numaの日記: 罰と罰(あるいは☓と×) 5
最近、バツ印(ペケ印)として「☓」を使われている例が目立つ。いままで「×」を使い慣れ、見慣れていたので、違和感があった。そこで、少し調べてみた。
まず「×」について。日本でバツ印として使われる「×」は、JIS X 0208、いわゆるJIS漢字で乗算記号として定義されていたものである。バツ印は乗算とは全く異なる用途なので、これは目的外使用だと思うが、他に適当な文字がなかったのだからしようがない。UnicodeではU+00D7 Multiplication Signとなっている。UnicodeコードブロックはLatin-1 Supplement (Latin-1増補) で、ISO/IEC 8859-1で定義されたコードポイントを踏襲したものである。
次に「☓」について。「☓」はUnicodeではU+2613 Saltireとなっている。Saltireは、旗などに使われる斜め十字の紋章。UnicodeコードブロックはMiscelaneous Symbols (雑多な記号類)。
ほかに似たような文字を記号類ブロックから探すと次のものが見つかった。
- Box Drawing (罫線素片)
- 「╳」U+2573 Box Drawings Light Diagonal Cross (細罫線斜め十字)
- Dingbats (辞書によると、文中の切れ目を示したり下品な単語を伏字にしたりするための記号。また、愚か者という意味もある)
- 「✕」U+2715 Multiplication X (乗算X)
- 「✖」U+2716 Heavy Multiplication X (太字乗算X)
- 「✗」U+2717 Ballot X (投票X)
- 「✘」U+2718 Heavy Ballot X (太字投票X)
罫線素片にある文字は、使い方がよくわからない。Dingbatsにある文字は、これらのコードポイントの直前にチェックマーク「✓」と太字チェックマーク「✔」があるので、投票X印は意味がわかる。外国で、投票用紙の候補者の欄にチェックを入れるときの記号だろう。日本でも最高裁判所裁判官国民審査で似たようなことをするが、意味が逆になる。乗算Xは、まあ乗算記号なのだろう。昔Dingbatフォントで使われていたのでここに入ったのだと思う。
結局のところ、バツ印そのものの意味で使える文字はなく、どの文字を使っても代替的に使用しているだけ、ということになる。
ちなみにマル印は「○」U+25CB White Circleと「●」U+25CF Black Circle。JIS X 0208では白丸と黒丸をペアで定義していたのだから、そうなるのは当たり前。
Saltire (スコア:2)
Re:Saltire (スコア:1)
U+2613 は本文中にある文字のように見受けられるのですが、それとは別の何かですか?
LIVE-GON(リベゴン)
Re:Saltire (スコア:2)
CROSS MARK は? (スコア:0)
「❌」U+274C CROSS MARK "forms a game tally pair with 2B55 ⭕"
Re:CROSS MARK は? (スコア:1)
ゲームでマルとバツといえばtic-tac-toe [wikipedia.org]ですね。 あと、プレステのコントローラーの○×△□ボタン [pushsquare.com]。ゲームは考慮していませんでした。
手元のフォントファイルにはU+274CとU+2B55の文字がなかったので見逃していました。なぜか、ここでは表示されているけど。
とにかく、ご教示ありがとうございました。