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書籍

「直取引」で書店は生き残れるか 71

ストーリー by hylom
うまく役割分担を 部門より

日本の一般的な書店では、「取次」と呼ばれる企業を介して出版社から雑誌や書籍を仕入れている。しかし、2015年11月に京都市でオープンした書店「誠光社」は取次を介さず、出版社から直接仕入れを行っているという(ビジネスジャーナル)。

記事では直接取引を行うことで、大手取次との高額な契約金や取次が取るマージン分がなくなる、扱いたい書籍を自由に決められるというメリットがあるという。

ただ、この書店の経営は順調とのことだが、このような書店が成立できるのは小規模で「嗜好性の高い」書籍を中心に扱っているからというのもあるだろう。また、取次経由で仕入れた書籍のほとんどは返品が可能であるが、直接取引の場合仕入れた書籍を返品できないことが多い。そのため、単純に書店のメリットが大きくなるとは言えない面もある。

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  • コンビニ弁当でも同じような話があるらしいですが、実際に売れる数以上に品物をそろえていないと客足が遠のいて販売数が減るという現象があります。POSで高精度で予想販売数が分かっていてもコンビニ弁当廃棄問題が起きるのはこういう現象が背景にあるそうな。

    これは本においても同じで、話題の本をタイムリーに平積みにしていないとライトユーザーが店に寄り付かない。なので、売れる数ぎりぎりまで絞って仕入れていると棚があく→客足が遠のいて売り上げ減→さらに仕入れを絞らざるを得ずまた客が減るという悪循環になるかと。
    今の取り次ぎを中心とした委託販売システムは、話題の新刊を大量において回転率を高めることに特化した販売システムで、新刊書籍をとりあえず並べておいて売り切れなかったら返本することができます。なので、取次にマージン抜かれて利益率が悪くともなんとかやっていけるわけです。

    もし、ライトユーザー向けの一般書店を返本のきかない出版社との直接取引で経営しようとすると、上記の悪循環に陥るか、売り切れない在庫の山を抱えるか、どちらにしても早々に店をたたむことになるんじゃないかと。

    こだわりを持って常連客のために品ぞろえを厳選しているような書店は確かに直接取引で生き残れる目もあるかもしれないが、全部が全部そういう「ニッチ向け」の書店になってしまうと、数少ないヘビーユーザーを食い合う形になってしまう
    なにより「マスに大々的に売る話題作」の販路がなくなって出版社も大打撃でしょう。ライトユーザー向けのメジャーコンテンツがあって大きなファン層を形成しているからこそニッチ向けの商売が成立するわけで、流通をプールしてマス向け商品をさばける販路を維持しないと書籍がメディアとして滅亡してしまうだけかと……。

    --
    しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
  • by I-say (18650) on 2016年02月22日 16時20分 (#2968691)

    無駄にかぎかっこつける必要ないだろ、変な推測しちゃったじゃあないか

  • by Anonymous Coward on 2016年02月22日 16時20分 (#2968693)

    日本の書店問題の難しいところは、取り次ぎが書店専門のコンサルタント兼金融機関のような役割をしているところにあります。

    アマゾンなどから見れば腹立たしいでしょうが、地方の書店維持には大きな役割をはたしていたので、単純に悪習扱いすべきとは、思いません。

    • by Anonymous Coward on 2016年02月22日 16時32分 (#2968704)

      そのコンサルタントの腕が悪かったために、地方の書店はどこも金太郎飴みたいに同じ品揃えになって結果的に衰退を早めたのではないかと思いますが。

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      • by Anonymous Coward on 2016年02月22日 21時00分 (#2968858)

        個人書店衰退の一因として、取り次ぎが大規模書店優先のため個人書店には欲しい本(売れる本)をよこしてくれないって話がありました
        アマゾンの存在がなくとも衰退速度は大して変わらなかったかもしれない

        親コメント
      • by Anonymous Coward

        コンサルタントというのが、本当に価値があればよかったんだが、よくある売り文句に成り下がっているのでしょうね(どっかのSiみたいなものかww)
        今の時代、単に情報を持っているだけではダメなんでしょう。
        取次ぎが持っている情報ぐらい地方でもそんなに価値が高くなくなったということかも?

