yasuokaの日記： 戸籍統一文字011760の咎なし点はどこから来たのか

思うところあって、戸籍統一文字011760が人名由来なのかどうか、調べてみることにした。そもそもこの字は『新大字典』からの収録で、『新大字典』第1刷(1993年3月11日発行、講談社)では検字番号697に収録されている。検字番号697は「646〖健〗の俗字」と書いてあるだけなので、特に人名由来なのかどうかハッキリしない。

さらに元となった『大字典』初版(大正6年3月15日発行、啓成社)では、検字番号443にこの字が収録されていて、「健の俗字。421を見よ。」となっている。『大字典』の凡例には

文字は康熈字典を準據としたけれども、素より之を取捨選擇したる上に、更に通常世間に慣用せる俗字・略字・新製文字等を新聞雜誌他諸記錄中より捃摭し、普く之を網羅せり。

とあるので、人名由来である可能性はあるものの、特に人名を狙って収録したとは思えない。

一方、中国の石碑では、「健」や「建」の咎なし点は時々見られるもので、私(安岡孝一)の知る限り『齊趙郡李氏碑』に遡る。『齊趙郡李氏碑』では、「管窺行健」の「健」に咎なし点があり、どうも人名では無さそうだ。

というわけで、ざっと調べた感じでは、戸籍統一文字011760が人名由来だという証拠は見つからなかった。人名由来だという情報をお持ちの方は、ぜひぜひ私に連絡してほしい。