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日記

kazekiriの日記: Google Playでの海外へのアプリ売上に消費税課税の動き 9

日記 by kazekiri

経産省から消費税のアンケートに答えてくれという封書が届いたので対応したのだが、先週にこんな記事が出ていたのを思い出した。

海外販売までも消費税、スマホアプリの受難

ガンホーがGoogle Play経由で販売したアプリの売上に対して、国税当局が過去にさかのぼって消費税を課し始めたらしいとのこと。海外向けの売上は、本来であれば輸出免税が適用されるはずであり、全体的には国税当局の姿勢を非難する内容の記事となっている。

AppleのApp Storeについては、各国の直営代理店にアプリを卸す形の契約のため、国内向けには消費税が課税され、国外向けには消費税の輸出免税が適用される。しかしながら、Google Playについては、Googleに卸すのではなく、アプリ会社がユーザーに直接販売する契約形態となっているらしい。おそらく今まではGoogleから提供される国別売上高の数字から国内向けに消費税課税、国外は輸出免税としてアプリ会社側は処理していたものだと思われる。しかし、輸出免税の適用には、取引相手の所在地(住所)、名称(氏名)が必要であり、これに対してGoogle Playにおいての契約先となるユーザのそれらの情報の提供をアプリ会社がGoogle側から受けていないことから、輸出免税の要件を満たしていないと国税当局が判断したようだ。

今まで何故国税の判断が出ていなかったのかちょっと不思議ではあるが、この国税当局の判断は消費税法的には基本的に正しいように思っている。アプリ販売は課税取引であることは間違いなく、それが輸出と証明できれば輸出免税(0%課税)が適用されるという判断の順番であるが、ここでどこの誰に販売したのか分からないということであれば輸出の証明は困難だろう。証明できないのであれば、普通に課税取引と判断されるだけである。国別売上高というデータだけでここを証明というのは、少々乱暴なように思える。

ただ、取引全体を見ると、App Storeと何が違うのかも分からないし、海外ユーザーへの販売はどう見ても輸出でしか有りえないわけで、その売上にまで消費税課税というのは非常に消費税法の意味的にも酷な仕打ちのように思う。これまで国税が動いていなかったのも、このような取引の実質を考慮していたからかもしれない。

これを解消するためには、Google側がユーザーの情報をアプリ会社側に提供すれば良いのだが、まあそれはないだろう。App Storeにように契約先をユーザーではなくGoogleとする手もありそうだが、これが実現した場合、国外ユーザーの売上に輸出免税が適用されるということは確かに実現されるのだが、Google Inc.にいったん輸出されるという扱いになるため国内ユーザーの売上に対する課税が難しくなることになる。

このあたりの電子コンテンツ絡みの課税方式の変更は財務省側でいろいろ検討されているようであるが、しばらくは微妙な運用が続きそうである。簡単には誰もが納得する課税は難しいのではないかと思う。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • どこの国のユーザーがどの数だけダウンロードしたか、が掴めれば適切な申請はできるんだろうけどねー。

    # 鶏と卵というか、そういう法制度が各国に明確にあったら、最初からストアに実装されてたんだろうけど...

    --
    M-FalconSky (暑いか寒い)
  • 納税者の言うことを鵜呑みにするしかない情報しか貰えないのでは困るということなんでしょうね。
    税務当局側で検証するためには全部の情報を出させないといけないし。

    • まあ、それは建前かと。取引形態としてはアプリ会社からはどこの誰に売ってるか分からず、それに対してGoogleがユーザを把握しているということは、アプリ会社がGoogleにアプリを卸していると見るほうが適切だとも言えると思います。それを分かっていて課税なので、記事のような批判をされても文句は言えないかと。

      親コメント
  • by Namany (19002) on 2014年05月21日 1時59分 (#2605303) 日記

    海外の販売店から購入する場合、消費税は消費者が納めないといけないのでは?
    販売元から徴収するのも結構だけど、消費税はそもそも消費者が払うべきものという原則に立ち返り、
    個人輸入の形になる電子コンテンツ購入をトレースして効率的に徴税できるようにするのが国税にとっても良いのではないだろうか。

    #例えばカード会社から決済情報を押さえるとか。

    • 海外の販売店から購入する場合、消費税は消費者が納めないといけないのでは?

      これはその通りなのですが、今回の記事の件はあくまで「海外への輸出」の話でして、原則として「輸出免税(0%課税)」となる取引ですので海外の消費者は消費税を払う必要はないわけです。

      販売元から徴収するのも結構だけど、消費税はそもそも消費者が払うべきものという原則に立ち返り、
      個人輸入の形になる電子コンテンツ購入をトレースして効率的に徴税できるようにするのが国税にとっても良いのではないだろうか。

      #例えばカード会社から決済情報を押さえるとか。

      電子コンテンツにおいての「海外からの輸入」に関してはこちらの日記 [srad.jp]でも書いたのですが、現在は「非課税取引」(免税ではありません)に該当する取引であり、消費税はかかりません。これは情報サービスにおいては役務の提供をする者の事務所の所在地で内外判定が行われ、それによってGoogleなどのサービスは国外取引とみなされるからなのですが、その日記でも書いたように、おそらく来年春の消費税法改正で情報サービスの内外判定の方式が変更され、電子コンテンツの海外からの輸入は国内取引とみなされるようになります。徴収方法はまだわかりませんが、どの方式でもまあGoogleに払ってもらうということになるでしょう。その時には日本のユーザは消費税をGoogleに預けることになると思います。

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      もの凄い反対で潰されたけど、中曽根元議員が導入しようとしていた売上税の方が消費税よりも国民の理解が得られるんじゃないかと今更ながらに思います。
      #立った売り上げに対する税なので中間搾取機会を減らすし、こういう状況には適切に作用すると思うのよ。
      #最終消費者がどれだけ税負担するかって言うのが見えにくいのが困るけど。

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未知のハックに一心不乱に取り組んだ結果、私は自然の法則を変えてしまった -- あるハッカー

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