年度末に向け、携帯3社によるMNPキャッシュバックキャンペーンの加熱が話題になっている。MNPキャンペーンの本来の目的は、3社(docomo, au, softbank)間での顧客の奪い合いだが、そのような本来の競争とは関係なく、安価なMVNOのサービスを多数契約し、短期間でMNP転出、3社にMNP転入を行うことで、高額なキャッシュバックを繰り返し受け取るという人も生んでいる。キャッシュバックを繰り返し受け取ることで、毎月数十万円の「収入」を継続適に得ているケースも散見される。彼らはこのような行為を「携帯乞食」と自称し、掲示板などで高額なキャッシュバックを出す店や、確定申告の方法を情報交換したりしている。(参考:掲示板はじめての携帯乞食)

このような人々が、安価に利用できるMNP弾(MNP転出元)として利用しているのが、日本通信(b-mobile)の「スマホ電話SIM」だ。日本通信は端末セットではなく通信契約(SIMカード)のみで契約できるため、契約時にに端末代金がかからない。また、契約に関する制限が緩く、多数の回線を契約したり、短期間でのMNP転出を繰り返しても「ブラックリスト」に乗ることがない。このため、キャッシュバック目当ての人々は、家族の名義を駆使して日本通信で毎月20回線〜30回線もの回線契約を行い、当月中にMNP転出することで高い収入を得ている。(参考: コメント欄の書き込み)日本通信では短期間でのMNP転出時に、MNP転出の事務手数料とは別に、違約金を取ることとしているが、違約金を払ったとしてもキャッシュバックで得られる利益の方が高い。

「MNP弾」を供給している日本通信は、3/27のNHKニュースでのインタビューにて、契約当日にMNP転出するなどの、短期間でのMNP転出が「12月〜2月の3ヶ月間で15000件を超えた」とコメントしている。この数には含まれていないが、3月にはMNPキャッシュバックキャンペーンがさらに加熱しているため、2014年度4Qの短期のMNP転出数は20000件を超えるのではないかと推測される。
これにより日本通信が得た違約金の額は3億円を超えると推測される。日本通信は年間売り上げが40億円程度の会社であり、4Qだけで3億円を超える違約金収入は、経営上も大きな位置を占めることになる。実際、日本通信は3/24に業績予想を上方修正(PDF)しており、また、3/25にも増加する事務手続きに対応するため、オペレーション専門の子会社を新規設立することを発表しており、MNPキャッシュバックキャンペーンの余波が思わぬところに好景気をもたらしていることをうかがわせる。

一方、3キャリアのMNPキャッシュバックキャンペーンについては、「長期継続利用者の利益が不当に使われているのではないか」という指摘が各方面から上がっている。3/27に公開された総務省の情報通信審議会の資料(PDF)では、キャッシュバックキャンペーンにまつわる資金の流れを解説している。これによると、2013年度1年間でMNPキャッシュバックキャンペーンのために3400億円の資金が動き、「5%のMNP利用者のために、95%のMNP非利用者が一人あたり2800円を負担している」とまとめられている。

MNPキャッシュバックキャンペーンについては長らく実態がよくわからないと言われてきたが、議論の深まりとともに資金の流れが見えてきたことは非常に興味深い。

オープンソースOS「Replicant」の開発者が、Samsung Galaxyシリーズのアプリケーションプロセッサに組み込まれたプロプライエタリ・プログラムが、ファイルシステムのI/Oオペレーションをリモートで実行可能にするバックドアを搭載していることを発見したとのこと（Free Software Foundationのブログ）。

このプログラムは、遠隔地からスマートフォンの記憶領域内にあるファイルにアクセスし、ファイルの読み込み・書き込み・削除が可能になるというもので、いくつかの機種では個人情報にアクセスする権利を有しているとのこと。

Replicantの開発者は、Galaxyシリーズの所有者はSamsungに説明を求めるべきだと主張している。