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バイオテック

分子生物学の道具:GFPの発見にノーベル化学賞が贈られる 53

ストーリー by yosuke
日本人だの甥だの何だのという小さい話はどうでもいい 部門より

teratera 曰く、

2008年ノーベル化学賞が発表された。今年はgreen fluorescent protein(GFP)の発見・開発に寄与したDr. Osamu ShimomuraとDr. Martin ChalfieそしてDr. Roger Y. Tsienに贈られる。

GFPとはオワンクラゲから分離されたタンパク質で、青色の励起光により緑色の蛍光を発する。生きたままの細胞でも観察することができ、特定のタンパク質と融合させて導入することで、目的のタンパク質の挙動を知ることができる。

GFPの構造を変化させることで他の色を発するものも作られ、同じ細胞内で複数の分子の挙動・分布を同時に観察することもできるようになってきた。またこうした複数の蛍光タンパク質間でエネルギーの移動によるfluorescence resonance energy transfer(FRET)を観察することで、興味のある分子同士が相互作用するか生きたまま観察することすらできる。
生きた細胞をそのまま観察するということが可能となったことから、より実態に近い分子挙動が見られるようになった。分子生物学の発展に大きく貢献した発見・開発と言える。

ノーベル化学賞も、最近は医学生理学賞との分別が難しくなってきた。タレコミ人は生物学を学んだが、もう物理・化学・生物と分け隔てて学ぶ時代ではないのかもしれない。

個別の受賞理由は以下の通り。
下村は、GFPをオワンクラゲから発見し、分離精製した。
Chalfieは、GFPが遺伝子標識として使用できることを示した。
Tsienは、様々なGFPの変異体を作成し、蛋白質の合成から発光までの時間を短縮し、緑色以外の発光も可能にした。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2008年10月09日 0時41分 (#1434558)
    wikipedia [wikipedia.org]によると

    コンピュータセキュリティ専門家でケビン・ミトニック逮捕に関わった下村務は息子。
  • by pee-wee (29602) on 2008年10月09日 11時30分 (#1434736)
    下村先生とは、春にお話しする機会が少しだけありました。
    とても、柔らかくて、ユーモアたっぷりの人でした。

    GFPの発見に関する講演を拝聴したのですが、プレゼンに出てくる写真が
    釣りみたいな写真ばかりでとても楽しそうに研究されてる感じが溢れていましたよ。

    しかしやはり話のキレはあり、あの年とは思えないオーラが漂っていました。

  • 素直に喜ぼう! (スコア:2, すばらしい洞察)

    by animal (13504) on 2008年10月09日 0時41分 (#1434557)
    ツマラン御託はナシ!
    素直に、日本をルーツに持つ方々の偉業を誇りに思おう!!
  • 文化勲章 (スコア:2, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2008年10月09日 1時05分 (#1434566)
    ノーベル賞受賞が決まった人には文化勲章が贈られる例ですが、先の物理学賞の小林・益川両氏に続き、下村氏も文化勲章まだですね。
    白川氏の化学賞受賞の際の新聞記事にあったと記憶しますが、文化勲章がまだの人物にノーベル賞受賞決定というニュースは文部科学省にとって”ヤバい”そうなので、今年は3人も当たっていることになります。
    • by Anonymous Coward
      > 文化勲章がまだの人物にノーベル賞受賞決定というニュースは文部科学省にとって”ヤバい”そうなので、
      オレだよオレ。来年あたりノーベル賞貰えそうだから、今年のうちに文化勲章を贈ってくれないかな。あと文化功労者の終身年金もよろしくな。
    • by Anonymous Coward
      >文部科学省にとって”ヤバい”

      文化勲章よりもノーベル賞が騒がれるのは、それだけ
      積み重ねてきた権威が違うからですよねぇ…
      文部科学省もそう思ってるんだろうし。

      もう少し文化勲章の地位もあげたいなぁ。
      他にそういった賞を作っても良いですが。
      できれば、横車に強い賞を。
  • by Anonymous Coward on 2008年10月09日 2時19分 (#1434580)
    ちょっと微妙なところもあったり。
    最近ノーベル化学賞の対象としてだいぶ生化学とか生理学関連などが増えてきたんで、
    周りの(いわゆるこてこての)化学な方々は「科学者としては素晴らしいと思うものの、
    化学者としては内心複雑」という感じだとか飯時に話してます。
    いやまあ、生物学とかで賞がないんで入るとすれば化学で間違いないんですが。
    • by Mochimasa (31796) on 2008年10月09日 2時26分 (#1434584) ホームページ
      >いやまあ、生物学とかで賞がないんで入るとすれば化学で間違いないんですが。
      確かにストレートに生物学の賞はないですが、実質的には医学・生理学賞がその役割を果たしているように思います。
      化学賞に生物系の受賞が増えている背景には、受賞すべき人が多すぎて医学生理学賞ではさばききれないという事情もあるような気がしますね。
      親コメント
    • Re:化学系としては (スコア:2, すばらしい洞察)

