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日記

rxk14007の日記: ソ連原潜 K-219の事故から25年 10

日記 by rxk14007

http://ja.wikipedia.org/wiki/K-219_(%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%A6)

0532時に酸化剤の茶色い煙が第6ミサイル発射管の蓋の下部から発生し始め、BCh-2士官は当該区画に事故警報を発令すると共にGKP(主発令所)に状況を報告した。余地を空けるために人員は他の区画に配されたが、9名は第IV区画に留まった。艦長は全艦事故警報を発令した。これは乗組員に対し1分以内に全区画の密閉閉鎖を含む初期損害制御対応の実施を命じるものであった。5分後の0538時に第6ミサイル発射管で爆発が起こった
 
爆発で3名の水兵が死亡し、2基の原子炉を停止させるために艦は浮上した。この原子炉の安全の確保は、僅か19歳の徴兵された水兵セルゲイ・プレミーニン(Sergei Preminin)が自らの生命を犠牲にして稼働中の1基を停止させて成し遂げた。プレミーニンは炉を停止させると密閉ドアの反対側にいる戦友達の元にたどり着こうとしたが、ドアを開けることができずに被曝により死亡した。

この事故を扱った「敵対水域 ソ連原潜浮上せず」という本から、本は手元にないけど記憶を元に以下抜粋。

25年前の1986年10月3日、大西洋沖で活動していたソ連原潜 K-219において、搭載していた潜水艦発射弾道弾ミサイル(SLBM)の燃料が漏洩して爆発と有毒ガスが発生する事故が起きた。その際、2基の原子炉を遠隔操作する電気系統が破壊されたため、誰かが原子炉内部に突入して、手動で制御棒を下ろさなければならなくなった。

ここで最古参の機関長が「自分が行く」と志願したが、艦長はそれを「いや、お前はまだ艦に必要だから駄目だ。」と却下して、若い下士官と水兵に命令した。2人は防護服と制御棒を降ろすための大きなスパナを持って高熱の原子炉内部に突入し、下士官のほうは片方の原子炉を止めたところで高熱で倒れてギブアップしたが、もう一人の水兵は最後まで任務を遂行し、両方の原子炉の制御棒を完全に降ろすことに成功した。

それから彼はドアのところまでたどり着いたが、区画の間の気圧の差が大きすぎてドアを開けられず、そのまま彼はそこで亡くなった。

この艦長の命令が、1名の乗組員の命を犠牲にしつつも残りの乗組員の命を救ったわけだが、機関長と若手乗組員の命を秤にかける冷酷さには、読んでいて背筋が凍る思いがした。

と、長々と書いてしまったが、原子力事故ではこういった命がけの事故対応が要求されるわけで。
JCOの事故では、会社の社長を初め年配者で決死隊を組んで事故現場に突入したし、福島第一の事故でも1号機のベント作業の際にシフトマネージャが志願して、高線量の放射線を浴びながらベント作業に取り組んでいた。

小沢一郎のような偉大かつ有能な人間なら、決死隊を送り込めといえるだろうが、自分はそこまで人間ができていないので無理だな。
「命がけで対応してくれ」なんて、そんなことを面と向かって言える自信はこれっぽっちもない。

小沢氏は福島第1原発に関し「原発は安定していない。爆発しないようにしているだけで放射線を垂れ流している。根本的な対策を取らなければ大変なことになる。決死隊を送り込んで完全に押さえ込まなければならない。政治が決断することだ」と語ったという。

原発推進を唱える連中は、今後新たな原子力事故が起きたら、いったい誰にどうお願いして事故を処理してもらうつもりなのか?

この議論は、rxk14007 (9967)によって テキ禁止として作成されたが、今となっては 新たにコメントを付けることはできません。
  • 政治家は兵権を握ってるんだ。
    最高司令官だったんだーぁ? などととっぽいことを言った首相もいたが、
    死ねと命じる側にいる覚悟が無いとは言わせない。それが職責だ。

  • by nodocuments (12199) on 2011年10月04日 9時30分 (#2029091) 日記

    生きて帰ってくれ
    これ以外に何がある

    • 返答ありがとうございました。
      与謝野晶子は「君死にたまふことなかれ」で、壺井栄は「二十四の瞳」で同じことを言っていますね。
      # 与謝野晶子はその後で「すめらみことは戦いに おおみずからは出でまさね」とも歌ってますけど。

      それでも私は、そんな覚悟は持ち合わせておりません。覚悟が有る人でも、おそらく好き好んでそんな覚悟を持っている人はいないと思いますけど。

      事故の収束が必要な場面では、その様な台詞で誰かを送り出し、運命の過酷さを呪い、自ら現場で対処できない己の無能さを嘆くしかないかもしれません。
      でも、福島第一の各炉の温度が100度以下になった今、覚悟が有る事を誇るよりも、同じことを繰り返さないように考えをめぐらしてもよいのではないでしょうか?

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  • 事故った際に誰かを犠牲にする覚悟を持てっちゅうのはそれはそれで有りなんですが,それって別に原子力関係ないですよね?

