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higonの日記: 韓国ヒトクローン研究スキャンダル、まとめ 3 (Korean Cloaning Research in Chaos, r

日記 by higon

これまでのまとめの目次は、別のエントリにあります。

背景の理解に役立つと思われる関連情報をまとめました。

黄禹錫 (Hwang Woo-suk)

黄博士は、ソウル大学教授で、現在ヒトクローン研究のトップを走る研究者です。 というか、誰に対しても胸を張ってヒト胚クローンを研究しているのは世界中で彼 しかいません。研究所の外で、誠実な行動と自信を感じさせるスピーチで韓国の宗教団体 を鎮静化させたという実績があります。韓国内での倫理観の問題は彼がたった一人で 突破したといっても良いでしょう。国内では「ヒトクローン研究者」と語られることはなく 「不治の病を治した信心深いノーベル受賞候補博士」として有名です。 2004年にヒト胚のクローンに成功してから、世界中でクローンにまつわる議論が現れるたび、 彼の名前が上がるようになりました。現在韓国政府は多額の資金で彼の研究をバック アップしています。2005年には成体の細胞からクローン犬スヌーピー(Snupy)を作った ことを発表し、世界中を驚かせました。2005年10月に韓国政府の補助の元、英国と 米国に支店を持つ予定の世界幹細胞銀行 をオープンさせています。

黄色博士の国際フライトは無料

米国のメディアが韓国の研究への情熱はすごいぞ!と話したいとき、だいたい、この話から始まります。

黄禹錫博士への投資

参考までに、ブッシュ政権下ではアメリカ全土の幹細胞関連の研究に34.8百万ドルが投資されたのに対し、 政府から黄禹錫チーム単体に、35百万ドル以上のお金がつぎこまれています。(日本語版の記事)

ジェラルドシェトン (Gerald Schatten)

ジェラルドシェトン博士は、ピッツバーグ大学医学部教授であり、霊長類幹細胞研究での第一人者です。数年前に、自身の猿クローン研究をあきらめかけた際、ソウル大学の黄博士からのアドバイスがありました。彼は黄博士が韓国内で黙々と進めていたクローン研究に驚き、米国学会に論文を発表させます。それまでヒトクローンは殆どの社会でタブーであったことから、黄博士の発表は世界の政治家と研究者に震撼を与えました。発表の際、博士は顔を見せず、クレジットは完全に黄博士にゆきました。政治の風であり、シェトン博士はアメリカの一般メディアには評価されず一部では異端者扱いされましたが、韓国の研究が進むにつれ、世間の評価は上昇します。現在シェトン博士は、黄禹錫チームの中の35の主導を握る研究者の内、唯一の外国人です。2005年クローン犬が発表されたときに、初めて表に顔を見せ「英語圏メディアネットワークへの明るいスポークスマン」として知られましたが、それまで韓国国内の一般人で名前を知っていた人などいなかったでしょう。英語圏で彼以外におおっぴらにクローン研究の成果を発表する人がいないためか、クローン関連のニュースを評価するときに、良く彼のコメントが添えられます。今回が彼にとって初めての倫理関係のトラブルではなく、10年前のカリフォルニア大学勤務時、彼の研究が警察の捜査を受けたことがあります。世界幹細胞銀行の設立の中心人物の一人で、先月、将来の計画についてメディアに彼の輝いた目を見せていました。

だいたい黄禹錫は外国人研究者に功績を与えすぎている

シェトン博士が共同研究から降りる前の韓国内の記事で、唯一シェトン氏の名前が出ていたものです。 国内と、海外との明らかな温度差が感じられます。

関連情報 (To understand this event better)

「今回倫理論議のテーブルに放りこまれた二つの論文」

2004年度の論文で、全ての執筆者は政府から重職を与えられ、2005年度の論文で彼らの名声は確実になります。

脊髄損傷の回復を願う

幹細胞バンクにて、科学者の為のサンプルがどのようにして集められているか。 (関連記事 1/2/3)

