ロンドン五輪のスターターピストルは無音
ロンドン五輪の陸上競技等で使用されるオメガ社のスターターピストルは「無音」だそうだ(The Atlantic、本家/.より)。
従来のスターターピストルは引き金を引くと音が発せられると同時に、その音を競技者の後方に設置したスピーカーからも発し、全ての位置の競技者の耳に同時に届くよう工夫してあった。しかしこの仕組みを採用しても競技者はスピーカーからの音よりもピストルからの実際の音が耳に届くのを「待って」しまい、結果ピストルから一番遠い競技者は音が最後に届くため不利に働いていたとのこと。
2000年に開催されたシドニー五輪では、米国の陸上選手マイケル・ジョンソンのスタート合図への反応速度は0.44秒であり、平均反応速度の0.13〜0.14秒より大幅に遅かったとのこと。これはジョンソン選手が第9レーンにおり、ピストルの音が到達するのに時間がかかったのが原因であったという。このことがきっかけともなり「音の出ない」サイレントスターターピストルが開発され、2010年のバンクーバー五輪からはこれが採用されているそうだ。
さらにフライイング検知システムにおいては、従来の機械式であったスターティングブロックを改良したとのこと。以前のものはその仕組みからブロック自体が5mm程度動くことがあったが、今回のものは完全に固定されており、スタート時の蹴る力を計るようになっているとのこと。スタートの合図から0.1秒以下で蹴る力を検知した場合自動的にフライイングと判定されるとのことだ。
時として1000分の1秒をも競うのトップスポーツの世界、3日から開始されるロンドン五輪陸上競技ではこのような技術に着目して観戦するのも面白そうだ。