    船舶事故で非常に危険度の高い対処に飛んでいって死ぬ人もいますし,大雨の際に危険とわかっていながら洪水防止に駆け回って死ぬ人もいる.様々な火災時における消防だって命がけの対処が要求されるわけですよ.
    「そこまで危険な状況はほとんど無い」ってんならそりゃ原子力も同じで,行った人間がかなりの確率で死ぬような状況なんてのはほとんど無い(でもたまにはある).

    原子力の事故時の被害範囲の広さだとか,影響の長期化,廃炉時のコストなどそういう批判はわかるんですが,「事故時に対応する人を犠牲にする覚悟があるのか」ってのはなんかこう,論点が違うような.
    それ言ったら,「警察や消防や自衛隊(含む災害対処)を設置したままだなんて,彼らを死地に赴かせる覚悟があるのか!それがないならやめちまえ!」って感じになるんですが,そこまで人々に要求するのは無理じゃないかなあと.

    • 私の主張は、原子力事故特有の問題として、被害の拡大を防ぐために決死隊が必要となるということです。

      > 海難事故
      海上保安庁の各管区で対応しきれない重大な事故に対処するため、羽田空港の敷地内に通称「特救隊 [wikipedia.org]」が設置されていますが、1975年の創設以来、一人の殉職者を出していません。

      > 洪水防止
      現場で土のうを積み上げる作業を行なっても、水位が増して危険になれば、高所に避難しますよ。
      洪水を防ぐか、それとも自分が死ぬかなんてそんな極端な状況ってありますか?

      > 火災時における消防
      火の勢いが強ければ延焼防止に徹して、消防隊の人命を危険にさらすようなことはしません。
      例えば、東日本大震災のときに千葉にある製油所で火災が発生しましたが、結局通常の消火を諦めて燃え尽きるまで10日間掛かりました [nikkei.com]。

      > 警察や消防や自衛隊
      命の危険を冒していますが、それでも本当に危険な状況では救助活動は控えますし、誰もそんな危険な状況で活動することを要求していないと思いますけど。
      他の災害や事故なら、「命の危険があれば、一度退避して状況が改善するまで待つ」という手段が残されているわけです。
      また行方不明者が生き埋めになっている状態でも、二次災害を防ぐため、夜を徹しての救助作業を行わずに夜明けを待って救助活動を再開するというのが通例となっています。

      戦争ですら、退却や降伏というオプションがありますけど、原子力事故では菅前首相が東電に怒鳴り込んだようにそれが許されないというわけです。

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      • 特救隊のリンクを間違えました。正しいリンクは↓です。
        http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E6%AE%8A%E6%95%91%E9%9B%A3%E9%9A%8A [wikipedia.org]

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      • >原子力事故特有の問題として、被害の拡大を防ぐために決死隊が必要となるということです。

        ですから,それは原子力事故に限らないと思うわけですよ.
        例えば,以下のような事例をすぐに考えつくことができます.
        (実際にあったかどうかは大きな問題ではなく,起こり得るかどうかが問題でしょうから)

        1. 化学工場において火災発生,火炎と有毒ガスの発生の中であるが,何とか接近して迅速に消火しないとユニオンカーバイドの二の舞になって数万人規模での死傷者が予想される場合.

        この場合,まず間違いなく被害の拡大を防ぐために決死隊が必要になるでしょう.まあ決死隊と言っても「必ず死ぬ」訳ではなく,「死ぬ危険が非常に高い」という状況ですが,それはまあ原子力災害でも同じ事.
        通常はそこまで悪化する前に事前に用意された保護設備で何とかなるように設計するわけですが,まあ,それも同じですね.

        2. 海難事故
        私が前コメントで想定していた海難事故,というのは,当事者側でのものです.つまり,何らかの衝突等により浸水が始まり,早急に対処しないと沈没により多数の乗客が犠牲になるが,対処に向かうと水に巻き込まれて死ぬ危険が高い,という場合ですね.似たような状況はしばしば起こっていますが,このような場合「危険な状況だから安全になるまで船員は避難しておこう」なんてのは当然許されない状況になります.

        3. 警察
        確かに警察も「できるだけ危険度を下げてから事に当たる」わけですが,それが通用しないこともあります.例えば人質が取られていて,このまま状況が進むと危険がある場合ですね,そういう場合はよく見られるように強行突入が行われ,しばしば殉職者を出します.これも状況によってはかなりの危険が見込まれるわけですが,でも放置すると被害が拡大するために危険があっても突っ込む形となります.
        あとは警察になるのか軍になるのか(というか両方関係しますが),爆発物処理班なんてのも似たような物ですね.通常は最大限の安全性を確保して事に当たりますが,時間的余裕がないときは無理して事に当たらざるを得ない(そして時々殉職している).

