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yasuokaの日記: 探偵小説と推理小説

日記 by yasuoka

清水義範の『身もフタもない日本文学史』(PHP新書、平成21年7月)を読んでいたところ、探偵小説と推理小説に関する妙な記述を見つけた。(p.203)

推理小説というのは、昭和二十一年に初めて用いられた名称で、戦前は探偵小説と呼ばれていた。なぜ戦後急に名称が変えられたかというと、昭和二十一年に発表された「当用漢字表」の中に、「偵」の字が入っていなかったので、探偵と書けなくなったからである

推理小説が昭和21年に初めて用いられた名称、というのは、いくら何でも嘘だ。有名なところでは、甲賀三郎の『音と幻想』(紫文閣、昭和17年1月)が、収録している短編13編を推理小説・犯罪小説・諧謔小説・海洋小説・外地小説の5つに区分していて、「音と幻想」「一本のマッチ」「犯罪の手口」の3編を推理小説としている。「一本のマッチ」には木村清が出てくるが、「音と幻想」や「犯罪の手口」を探偵小説と呼ぶのはイヤだったのかもしれない。

というか清水義範は、もちろん甲賀三郎を読んでるはずなのに、『音と幻想』に推理小説と書かれていたのを、まったく気づかなかったのだろうか?

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