        • by Anonymous Coward
          取次の側でも書店の側でも取次=出版金融って認識ではないかと。
          配本のコントロールは銀行の融資条件みたいなもので
          コンサルと強弁すればコンサルだけど…というレベル。
    • by Anonymous Coward

      悪者でもないけど問屋が倒産するにあたって借金を急やに回収する事になって書店が連鎖倒産してるからなあ。
      金融機関にしては資本が少なすぎて書店を支えきれないからな。

  • by Anonymous Coward on 2016年02月22日 15時09分 (#2968630)

    元々古書店なんかは普通にやっている。
    単に顧客と損益だけが問題だよ。

    • 古書は再販売価格維持制度の対象外なので値引きワゴンセールできる点が違うかと。
      あと利益率とか、どこかの図書館に卸すとか(某

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        直販の場合って返品できないし再販価格維持制度の対象になるのかしら?

        • by Anonymous Coward on 2016年02月22日 19時57分 (#2968823)

          書籍の再販価格維持制度は、販売業務委託契約または売れ残りの買取り保証付の販売契約が根拠になっています。買取による直販の場合、どちらの契約も効力を持ちませんので、再販価格維持制度の範囲外の扱いになります。逆に言えば、そのために書店からの返本不可になっているんですけれどね。

          親コメント
          • by Anonymous Coward

            つまり#2968725の言うような現象が本当にあるとしたら、
            にぎやかし分は取次から仕入れておいて、本当に売れそうな分は直販で仕入れればいいんですね。

            //取次が切れて、店頭展示はモックアップになります。

  • by Anonymous Coward on 2016年02月22日 15時14分 (#2968634)

    当面は大丈夫でしょう。レトロ読書家はまだ多いから。

    でも、例えばアナログレコード。
    店がなくなったわけじゃないけど中古店以外壊滅と言っていいですね。

    書店の生き残りが、あんな感じに、コンビニ的な店か、古本屋しかない、そんな感じになるのは時間の問題じゃないかな。
    とにかく通販が便利すぎる。

    いっそ書店とカフェを併設して「売ってる本を座り読み」できるのが普通になるとか。

    • by Anonymous Coward

      この店が独占販売している本をどうしても買いたいか、
      自分の通勤経路にあってこの店によっても3分以上のロスにならないか
      でなきゃつかわない。

      まぁやりたきゃ古本屋みたいに細々やるんだね。

    • Re: (スコア:0, 興味深い)

      by Anonymous Coward

      武市市図書館?

      # 売れそうな本しか並ばなくなるんですよねぇ

    • by Anonymous Coward

      時間軸をどれぐらいで見るかによると思うんだが…

      他国の例を見ていると、通販はだいたい最大でも全市場の4割程度、電子書籍は全市場の3割程度までいくと、成長が止まっているっぽい。その後はじわじわとしか進まないようだ。
      と言う訳で、急進的に進むとみてもあと20年は体制は変わらないのでは。

      音楽業界の例だと、Napsterの登場から後2年ちょいで20年だけど、まだそれなりにやってる。少なくともアナログレコードよりはCDの方が遙かに売れているわけで、まだまだそれなりの市場規模でこの先生きのこるんじゃないだろうか。

      • 日本の場合書籍取次があるので同じには語れないかと。

        #BJでこの一連の記事はすでに読んでいましたが、正直都市部の書店は残っても地方書店は壊滅するだろうな、と。雑誌だとコンビニで用が足りるわけですし、単行本は地方書店では品揃え面でどうしようもない。各県で一軒かそこいらのこれば後は通販で困りようもないわけです。

        親コメント
    • by Anonymous Coward

      『「直取引」で書店は生き残れるか』で問われているのは新刊書店のことでは?

      古書店は、取次店から仕入れて売る新刊書店とは全く別の商売ですよ。

    • by Anonymous Coward

      いっそ書店とカフェを併設して「売ってる本を座り読み」できるのが普通になるとか。

      札幌の紀伊国屋は中のスタバで購入前の本が読めます。

  • by Anonymous Coward on 2016年02月22日 20時36分 (#2968838)

    出版社勤めしてたとき、直取引ありました。
    本の世界は商習慣も商習慣なので普通に返品も受け付けていました。

  • by Anonymous Coward on 2016年02月22日 21時16分 (#2968866)

    池袋とかでも中小本屋で「問屋変更にともなうトラブルの為、各店とも雑誌、書籍とも新刊・既刊の入荷が止まっております」なんて張り紙がある状態じゃ、好む好まないにかかわらず直接取引せざる得ない状況においこまれるんじゃないかとも…

  • by Anonymous Coward on 2016年02月22日 15時44分 (#2968662)

    オープン直後は物珍しさで客がどっと入るというのは良くある話で、
    3年ぐらい後にまだ生き残っているかを見なくては、
    果たして安定した運営が成り立つものなのかはなんとも。

