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政府

yasuokaの日記: Re: 犯歴事務について早急な法整備を要望 2

日記 by yasuoka

私(安岡孝一)の一昨日の日記に対して、かなりたくさんのコメントがついたのだが、ほとんどの人が「犯歴事務」について全く知らない、という事実に啞然とした。とりあえず、「犯歴事務」の唯一の根拠法(だろうと考えられる)公職選挙法第11条第3項を見てみよう。

市町村長は、その市町村に本籍を有する者で他の市町村に住所を有するもの又は他の市町村において第三十条の六の規定による在外選挙人名簿の登録がされているものについて、第一項又は第二百五十二条の規定により選挙権及び被選挙権を有しなくなるべき事由が生じたこと又はその事由がなくなつたことを知つたときは、遅滞なくその旨を当該他の市町村の選挙管理委員会に通知しなければならない。

これを受けて、公職選挙法施行令の第1条は、以下のように規定している。

市町村の選挙管理委員会は、当該市町村の選挙人名簿に登録されている者で公職選挙法(以下「法」という。)第十一条第一項若しくは第二百五十二条又は政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第二十八条の規定により選挙権を有しなくなつたものが他の市町村の区域内に住所を移したことを知つたときは、遅滞なく、その旨を当該他の市町村の選挙管理委員会に通知しなければならない。

施行令は法を詳細化すべきものなのだから、公職選挙法に書かれた「選挙権及び被選挙権を有しなくなるべき事由が生じたこと又はその事由がなくなつたことを知つたとき」の「知つたとき」というのは、どういう形で起こり得るのかを施行令に書くべきだ。ところが、公職選挙法施行令にはそのような条文は存在しない。特に「なくなつたこと」に対しては、その記録を完全に消除するのか、それとも見え消しにするのか、運用上かなりの疑義があるのだが、それすら全く規定されていないのだ。

しかも、こういう状態の「犯歴事務」に対し、国家試験とか公務員試験とか裁判員候補者とかの「犯歴照会」が、次々に市区町村の役場に照会されることになる。根拠法がないから、照会の仕方も滅茶苦茶で、まあ極端な場合には、電話で「犯歴照会」をかけてくるわけだ。現場の市区町村役場がキレるのもわかるし、全国連合戸籍住民基本台帳事務協議会が、エンエンと要望を出し続けているのも当然のことだろう。

そんな状態の「犯歴事務」を、「個人情報保護」とどう両立させるべきか。少なくとも私個人は『マイナンバー、その「複雑さ」の真相』第5回で、その道筋は示したつもりだ。他の方法があるというなら、ぜひ、今日の日記のコメントで教えてほしい。

この議論は、yasuoka (21275)によって ログインユーザだけとして作成されたが、今となっては 新たにコメントを付けることはできません。
  • 利用目的が選挙であれば、市町村は誰がいつまで選挙権が無効か(ID1つと日付1つ)を記録するだけでいいように見えます。
    それ以外の情報は捨てて持っていなければ照会する方も無駄とわかって照会しなくなると思います。
    • 実は、全国連合戸籍住民基本台帳事務協議会も「犯罪人名簿の調整に係る事務の法整備等について」(平成24年10月25日)で、そう宣言しているんですよね(cf.『戸籍』第885号pp.56-57)。

      なお,自治事務であることを根拠に法的整備は不要という従来主張が繰り返されるようであれば,本協議会は,各地方協議会との連携のもと,市区町村が実施すべき犯歴事務を選挙人名簿の調製に必要な最小限の範囲とし,資格調査のための犯歴照会に応じないことも視野に,抜本的な見直しと全国統一の取扱基準の策定に取り組んでいきます。

      あとは「いつ本気でやるか」だけのような気もするんですけどね。

      親コメント
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あと、僕は馬鹿なことをするのは嫌いですよ (わざとやるとき以外は)。-- Larry Wall

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