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日記

insidermanの日記: クソ映画じゃなかったテラフォーマーズ

日記 by insiderman

映画版テラフォーマーズ、超映画批評で5点という評価がされるなど前評判はボコボコだが、見に行ってみたらそこまでクソ映画ではなかったので、クソ映画を期待して見に行く人が出ないように軽く感想を。

とりあえず原作を知っている人なら分かるが、この映画はヒーローが火星の敵をぶちのめすというお話ではない。まずそういう話だと期待して行くと全然楽しめないかも知れない。この映画は、スプラッターアクション(+コメディ)映画である。ノリ的にはプレデターズ(「狩り場」に集められた戦闘力の高い地球人が次々とプレデター達に惨殺される映画)に近い。スプラッターとしてみると、きっちり人間の首ははねられるし、敵クリーチャーの体液は飛びまくりだし、一部キャラの変身後の姿はきっちりグロいし、年齢制限内ではよくやってると思う。また、主人公側の変身後の姿も再現度は高く、そこは評価できる(アクションはしょぼいが)。

いくつか設定は改変されているが、基本的なストーリーラインは原作(第1部)とほぼ同じである。原作はツッコミどころも多く、そこも魅力になっているのだが、それが良くも悪くもそのまま映画に継承されている。改変部分は尺に収めるためとキャストを日本人にするためだと思うが、ストーリーにはあまり影響は無く、そこまで気にはならなかった。

ただ、漫画だから成立したような表現をそのまま実写に落とし込んでしまったがために微妙なシーンになっている部分も多数あってそのせいで評価が下がっているような気がした。たとえば原作では、数ページ使ってキャラクターが備える「超能力」の解説をし、続いてそのキャラクターが能力を披露するのだが、ページをめくったらあっさりと首をはねられてやられたりする。これは漫画では良くある出オチ、もしくはかませ犬的な表現で、こんだけ前振りをしたのに速攻で死ぬのかよ!という突っ込み待ちのギャグ表現なのだが、それを実写でそのままやってしまったためにテンポが失われている感があった(あとそこで笑って良いのかどうか判断に困る)。

また、地球側の悪役的な研究者キャラは漫画的にはよくあるシリアスなシーンでコミカルな言動をするキャラなのだが、これも実写でやってしまったためにまったくリアリティのないキャラと化している。

さらに映画版独自に追加されたラスト前のシーンは正直失笑した。どうみても絵的に映えるから入れたんだろ的な映像と、「これは何か映画版独自に追加されたすごい能力なのか」と期待した直後のしょぼい展開は本当に蛇足である。その前に主人公側キャラの1人の数少ない見せ場があるのだが、それを完全に無駄にする蛇足である。もし点数を付けるとしたら、その部分だけで20点くらい減点である。

あとはどうみてもブレードランナーな世界の地球の描写とかそこで飛んでくる飛行車両がどう見てもスピナーそのまんまなのが2周遅れでダサすぎるとか、火星探査機内の設備とかUIが二昔前のSFだとか、そういう舞台的なところでは残念なところが多かったが、ストーリー的にツッコミたくなる点はそもそも原作通りのところだったりするし、ストーリーは無理なく尺に収まっているし、ちゃんと最後まで見られたということで、少なくともクソ映画は言い過ぎではある。

とはいえ良作かというと微妙なところで、改変して映画化するなら原作のギャグ的要素のところ(出オチ系部分)をばっさりカットして完全にシリアス映画にするか、それとももっと馬鹿馬鹿しい表現にして完全にギャグシーンとするか、どっちかによせるべきだったのではと思った。あと敵側クリーチャーは原作絵をかなり忠実に3次元化しているのだが、そのせいで恐怖感が不足していると思った。そこは完全に異なるデザインにしても良かったのでは。

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