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アブラナの自家不和合性の優性遺伝の機構を解明 9

ストーリー by yosuke
エピジェネティックな制御 部門より

Yet Another Coward曰く、"絵付きで詳しく解説してくれている読売新聞の記事によれば、奈良先端大や東北大学などの研究者らのグループによって、メンデルの法則、優性劣性制御の仕組みを発見という研究成果が発表された。
研究グループは、アブラナ科の植物を使って、自分の花粉では受精できない自家不和合性を制御する対立遺伝子について調査した。その結果、劣性側の遺伝子にメチル基が付き不活性化することにより、優性と劣性の差が出ているということがわかった。
なお論文は、Nature Geneticsに掲載されている。
"

東北大学の渡辺サブグループが掲載している情報も参考になる。

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  • 高校の生物の授業で生物の教師が得意げに話す、未だ明らかになっていない大きな謎の一つがついに明らかになりましたか。生物教師の皆さんはもうこれを謎として話すと恥ずかしいことになるのかもしれない。だがきっと、今度は得意げに明らかになったと話すのだろう。
    • 「東北大学の渡辺サブグループが掲載している情報」を見てから,読売新聞の記事読むと,ものすごいミスリードな記事な気がするのですが….アブラナの自家不和合性に特有の新規な現象であったのにメンデル遺伝法則の仕組み発見って.
      ま,Nature Geneticsに掲載されてる論文,読んでみますかね.
      親コメント
      • そうですね.ちょっと新聞記事は煽り過ぎかと思います.

        論文の内容はアブラナの自家不和合性に関わる遺伝子がDNAのメチル化を受けること
        によって数種の配列の中で優性劣性が決まっているということであり,直接的に自
        家不和合性の説明をしたわけでもメンデルの遺伝法則の一般的な法則の発見をを行っ
        ている訳でもないですね.
        DNAメチル化による遺伝子発現のコントロールはほ乳類のX染色体などでは既によく
        知られていることです.
        (そうしなければメスはオスの2倍のX染色体遺伝子を発現してしまう)

        これまで他の生物で知られていた現象(発生時や器官特異的なDNAのメチル化)が
        アブラナのような植物でもおきていたということで重要な研究ではあるのですが、
        メンデルを持ち出すのは筋違いだと思います.
        --
        kaho
        親コメント
      • 記事にある対立遺伝子というのはいわゆる優勢・劣勢遺伝子のことで,
        メンデルの「優勢・劣勢の法則」が適用できる遺伝子の事を指します.
        これは,AとBの異なる性質を1つの遺伝子でスイッチされるような場合を意味していて,
        アブラナの自家不和合性は,対立遺伝子によるものらしいという仮定のもとなのでしょう.

        だから「仕組みを発見」は言いすぎでもミスリードではないのではないかと.
        もっとも次の焦点である,
        アブラナに見られたこの現象が,広く他の生物にも適用できるのか
        が解明されなければ駄目なのでしょうが.

        何故この現象が今まで他で発見されなかったのかが気になります.
        観察するのが難しいのか,それともやはり他では見られないことなのか・・・

        #専門家の方にぜひ解説していただきたい
    • 失礼、感動のあまり読売の記事も渡辺サブグループの情報も読まずにコメントしてしまったべな。

      ところで、優性・劣性の決定機構って結局明らかになってるんでしょうか? 遺伝学は専門分野の隣接領域なんだけど所詮隣接領域なのでよく知らない。
      親コメント
      • by blackdragon (20912) on 2006年02月02日 0時30分 (#875267)
        優勢・劣勢といっても、いろいろなケースがあるでしょうから、ひっくるめて、「優勢・劣勢の決定機構」などと一般化して論ずること自体に無理があります。

        明らかになっている機構の典型的なものとしては、
        ・何らかの機能を持った優性形質と、機能喪失による劣勢形質
         (両方もっていると、機能が果たされる)
        があげられますが、
        ・上記の優性形質の機能を妨げるような機能をもってしまったさらに優勢な形質
         (両方持っていると、機能が妨げられる)
        なんてのもあり得ます。というわけで、優性・劣勢というのは、所詮相対的なものだというのも要注意。

        優性  <=  =>  劣勢
        優性変異  野生型  劣勢変異
        親コメント
      • 既にblackdragonさんが答えていますが若干補足を.
        優性と劣性は単にどちらの遺伝子が多く発現するかというだけで常に1/0で決まるものではありません
        むしろそのような遺伝子は少数派かと思います.
        メンデルの法則は生物界を支配する普遍法則ではなく,いくつかの現象を説明する数学的なモデルにすぎません.

        例えばABO血液型では血球表面の糖鎖の修飾を行うA/Bと行わないOという違いがあるためA/BはOに対して100%優性の表現型となります.
        また血友病のようなある種の病気では,遺伝子が機能しない変異がある場合でも片方が正常なら症状が現れないため,表現型としては劣性遺伝です.
        これらは機能する遺伝型と機能しない遺伝型の組み合わせによる優性/劣性の決定機構です.
        完全に1/0でない劣性遺伝としては髪の毛の色などもあります.金髪の遺伝子は劣性遺伝ですが,金髪/金髪の親と黒髪/黒髪の親から生まれた子供が黒髪の親と完全に同じ髪の色になるとは限りません.

        これらに加えて最近注目が集まっているのが,今回の研究にもあるようにDNAやヒストンの修飾による転写制御によって起こるエピジェネティック(受精の後に決まる)な決定機構です.
        DNAの配列をみただけではどちらが優性でどちらが劣性になるのか分からないので,これらはメンデルの遺伝法則にむしろ反する観察結果を得ることもあります.
        こちらの例としてはゲノムインプリンティングとして知られる,かならず母親(あるいは父親)の遺伝子が使われる現象で,常にメンデルの遺伝法則に反しています.

        今回の研究ではDNAのメチル化が遺伝子の違いによって決定されていることが示されていますが,何が配列の違いを認識し,優性/劣性を決定づけているかはこれからの課題とされています.
        あまりにも当たり前な言い方になってしまい恐縮しますが,まとめると「メンデルの遺伝様式を示す機構のいくつかは明らかになっている.そのレパートリーの一つが植物でみられ,DNA修飾で行われていることが判明したが,決定機構はまだ分からない」ということかと.
        --
        kaho
        親コメント
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