      by taka2 (14791) on 2008年10月09日 9時36分 (#1434677) ホームページ 日記
      本人自ら、化学のつもりはなかったので、化学賞なのは不思議だ、みたいなことを言ってましたね。
      今朝、NHKで生中継インタビューをしてましたが、
      自宅が実験機材で一杯だったのがなかなかアレゲでした。
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      生化学は、「生命現象を化学の視点から見つめよう」という学門なので、化学です。
      化合物の合成を生業にしておられる研究者からすると受け入れがたいかもしれませんが、そういうものです。
      • 元ACです。
        #専門は物理化学なもんで合成は苦手でいてみたり。

        いやまあ、それは重々承知してはいるのですが、何というか古典的化学の
        人間から見た懐古主義(いや、ちょっと違うか?)みたいなもんです。
        いっそ生物系の賞も作ればいいのに、などとも思うんですが。
        • >>いっそ生物系の賞も作ればいいのに、などとも思うんですが。

          受賞者が起こした会社が潰れてばかりいる経済学賞、
          国際政治の道具でしかない平和賞、
          というような、役に立ってるんだか判らない賞を廃止して、
          地学・天文学的な発見や生物学の発見に対して与えられる賞を作るってのは?
          親コメント
  • by Anonymous Coward on 2008年10月09日 3時11分 (#1434593)
    物理賞の方に書こうと思ったけど、コメントでいっぱいなのでこっちに書きます。ニュースを見ていると「若い人が物理学に興味を持ってくれるといい」のようなコメントが多いのですが、基礎科学の受け皿って日本は少ないんです。ノーベル賞を取ったことは素直に喜びたいけど、いま進路選択で悩んでいる高校生がこれを見て「医学部、工学部と理学部で悩んでいたけど、理学部物理に決めた」となるのは実は危険です。理物なんて東大を出てもろくに就職先がないんですから。

    おめでたいムードのときに「無責任なことを言わないでくれ」というのも嫌なものだけど、人の一生に関わる問題ですので。
    • Re:基礎科学の受け皿を (スコア:5, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2008年10月09日 5時25分 (#1434615)
      「興味を持ってくれる」というのは別にいわゆる理系が選ぶ進学先として、とは限りません。

      いわゆる“文系”でも、進学・就職後にいわゆるマスコミに就職して
      記者になったりアナウンサーになったりしたときに、
      理論・基礎科学でノーベル賞を取った研究者が世に出たときに

        「で、その研究は何に役に立つのですか?」
        「研究が及ぼす経済的効果は?」

      なんて質問をしなくなるだけでも、大したものです。
      親コメント
    • Re:基礎科学の受け皿を (スコア:4, すばらしい洞察)

      by teratera (19792) on 2008年10月09日 8時44分 (#1434650) 日記

      ノーベル賞をきっかけに、文部科学省とかが基礎研究を重視する方針に切り替えてくれればよいのですけどね。
      ノーベル賞を幾つか取りたい [mext.go.jp]とか言って受賞者に苦言を呈された事がありました。研究の場を積極的に用意することなく、期待だけするのは間違っていると認識する良い機会じゃないでしょうか。

      お金になると判ってる研究であれば、何も言わなくても企業が援助します。
      大学も採算性を・・・っていうのであれば、そもそも大学で研究していく理由がなくなりますね。どうなるか判らない研究こそ人手も時間も予算も必要です。
      『一応』高い研究水準を名乗っていられる間に、方針転換してくれることを望んでやみません。

      親コメント
      • by Anonymous Coward
        政策には目標が必要で、それは誰にでもわかりやすいものでなければならない。
        のだが、科学政策にはわかりやすい目標があるわけじゃないから、ノーベル賞を引き合いに出してきただけの話。

        50年で30人だなんて遠大な目標、誰が本気で立てたりするもんか。
        ちょっと考えればわかりそうなもんだが。
        • by Anonymous Coward
          つーか、実際に行っている政策が、目標として述べたお題目の真反対に進んでるから「お前ら、言ってることとやってることが真反対じゃん」と苦言を呈されたわけですが。目標の実現性云々の話じゃないのよ。
          • by Anonymous Coward
            竹中平蔵氏などは「東大を民営化して競争原理を取り入れろ」とか言っているしな。
            • by Anonymous Coward
              東大はハーバードあたりには負けるけど、結構巨額の基金を持っていて、十分民間的な経営をしています。私立大学になっても十分やっていけますね。マッキンゼーみたいなコンサルを雇って色々改革もしているし。

