

# 同じ感想をどなたかの日記で見たような気もする。

しかし、「OZ」といいこの「獣王星」といい、これだけの骨太なストーリーを持つ「SF」を描ける人はそうはいない。発表されたのが少女マンガ雑誌ということで、この作品に接する機会が少ない人がいることをとても残念に思う。

てゆーか、個人的な主観では、SF/ファンタジー分野では、どう考えても少女マンガ系の作家の方が圧倒的に強い気がするんだよね。 竹宮恵子(「地球へ」「天馬の血族」)や佐々木淳子(「ダークグリーン」)のように、「世界」を含めてストーリーを構築できる作家は、少年マンガ系にはそうはいない。星野之宣、長谷川裕一あと真鍋譲治あたりがいるにはいるが、いずれも出版部数の多い雑誌での登場機会が少ないので、ちょっとメジャーとは言い難い。

# 星野之宣はジャンプ出身なんだけどねぇ…

「ONE PIECE」や「RAVE」が当たったおかげでファンタジー系は割とメジャーになったような気もするけど、あれはファンタジーというよりは、どちらかというとドラクエを基調とするロールプレイングゲーム的なお話だと思う。江川達也がその昔どこかで「武闘大会を開くとアンケート結果が上がる」言っていたように、少年誌ではストーリー以前に、まずはバトルやアクションがないとウケないようなのだ。

SFも最近やっと「MOOLIGHT MILE」や「プラネテス」のような近未来SFモノが出て来たけど、この「獣王星」と肩を並べられるかというと、ストーリーなどの面からいささか力不足のように思う。

樹なつみの連載モノが嫌いな訳ではないけど、その合間で構わないので、こういういかにもSFSFした作品をこれからも描き続けてほしいと思う次第。

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