taggaの日記: 浸透している仮説≠有力な仮説
日記 by
tagga
乳児が色を区別できるというより、乳児でも典型色どうしは脳内で範疇的に区別していることを確認したもののよう。ウォーフの仮説は、有力というより、ゾンビ。
- 中央大学・日本女子大学・東北大学. 2016-02-09. 青と緑を区別する赤ちゃん: 言語以前の脳内メカニズムを探る. http://www.chuo-u.ac.jp/aboutus/communication/press/2016/02/39771/
- Jiale Yang, So Kanazawa, Masami K. Yamaguchi, and Ichiro Kuriki. 2016. Cortical response to categorical color perception in infants investigated by near-infrared spectroscopy. PNAS. http://www.pnas.org/content/early/2016/02/04/1512044113.abstract
- 共同通信. 201-02-09. 赤ちゃん、似た色を認識 中央大など「言語取得後」の仮説覆す. http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG08HEO_Y6A200C1000000/
- [参考] Laser Mom. 2012-01-24. Infant Vision Research. https://lasermom.wordpress.com/2012/06/24/infant-vision-research/
この分野が載っている教科書はこのあいだ捨てたので、うろ覚え。
考える前提として:
- ヒト以外のヒト科の動物も色を区別できる。
- 対応する色の語彙がない言語を母語をする人も区別できる。
- その区別が基本色あつかいの言語を母語とする人は、区別が得意。
ということで、言語が視覚を決定するなんてことはなく、 少しは影響があるというのが普通。 なんだけど、ゾンビ……。
今回の研究は、ヒトは生まれた直後だとよく見えないので、 だいぶ見えるようになった半年ちょいぐらいの乳児が対象。 緑2種類のばあいと、 青と緑のばあいに脳での処理に差があるというもののようだ。
なお、音のばあい、例えば [r]と[l]の区別だと、
日本語の環境で育つと区別できないのは、
もともとできる区別できたのが、最適化で区別できなくなるから。
今回の色の区別だと大人でいろいろな言語の人を集めてなさそうなので、 音と同じことが起きているかは不明。
おそらく色では音のように区別が失われるということはない。 母語による違いは、 区別しなければならない言語だと区別に慣れているので得意、 区別を表現するのが面倒な言語では言語化して思い出すときにミスしやすいということに よるのだと思う。
浸透している仮説≠有力な仮説 More ログイン