kahoの日記： 処女じゃなかった！

Nature Web Newsから処女エビは貞節ではなかった？という記事．

2億年も単為生殖（片方の性だけの生殖）をしてきたと思われていたVestalenulaというエビに似た動物に初めてオスが見つかったという話．
Vestalenulaという名前自体がローマ時代にヴィーナスに貞節を誓った修道女たちからとられたそうだが，これまでメスしか見つかっていなかったので単為生殖してきたと思われていた．
しかし琵琶湖博物館のRobin Smith氏が屋久島の淡水から数百の個体の中に３匹だけオスがいたことを発見したという．

この論文が載っているProceedings of the Royal Society Bは私の環境から読めないのだが，どうして何百匹ものVestalenulaを観察しようと思ったのかというのが面白いというか可笑しいというか．
しかし見つかるときは見つかるもので，この３匹は連続して見つかったのだという．
シンクロニシティ？などと思ってしまう．

せっかくなので新しく見つかった個体は，体の構造が違うのでVestalenulaの名前の元になったVestal Virginのうち不貞を働いたと言われたCorneliaにならってVestalenula corneliaと名付けられたそうだ．

この発見によって現在最も長期間単為生殖を続けてきた栄冠はヒルガタワムシ類(bdelloid rotifers)に受け継がれることになった．
意外なことにこれまでVestalenulaの方は遺伝子から単為生殖であるかどうかは調べられていなかったそうだが，こちらはDNAレベルで単為生殖を続けてきたことが証明されている．

このニュース内では単為生殖をし続けると有害な変異が蓄積して絶滅してしまうのではないか，それが謎だと書いているが，私には変異と増殖速度と栄養とのバランスがとれれば別にあってもいいんじゃないかと単純に思ってしまう．まあバランスの均衡点の条件が厳しそうには思えるが．