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政府

yasuokaの日記: 「名未定」の出生届を受理した都島区長に対し、あらためて、子供の名に「穹」を含む出生届を受理するよう、大阪高等裁判所が命令した結果、都島区長はどうしたのか

日記 by yasuoka

「巫」は常用平易か(続編第2回)[三省堂ワードワイズ・ウェブ、2014年12月5日]で、私(安岡孝一)は以下のように書いた。

実際、「穹」の名づけが争われた事件(第2回参照)では、「名未定」の出生届を受理した都島区長に対し、あらためて、子供の名に「穹」を含む出生届を受理するよう、大阪高等裁判所が命令しています[平成19年(ラ)第486号、平成20年3月18日決定]。松阪市長は『全訂戸籍法』(日本評論社、昭和57年9月)を引用していますが、『全訂戸籍法』は法律書としては化石のような古さで、昭和60年以降の戸籍法改正に全く追随していませんし、もちろん「穹」の判例もフォローしていません。

では実際、都島区長(寄瀬博光)は、どうやって『子供の名に「穹」を含む出生届』を受理したのか、という趣旨の御質問をいただいた。この点に関しては、中山隆弘が『戸籍法施行規則60条に定める文字以外の文字である「祷」及び「穹」は社会通念上明らかに常用平易な文字であるとして,当該文字を子の名に用いた各出生届の受理を命じた事例』(民事月報, Vol.63, No.9 (平成20年9月), pp.7-42)という論文で、以下のように述べている。

なお,本件不受理処分後に,子の名を「命名前」とする出生届が受理されているところ,当該不受理処分が違法であるとして,裁判所が不受理処分の前提である届出そのものの受理を相当な処分として命じた場合は,施行規則43条の趣旨により戸籍の記載がされることになると考えられる。すなわち,子の名を「命名前」とする後の出生届が受理されたことにより記載された出生事項を戸籍訂正により消除するとともに,子の名を「○穹」とする前の出生届に基づいて出生事項及び子の名を記載することとなろう。

要するに、「名未定」の出生届の受理を無かったことにして(戸籍訂正)、あらためて「○穹」ちゃんの出生届を受理したわけである。考えてみれば当たり前だ。その意味では、松阪市長(山中光茂)の平成25年9月18日意見書[13松阪(戸)第000144号]のうち、少なくとも以下の部分は、戸籍訂正と不服申立を排他的だとみなしている点で、全くの大嘘である。

当職は,前記2(1)のとおり,受理した出生届に基づき既に戸籍記載をしているから,戸籍訂正手続によらずに,出生届に対する不服申立てをすることは許されない

ただ、この意見書と、平成26年1月9日意見書[13松阪(戸)第000202号]を読む限り、山中光茂(松阪市長)は、中山隆弘(法務省民事局民事第一課の中の人だった)の上記論文に、何らかの形で目を通しているのは間違いない。まあ、山中光茂本人ではなく、背後にいる津地方法務局の誰かである可能性も、もちろんあるのだが。

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