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yasuokaの日記: QWERTY直前のキー配列

日記 by yasuoka

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1872年8月10日のScientific Americanによれば、この時点でのChristopher Latham Sholesのタイプライターのキー配列のアルファベット部分は、上に示すようなものだった。その4年ほど前、1868年7月14日付けのUnited States Patent No.79868では、下段がABCDEFGHIJKLM、上段がNOPQRSTUVWXYZのアルファベット順だった。では、1868年のキー配列と1872年のキー配列を結ぶミッシングリンクには、どのようなキー配列が考えられるだろう。Roy T. Griffithの『The Minimotion Typewriter Keyboard』(Journal of the Franklin Institute, Vol.248, No.5 (November 1949), pp.399-436)の助けを借りて、大胆に仮説を立ててみよう。

1872年のキー配列でまず目に付くのは、中段のDFGHJKLMである。これは、D~MからEとIの母音を除いたものになっている。この「母音を除いたもの」という考え方を、1868年のキー配列の下段ABCDEFGHIJKLMに適用すると、BCDFGHJKLMという10文字の並びを得られる。また、1868年のキー配列の上段NOPQRSTUVWXYZから、同じやり方で10文字の並びを得るには、Yを母音とみなせばNPQRSTVWXZとできる。ここで1872年のキー配列の下段を見ると、ZやXはむしろ左側に、RやPはむしろ右側にあることから、左右をひっくりかえしてZXWVTSRQPNとする方が、飛躍が少ない。母音も同様にAEIは左から右へ、OUYは右から左へ並べることにすると

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という「仮想配列」が得られる。つまり、アルファベットを右端で折り返して中下段に配置し、そこから母音を取り出して上段に並べたもの、というのがこの「仮想配列」である。

この「仮想配列」こそがミッシングリンクだとするなら、どうして右下の文字を全部別の位置に移したのか、どうしてAを左端に移したのか、などの疑問に対し、論理的な説明が必要だろう。もちろんそれは「印字棒がからまないように」などという、説明にすらなっていないものではダメだ。個人的には、1872年頃のLillian Sholesの写真スケッチがヒントになると思われるが、これについては今後の研究が必要だろう。

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