maruto!の日記: ぼくらの月探査
ときどき、妄想が暴走してはどめがかからなくなるときがある。そんな妄想のはけ口として、この日記を利用してみようと思う。
さて、最近こんなコメントをしてからというもの、Google が民間月探査に 3000万ドルの賞金。という記事が頭にくっついて離れない。何をするときにも、ローバーの車輪はどのくらいの大きさでいいか、衛星フェアリング内のレイアウトはどうなるのかなどという妄想が頭に過って離れないのだ。このままでは一般生活にも支障を来すので、まずはこの妄想を日記に押し付けてみよう。
まずは簡単に今回の計画の要旨を挙げてみると、まずは優勝の条件。
・民間所有の探査機を月に着陸させ、500m以上移動してデータと写真を地球に送信する。
さらに以下の条件のいずれかを満たせばボーナスが加算される。
・5000m以上移動する
・アポロ計画などで月面に残された人工物を撮影する。
・水の氷を発見する。
・半月にわたる極寒の月の夜を耐えきる。
参加者はSpaceX社のファルコンロケットを通常の一割引で利用できる。
これらの条件を元に、頭の整理をつけやすくする為に打ち上げから月着陸までの手段と、月面探査ローバーの仕様の二つに分けて書いてみる事にする。
まずは打ち上げ手段であるが、せっかく純民間ロケットであるファルコンロケットを一割引で打ち上げさせてくれるというのならば乗らぬ訳にはいくまい。ただ、ファルコンロケットのみでは月に行くほどの能力は無い。そこで、イオンエンジンなどの電気推進器を使ってゆっくりと月に向かおう……とコメントにも書いた。実はこれには前例があって、2003年にESAが打ち上げたSMART-1という月探査器がそれだ。SMART-1はホールスラスタというイオンエンジンの一種を搭載していて、低軌道から徐々に加速。打ち上げから1年2ヶ月後、無事月の軌道に到達した。SMART-1は探査機というよりもホールスラスタの能力試験機としての性格が強く、SMART-1ほどの衛星ならば軽く地球の引力圏外まで吹き飛ばせるほどの能力を持つアリアン5であえて低軌道に打ち上げさせ、ホールスラスタを使ってゆっくりと月に向かったのである。これは低軌道までしか打ち上げ能力を持たない小型ロケットでも月・惑星探査器が打ち上げ可能である事を意味するものである。
さて、打ち上げられた我が空想の月探査器であるが、三つの大きなパートに分かれている。一つは月面を這い回る探査ローバー、これは後ほど説明するとして、もう一つが逆噴射ロケットを搭載して月面に着陸する着陸モジュール、そして最後は探査機を月まで送り届ける為の推進モジュールである。
推進モジュールはイオンエンジンの他に大型の太陽電池と姿勢制御用のリアクションホイールを搭載していて、太陽電池から得られた電力でイオンエンジンを駆動。探査機を徐々に加速していく。すると最初円軌道だった探査機の軌道はやがて細長い楕円軌道に変わっていき、やがてその遠地点が月の引力圏に達すると、推進モジュールはお役御免。分離され、着陸モジュールと探査ローバーだけが月の引力に引かれて降下し始める。
着陸モジュールは逆噴射ロケットと姿勢制御用のスラスターを持ち、内蔵された月面詳細図を元に着陸地点へと降下していき、最終的には月表面のカメラ画像で着陸地点を最終決定。降下着陸する。着陸モジュールの役目はここまで。メインはあくまで探査ローバーなので、着陸モジュールの構造は簡単でよい。
……と、今回はここまで。次回ローバー編いきます。
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