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日本

yasuokaの日記: 子の名の難読性と人名用漢字

日記 by yasuoka

『ソシオロジ』の最新号(第183号、2015年6月)を読んでいたところ、塚常健太の「名前に対する階層判断とソーシャル・テイスト」(pp.43-61)という論文に出くわした。日本における個性的な名前に対し、コンジョイント分析でソーシャル・テイストを明らかにしよう、という野心的な論文で、読んでいてかなり面白かったのだが、「難読性」の設定に無理があるらしく、少しばかり残念な結果に終わっていた。すなわち、「難読性」については「容易に読める」「読めるが読み間違えうる・漢和辞典には掲載されている読み方」「読めない・当て字」という3つの水準を設け、「読めない・当て字」にあたる名前として「騎士男」(ないと)「富士」(たかみね)「明星」(ひかる)「七月女」(じゅりあ)「細布」(たえ)「朝日」(あきら)を具体例として提示しているのだが、そもそも以下の問題点があるとのことだった。

実際の社会状況を忠実に再現すべく、実在が確認された名前のみを含めることが理想的であるが、「当て字」の水準と他の基準を同時に満たす例が極めて乏しいため、最終的に、「当て字」に該当する名前のほとんどは、実在する同音の名前に架空の漢字を当て字として付与した。

だとすると、それは「難読性」という基準が、本稿で用いている他の2つの基準「流行時期」「性別推測困難性」と直交していないのではないか、という可能性が考えられる。もしくは、「難読性」の3つの水準の「切り方」が悪く、そもそも存在しえないところに「切って」しまっているか、である。

そう思って、これら6つの名前を見直してみると、全てが常用漢字であり、しかも「騎」以外は教育漢字である。教育漢字1006字、その他の常用漢字1130字、人名用漢字862字を考えると、その分布はいくら何でも「当て字」としては無理があるだろう。でも、うーむ、どこをどうすれば、ちゃんと「実際の社会状況を忠実に再現」した直交空間になりうるかな…。

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未知のハックに一心不乱に取り組んだ結果、私は自然の法則を変えてしまった -- あるハッカー

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