              やばいのはその他の国立。京大ですら東大にはずいぶん差をつけられている。
              • by Anonymous Coward
                いやあ、そもそも東大がそれだけの基金を持てた背景には、国からの予算配分での手厚い優遇があるわけでして。
                予算の1/2は東大に、残りの1/2のうちの半分は京大に、さらに残りを他大学で分け合う…なんてことも冗談まじりに言われてますが、まぁそこまではいかなくても、それに近い状況はある。
      • by Anonymous Coward
        全くその通りだともいます。 でも,今の方向性は大学も金とってこいですよね… 「昔の人はノーベル賞を取れたのになんで最近の研究者はとれないんだ!」って数十年後に言われるかもしれませんが,だれがそうさせた?と言いたいです。
        今の煩雑になった大学では研究に十分没頭できる教員は非常に少なくなってると思います。 私は,すごい発見は多くの方々の努力の結果出てくると思っています。よって,現状の行き方ではもう少しすると,日本の科学技術は世界と比べて「高度」ではなく「普通」になってしまうのではと思っています。
    • Re:基礎科学の受け皿を (スコア:2, おもしろおかしい)

      by Anonymous Coward on 2008年10月09日 10時15分 (#1434697)
      あ…ありのまま、理物で起こったことを話すぜ!
      「素粒子理論を専攻していたのに、卒業後の就職先は金融業だった。」
      何を言っているのかわからねーと思うが、オレも何をされたのかわからなかった…
      頭がどうにかなりそうだった…
      進振りだとか院試だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ…
      もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
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    • by Anonymous Coward on 2008年10月09日 11時28分 (#1434735)
      > 理物なんて東大を出てもろくに就職先がないんですから。

      これは全くの嘘っぱち。大学の研究職にこだわらなければ、学部卒でも修士修了でも就職口はたくさんあります。電気電子機械系メーカーが多いけど、化学系や金融関係、商社、外資ソフト会社などに就職した人も何人も知っています。
      東大にかぎらず(千葉大、理科大、青学大、日大とか)私の知っていたまじめにやっていた連中は就職先を見つけています。
      逆に(引きこもっていた人を除けば)就職しようとして出来なかった人は一人も知らない。
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      入試か、(東大などなら)進振りで切られるので心配無用
    • by Anonymous Coward
      > いま進路選択で悩んでいる高校生がこれを見て
      基礎科学の道を断念するか、外国に流出するだけだろ。常考。
    • by Anonymous Coward
      受賞者が、アメリカ人(出身国:○○)みたいな方に限られてる感じで、 国内研究機関の楽にやってけそうな椅子にしがみついてる身には耳が痛い話です。

      # 痛いのには慣れました。
    • by Anonymous Coward
      若い人の感心?

      ・金になるか
      ・ヤれるか(下品でごめん)

      でしょ。でなきゃ誰がわざわざ苦労するもんかと小一時(ry
  • 遺伝子導入 (スコア:1, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2008年10月09日 0時04分 (#1434542)
    ただ混ぜ合わせるのではなくて、 遺伝子にくみ込むから意味があるのじゃなかったっけ?
  • そして取り残されていく地学…(ノーベル賞的な意味において)

    #数学はフィールズがあるしなぁ。
  • だれかが言ってましたけど、大学では

     生物は化学になり
     化学は物理になり
     物理は数学になり
     数学は哲学になる

    そうです。
  • by Anonymous Coward on 2008年10月09日 7時39分 (#1434632)
    ノーベル賞って物理学賞と化学賞しかないんでしたっけ?
    • by shinshimashima (9763) on 2008年10月09日 10時57分 (#1434710) 日記
      生理学医学賞

      残りはどーでもいいよ。
      親コメント
      • なぜかおもおかが付いたので、マジレス。

        ・文学賞
        学問じゃないんでどうでもいい。文芸学ならともかく。
        #必ずしも文学のみじゃないんだけどね。モムゼン(ローマ史)とかチャーチル(WW2の回想録)とかも受賞してるし。

        ・平和賞
        ヤセル・アラファトが受賞って・・・
        ウサマ・ビン・ラディンがもし「テロやめます」って宣言したらもらえたりして。で、賞金を資金にテロ再開。

        ・「ノーベル記念経済学スウェーデン銀行賞」俗にノーベル経済学賞
        ノーベル賞とは本来別モノ。
        1997年のマートン、ショールズの受賞直後にLTCM破綻のインパクトが強すぎ。
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