    • by Anonymous Coward

      売れ残りが有利に返品できるなんて本業界とレコード(CD)業界だけなんでしょ。
      それでも潰れる店がよくあるらしいのがねぇ…

      • by Anonymous Coward

        そりゃ、万引きされた商品の補償まではやらないもんね。

    • by Anonymous Coward

      > なんとも。
      そうですよね、こういう試みは応援したいと思うけど、一番肉付きの良い獲物に狙いを限定するというのは、競合は居ないけれど獲物も少なくて、食物連鎖の頂点に立つようなもので、狩場が非常に限定されてしまう。京都とか東京とか大学の多い大きな街でも継続的な商売ができるのか心配。

  • by Anonymous Coward on 2016年02月22日 15時48分 (#2968666)

    リスクを背負う書店の方が、今の品揃えの悪い書店よりもマシだと思います。

    # 書店に置いてある技術書の時代音痴さ加減は何とかならんものか。普通に図書館の方が品揃え良いというのは何かがおかしい気がする。

    • by Anonymous Coward

      > 技術書の時代音痴さ
      いやいや、技術書なんて最新は1年も保たないんだから、常に最新にしろってのは棚のでかい大きな書店以外無理でしょ。

      通販(海外含む)で買えない特別な技術書で書店になきゃ困るって、そんなあります?

      • by Anonymous Coward

        置かない方がマシだろ、って言いたいんじゃないかな…。
        コレが図書館になると、資料的価値があるかもしれないですけどね、あまりに古くてw

      • by Anonymous Coward

        今に電子書籍での販売が主流になって紙媒体が欲しい人は電子書籍のデーターを別途製本屋に送って依頼する時代がやってきそう

        • by poly (42427) on 2016年02月23日 23時33分 (#2969633) 日記
          「稀書自慢 紙の極楽」(荒俣宏)に拠ると、製本されてない中身だけの本を、購入者が自身の好みで製本する時代があったそうだけど(革製本したいから革製本するとか)、ある意味その時代に戻る事になるんですね。
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          • わたしの通っていた高校にあった蔵書だと、人気作家チャールズ・ディケンズについていろいろ紹介していた書籍に元は雑誌販売というかその都度切り売りだった小説の連載を製本する話が載っていたなあ。

            日本でも酔狂なのが常な大学図書館で学内の研究誌を製本して収蔵していたりみたいなことはあるけど、あれを読者の好みと予算に応じて個別にやることなのだろうなあ。

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        • by Anonymous Coward

          紙の本は TAOCP や K&R みたいな本だけでいいよ。゜

    • by Anonymous Coward

      返品不可なら、陳腐化の早い技術書は真っ先に切られるんじゃないですかね。

      • by Anonymous Coward

        近所の書店を定期的に見てると、売り切れたものは再補充されないで、売れ残りはずっと残っているという状態です。
        あれって一体何でなんでしょう?

    • by Anonymous Coward

      一般向けの技術書であればそこそこタイムリーに出ているだろ?
      専門向けの書籍であれば、そもそも日本語のモノが出るのが遅いから図書館でも一緒。
      最初から扱ってないとかは良く見るが、時代音痴とは思ったことは無いな。

      • by Anonymous Coward on 2016年02月22日 16時31分 (#2968703)

        オライリーの電子書籍が便利過ぎて、品ぞろえが拡充したら紙の本を買う気がなくなりそうです。

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      • by Anonymous Coward

        最近は、遅いというよりも、そもそも出ない(翻訳を含め)ってものが多いような気がします。

    • by Anonymous Coward

      今の書店はどこに行っても同じような品揃えですからね

      返品は出来なくなるだろうけど恐らく値引き販売は可能なんですよね?
      店舗側に自由度が出てくるので店の特色を出しやすくなって良いのではないかと思います

  • by Anonymous Coward on 2016年02月22日 18時07分 (#2968772)

    安く売ってくれるのなら考えるけど、しないんだよね
    価格を守らないと独禁法違反になるとかアホらしい

    せめてカード決済、宅配してくれればAmazonや楽天なみに使おうかという気にもなるけど
    それもやらないんだろうなあ

    • by Anonymous Coward

      >価格を守らないと独禁法違反になるとかアホらしい

    • by Anonymous Coward

      再販制度を批難する人はいますが、そういう方々は再販制度がなくなれば価格が安くなるだけだとでも考えているんでしょうか

      電子書籍が主流となる時代になって出版社側のシステムが変われば再販制度が無くなっても大丈夫かもしれませんが

  • by Anonymous Coward on 2016年02月22日 21時19分 (#2968871)

    さらに今では日販トーハン大阪屋のすべてと取引がある。どう転んでもリスク分散は万全。今さらこんなこと言ってるようじゃ周回遅れもいいところじゃね。

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アレゲは一日にしてならず -- アレゲ研究家

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