幹細胞の輸出は全ての国の為ではなさそうだ。

米国の輸入は推奨。イギリス含め、ヨーロッパの大部分は輸入可能。 幹細胞バンクからドイツとカナダ国内への搬入は禁止。 そのドイツでも、研究者が別の国で研究するのは罰則無し。

「自発的な卵子提供者の献身的な行為」

全ての卵子は十分なインフォームドコンセントの後に、無償提供されることになっている。 よく反対論者がピックするのは、パーキンソン病末期/ アルツハイマー病末期の患者、低年齢では11才、6才の女子から 卵子が無償提供されていること。これらについては韓国側はコメントをしない方針。

「アメリカ生物学者の倫理規定を抜けようとする努力」

遺伝子の一部をOffにすることにより、生体として機能しないものが育つ。 これらはもはや「生物」ではなく「人工物」、実験は政府のポリシーと宗教倫理を違反しない。

Dr. Clone: Creating Life or Trying to Save It? S. Korean Defends Ethics of His Controversial Research

このニュースの元々の出どころで、シャッテン氏の告白を最初に受け取ったメディア、 Washington Post紙は完全に中立な立場にあるという訳ではなく、二年前にも、ヒト胚の クローン成功発表の時に、黄博士に疑問を投げています。皮肉にも、二年前の黄博士 研究をアメリカ世論に印象づけたのは、Washington Postでした。そして、研究に信用を 与えたのはシャッテン氏でした。(最近の別記事)

FAQ (FaaaaAQue)

「幹細胞銀行の目的と影響」

お金の節約と各国が抱えるの倫理ハードルの通過。安く卵を仕入れて研究機関に安く売るのが目的。 表向き、世界幹細胞銀行は非営利目的を宣言していて、サンプルはドナーからほぼ無償で提供 されます。米国で卵子を買おうとすると大体一万ドルから五万ドルすることを頭に入れてください。 少ない予算では研究不可能であったことが、これで可能になります。
組織は「あなたの病気を治す研究のために、どんな人の細胞も受け付ける」と唄っているため、 数万の病に侵された人、不妊で悩む人、深刻な障害にある人、自己犠牲を美学とする人たちが ドナーとなって、限りなく薄い望みをこの銀行に託しています。ただ、研究が大きな成果を挙 げたとしても、全ての症例をカバーするのはあきらかに不可能で、実用化までの間に殆どの ドナーの命が尽きることになります。
韓国国内の研究施設への投資は活発で、ヒト胚研究に限れば日本やドイツより充実していますが、 その一方基礎医療のレベルが同じ研究をしている他国と比べて全く話にならない状態です。

韓国はキリスト教国でしょう?どうして反対しないの?

アメリカで研究が進まないのは倫理のせい?お金?それとも単に研究者が怠惰なだけ? 海外ではこんなに大きな成果をあげているのに、この国ではなぜうまくいかないの? 遅れをとっているのは何故?そんなあせりの質問がこの記事のインタビューで答えられています。 ちょっとタブロイド気味ですが、インタビューはMP3で公開されていますので、是非聴いてみま しょう。

「お腹からどうやって卵子を取り出すか」

女性ホルモンを数ヶ月大量摂取した上で、お腹の中の卵子を長い管を使って直接採取します。 不妊治療に使われる方法と同じです。違うのは(自己検閲)。この方法だと、女性ホルモン 摂取における副作用がありますが、アメリカで毎年十万人以上この不妊治療を受けていること 踏まえると危険性は低いといってよいでしょう。不妊治療後に不要となった胚を取り出す方法 もありますが、それは黄博士の特許。

「日本のクローン研究に対する姿勢は?」

2000-2001年に議論が「終わって」以来、水面下でぶくぶくしています。 ヒト胚は使わず、日のあたらないところで、研究は進められています。 一般的に、クローン=>んー、や=>議論終了。というダメダメな感じで受け取られます。

以上です、オフラインの資料があるのでいくつかのリンクが出せませんでしたが、 最後まで読んでいただきありがとうございました。
感想や、妄想などをコメントしていただけると助かります。

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アレゲはアレゲ以上のなにものでもなさげ -- アレゲ研究家

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