        とまあこんな感じで,「危険はあるが放置すると被害が出るので対処しないといけない」なんて事例はいくらでもあります.通常火災における消防士だって,中に取り残された人がいる場合はある程度の危険があっても突入しますし,そういったことで毎年20人弱程度は殉職者を出しています.洪水時の自主決壊作業なども,一歩間違えば自分らが巻き込まれますし(まあ,細心の注意を払うのでそういう可能性は低くしていますが).他にも今回の津波で逃げようとしない人を何とか逃がして被害を減らそうと奔走して無くなった方々とか.こういうのは,いずれも「安全になるまで待とう」なんてのが通用しない,時間的制限のある事例ですね.そういうのは山ほどある.

        >戦争ですら、退却や降伏というオプションがありますけど、

        とおっしゃいますが,それだって「ここで部隊が半壊するまで持ちこたえれば,他の戦線が有利になる(とか,背後の都市が守られる)」ってことで膨大な死傷者(時にはほぼ壊滅するまで)を出してでも遂行する作戦はあるわけです.もちろん退却・降伏という選択肢があっても,それを選ぶと(他の場所で)大きな被害が出るから選べない,なんてのは戦史上ありふれたことなわけです.それでも(他所の損害は無視して)退却するって選択肢は残るじゃないか,と言うのなら,原子力災害だって「余所で起きる被害は知らない.危ないから俺らは突入しない」って選択肢だって同じようにあるわけですよ.まあどちらも同じように,実際には選べないわけですが.

        まあだから結局何が言いたいかというと,「それ以上の被害を防ぐためには命がけで突っ込むしかない」なんて状況は原子力災害に限らず一般的であって,そこは別に原子力に特有な物ではない,ってことです.
        #そんなに頻繁に起きる事ではありませんが,それは原子力災害も一緒.
        #と言うかむしろ(絶対数が少ない分だけ)原子力災害でそこまで行く件数の方が
        #「状況の数」は圧倒的に少なくなります.
        #だからやはり,争点は「被害範囲の大きさ」とか「対処にかかる時間の長さ」だと思うんですよね.

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  • > 例えば,以下のような事例をすぐに考えつくことができます.
    > (実際にあったかどうかは大きな問題ではなく,起こり得るかどうかが問題でしょうから)

                          ヘ(^o^)ヘ いいぜ
                             |∧  
                         /  /
                     (^o^)/ てめえが何でも
                    /(  )    思い通りに出来るってなら
           (^o^) 三  / / >
     \     (\\ 三
     (/o^)  < \ 三 
     ( /
     / く  まずはそのふざけた
           幻想をぶち殺す

    > 1. 化学工場
    決死隊は不要です。なぜなら、米国EPA基準でレベルAの防護服 [bougofuku.com]を着用して酸素ボンベを携行すれば、8時間は活動可能です。
    いっぽう放射線に対しては、アルファ線やベータ線は遮蔽できても、透過力の強いガンマ線や中性子線に対しては、重い放射線防護服 [wikipedia.org]を着用しても放射線を防ぐことはできません。

    空間中のX線やガンマ線などに対してある程度は有効だが、強力なX線やガンマ線などを遮蔽する能力を持つ遮蔽体はたいへん重い(全ての放射線を遮蔽できる防護服を作るとするならば、総重量が少なくとも100キロ以上に達するという)ため、完璧な防護能力を持たせることはできない。

    ガンマ線を半分遮蔽するには鉛で1.3cmも必要なので、そんな重い防護服を着たら身動きできなくなります。

    > 2. 海難事故
    タイタニック号の事故を教訓に、客船は必ず乗客乗員が全員避難可能なだけの救命ボートを備え付けています。
    なので正しくは、「危険な状況だから、乗客乗員は避難しておこう」となります。

    > 3. 警察
    私は原子力発電に反対する以上に、凶悪な銃器を使った事件に対しても反対しております。よってその指摘は的外れです。

    > 爆発物処理班
    危険な作業であることは同意しますが、自衛隊は不発弾処理に [yahoo.co.jp] [fushou-miyajima.com] したことはありません。
    十分な訓練と高い技術を持てば、処理可能です。

    自衛隊は平成一五年までで113,703件の不発弾処理を行い系5444tの不発弾を処理していますが、現在に至るまで一度も失敗した例はありません。

    自衛隊は不発弾処理に失敗したことはいちどもないせいか、手馴れたもんである。

    > 津波で逃げようとしない人を何とか逃がして被害を減らそうと奔走して無くなった方々
    そういった方々の尽力は尊いかもしれませんが、災害対策としては落第です。
    うだうだ書き連ねる気もありませんので、「てんでんこ」で検索してください。

    > まあどちらも同じように,実際には選べないわけですが.
    日本は1945年に無条件降伏したことをお忘れですか?もしかして、「戦陣訓」とかを信じちゃっている人ですか?
    戦争において被害を少なくするため、これ以上の犠牲を出さなくするために退却・降伏することは過去の歴史を紐解けばいくらでもあります。
    世界最強の米軍ですら、朝鮮戦争やベトナム戦争で退却や降伏を重ねて、数千人の捕虜が敵に捕らわれました。

    しかし原子力事故では、退却・降伏したところで事故が収束するわけではないので、誰かが事故現場にいくしかないのです。

    --
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UNIXはシンプルである。必要なのはそのシンプルさを理解する素質だけである -- Dennis Ritchie

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