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LARTHの日記: 負の誘電率をもつ電子ガスが実在することが証明される 21

日記 by LARTH

Spring 8 のプレスリリースによると、京都大学と広島大学は財団法人高輝度光科学研究センターと共同で、長年の謎とされていた「負の誘電率をもつ電子ガスが実在する」ことを世界で初めて証明したと発表した。

 膨張してゆく流体ルビジウムのミクロ構造に、ある密度以下になると、実測の原子間距離は逆に短くなるという異常な振る舞いがX線回折測定から明らかになった。興味深いことに、原子間距離の短縮が始まる密度は、電子ガスの誘電率が負になると予測される密度に一致する。これは、電子ガスの誘電率が負に変わったために、その中にある正イオンの間に引力が作用し始めたことを示している。
 負の誘電率をもつ電子ガス中では同種電荷が引き合うという奇妙なことが起きる。このために、電子自身もまた互いに引き合いペアを作ことができ、電流が抵抗なく流れる新しいタイプの超伝導物質を創製できる可能性が示された。

高度な科学(多体電子論)はSFと区別がつかないです(^^;;;

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 金属以外との比較 (スコア:2, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2007年02月24日 12時47分 (#1116103)
    プレスリリースやAbstractを見ると、
      超臨界状態の金属で、密度低下に伴い、平均原子間距離の低下および密度揺らぎの増加が観察された、
    ということのようですね。


    しかし、一般的にも、低密度状態で密度揺らぎが増加するのはありそうな気がしますし、そのときに平均原子間距離が低下するのもありそうな気がします。

    今回の現象が金属以外では起こらないことを示していただければ、もっと納得しやすいのですが。

    それとも、その筋では常識?
    • by sync.neo (16796) on 2007年02月24日 18時49分 (#1116259)
      ややこしい話なんで、プレスリリースを一読しただけでは私には難しいのですが...

      まず、密度低下(膨張)に伴って「平均原子間距離」は当然長くなってます。が、X線小角散乱で得られる原子間距離(動径分布関数のピーク位置)は短くなったということでしょうね。単純に考えるとなんらかのネットワーク構造みたいなものができてるようにも思えます。いずれにしろ膨張によって液体の構造が変化してるわけです。
      おっしゃる通り、このこと自体はそれほど珍しいことではないでしょうが、その原因が"自由"電子気体の負の誘電率に由来する原子間の引力、ってところが味噌でしょう。もし、このような液体金属状態以外の物質で同様の構造変化が見られたとしても、それは自由電子による金属結合以外の化学結合の範疇で説明できるから、負の誘電率などというものを考える必要はない、という事なんでしょうね。
      # 識者のツッコミ希望
      親コメント
      • えーと、金属に電子ガスがあるのは当たり前ですが、物性の人の興味は、セラミックだと思います。プレスリリースでわざわざ超電導の方に話を振っているのからも分かるように、ある種のセラミックは、金属よりもかなり高温で超電導状態になる、という前提を知らなければ、この話は理解し辛いかもしれませんね。超電導は理論より実験が先行している典型的な物性分野で、あたりを引けば、ノーベル賞というくらいのものです。今回、液体金属でデータが取れたことによって、理論的に(高温で)超電導をおこす”はず”の全く新しい組み合わせからなるセラミックをみつけられるかも、と言う風な応用分野がある、ってことでしょうね。
  • by shoji12 (14093) on 2007年02月24日 10時39分 (#1116065)
    原子数が数個でも密度は定義できるのか?
    もしかして、10^22個くらい必要?
    電子雲は膨張したけど、原子核の塊は収縮した、という理解でOK?
  • by Anonymous Coward on 2007年02月24日 9時01分 (#1116026)
    電子の「雲」なんて言うのと同種の比喩みたいだね。
    # 電子気体とも言うのか
  • by Anonymous Coward on 2007年02月24日 9時09分 (#1116031)
    マイナスイオン!
  • 証明 (スコア:0, 余計なもの)

    by locate (5848) on 2007年02月24日 9時25分 (#1116037) 日記
    実験結果一つを持ってして「証明した」とはいかに?

    せめて「〜を支持する実験結果を得た」では。

    論文のアブストラクト(要約)を見ても「観測した」とは書いてあるけど、「証明した」なんて書いてないし。予算獲得のためとは言え、一般向けに誤解させるようなプレスリリースはいかがなものかと思う。
    • Re:証明 (スコア:3, 参考になる)

      by Anonymous Coward on 2007年02月24日 10時55分 (#1116069)

      私はこのプレスリリースに特に疑問は感じません。

      「証明した、という言い方はは言い過ぎなんじゃないの?」ってことだと思いますが、 不完全な観測と推論の連鎖に基づく科学的事実の「証明」という文脈で、 公理系から演繹される数学の定理の「証明」のような完全性を求めるのはナンセンスですし、そういった意味で誤解する人はあなりいないのではないでしょうか。

      「科学的に証明された」ことは、あくまでも「多分、確からしい」という以上の意味は持ちません。この科学者にとっての常識を、科学が「真実」を解き明かしてくれると思い込んでいる一部の人たちに啓蒙するのは確かに有意義でしょうけど、それはこのプレスリリースの仕事ではありませんね。

      親コメント
      • by Anonymous Coward
        公理系から演繹される数学の定理の「証明」のような完全性を求めるのはナンセンスですし、そういった意味で誤解する人はあなりいないのではないでしょうか。
        そうですよねえ.で,トピックアイコンに「数学」が入ってるのはなぜなんだろう.
    • Re:証明 (スコア:1, 参考になる)

      by Anonymous Coward on 2007年02月24日 14時53分 (#1116142)
      『負の誘電率をもつ電子ガスが、単なる想像の産物ではなく、実際に存在することを実験的に証明した』のだから,
      実験的事実の存在証明に関してはまったく問題ない.
      ただし,その事実を予言した理論の正当性が証明されたというわけではない.

      今までにない現象を実験によって確認出来たんだから,一般向けのプレスリリースで『証明』と言っても問題無いだろう.
      まあ,丁寧に言うなら『未発見の現象の観測に初めて成功した』とでもするべきかもしれないが........
      親コメント
    • by the.ACount (31144) on 2007年02月26日 13時31分 (#1117050)
      一般的な「証明」についてはともかくとして、この場合は「同種電荷に引力」と「負の誘電率」は等価なんだから、引力の観測が即「負の誘電率」の「証明」になってる。
      数学的証明と科学的証明の差を問題にするレベルではない。
      ニュ-トン力学に例えれば、「りんごが落ちるのを観測して引力の存在を『証明』した」レベル。
      これが「逆二乗法則の証明」なら、「cm 以下の距離では証明されてない」などといった穴が開いてたりして数学的証明みたいな完璧さはない。
      つまり、証明の差が問題になるのは「法則の証明」レベルってこと。
      --
      the.ACount
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      「実験的に証明」、科学論文においては極めて一般的な用法だと思います。
  • by KENN (3839) on 2007年02月24日 9時43分 (#1116047) 日記
    これでミノフスキー粒子は実現できますか?
  • 危険な領域に突入 (スコア:0, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2007年02月24日 11時28分 (#1116078)
    >負の誘電率をもつ電子ガス中では同種電荷が引き合う

    アッー!
  • by Anonymous Coward on 2007年02月24日 17時28分 (#1116218)
    愚者は自分の理解できぬ事を悪と見做す

    いいサンプルだね
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ハッカーとクラッカーの違い。大してないと思います -- あるアレゲ

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