Ryo.F (3896) の日記

2005 年 06 月 14 日
午後 01:54

猿真似は差別か?

朝日新聞の記事

化粧品製造販売「マンダム」が、チンパンジーが黒人のまねをしているCMについて、「差別にあたる」との人権団体の指摘を受け、テレビ放映と雑誌広告を中止していたことがわかった。同社は「国際感覚が欠如しているという認識に至った」としている。
問題になったのは、男性用洗顔製品のCMで、数人の黒人が顔の汗をふく横で、縮れたドレッドヘアで金と赤、緑の衣装を着たチンパンジーがまねをし、顔をふく内容。テレビCMは3月から放映していた。

このCMに文句をつけたのは、人権擁護団体「コミュニティー」。彼らが指摘している問題は、以下の二点らしい:

  • 黒人を類人猿と同等とみなしている
  • チンパンジーの衣装は、ジャマイカの信仰者の宗教的象徴の姿で、僧侶や神主の格好をさせるのと同じこと。無神経で下品

後者については理解できる。しかし前者はどうだろう?
猿には、見たものを真似る習性があるので、猿が人間の行動を真似ることは良くあることだ。猿と人間が同じ行動をしているのを見れば、「人間が猿と同等とみなされている」と言うよりは「猿が人間の真似をしている」と感じるのが普通ではないだろうか。例えばこの人間が白人であればどうか。日本人であればどうか。日本人は`yellow monkey'と揶揄されることもままあるわけだが。

同団体のメンバ、スティーブ・シルバー氏は次のように述べている

中止を決めたのはすばらしい。マイノリティーの意識にもっと繊細になるべきだ

さて、全世界に野生のチンパンジーは十五万頭足らずしかいないそうだ。チンパンジーは言語を理解し、人間に非常に近いため、十五万「人」と数える人もいるとか。実際リンク先も「人」で数えている。一方、黒人はシルバー氏の母国・米国だけでも三千八百万人ほどいる。ご存知の通り、全世界の人口(ただしチンパンジーを除く)は、六十億人ほどだ。
生物としてみたときに、あるいは、霊長類全体としてみたときに、チンパンジーは、人間全体よりも黒人よりもずっとマイノリティなのだ。人間と同等に扱ってもらえない超マイノリティのチンパンジー。人間と同等に「人」で数えられることもあるというのに。その辺りをどう考えるのか、シルバー氏に聞いてみたい気がする。

参考:The Communityによるマンダムへの抗議ページ

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