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日本

yasuokaの日記: 現行戸籍制度の問題点と戸籍制度の由来

日記 by yasuoka

『自由と正義』の今月号(Vol.67, No.11)を読んでいたところ、ノッケから、山田徹の「戸籍制度の由来等に基因する現行戸籍制度の問題点と無戸籍者問題」(pp.8-16)という論文に出くわした。現行戸籍制度の問題点を

戸籍制度の由来からして、国民に家制度の発想をいまだに残し、以下に述べるように、戸籍制度が壁になって逆に実体的権利義務関係にまで影響を及ぼし、多様な家族の在り方を否定する効果まで生じている。

という点から論じたものらしい。しかし、私(安岡孝一)には、山田が言う現行戸籍制度の具体的問題点のうち、少なくとも以下に示す①~⑪が「戸籍制度の由来」にどう基因しているのか、サッパリ理解できなかった。

①抜本的に個人登録制度等に改めるべきではないかのほか、②戸籍担当者に実質的審査権をどこまで付与すべきか(無断・無権限での創設的届出や、真実と異なる可能性のある報告的届出、命名権の濫用事案等)、③戸籍の正確な記載を事後的に確保するための戸籍訂正について、対象事項別の手続の整理や裁判所の関与の在り方、市区町村長や法務局限りでの職権訂正を可能とする範囲の明確化、合意に相当する審判や人事訴訟等の判決による戸籍訂正の際の訂正内容や戸籍訂正許可審判の主文とすべき内容の特定方法、④裁判所の手続(調停・判決等)で離婚等をした場合に、届出を待たない裁判所書記官からの職権による嘱託化、離婚の方式が戸籍に記載されることを避けて協議離婚としたがる人への配慮、⑤生殖補助医療に関し、特別養子制度におけると同様、出自を知りうるようにしたり、近親婚を避けたりするための方策や、出生届における同意等の扱い、⑥外国方式による身分行為があった場合の報告的届出義務の規定と証書提出の添付資料化、⑦命名の自由と電算処理体制下での人名用漢字の制限や誤字・俗字・異体字等の正字への解消の問題、⑧推定相続人の廃除、浪費を原因とする従前の準禁治産宣告や後見登記への移行の申請未了の(準)禁治産宣告を戸籍記載事項とし続けたり、他方で、相続欠格や不在者・相続財産の管理人の選任について戸籍記載事項とすることの当否、⑨認知の無効と取消しの使い分けと戸籍訂正申請と届出との対応関係、⑩マイナンバー制度について、戸籍との関連付けが言われていることの、個人情報保護等の見地からの問題、戸籍記載事項証明書等にマイナンバーが記載されることの回避、逆に養育費の公的機関による取立てや、その他強制執行を容易化するためのマイナンバー制度の利用の可否、⑪本人以外からの戸籍謄本等や住民票の交付申請における公開制限や正当理由の審査、必要情報に限っての提供方法等、

何なの、これ。百歩譲って①が「家制度」に関係あるとしても、他は、適当に関係ありそうな話をマゼコゼに並べ立てたに過ぎない。特に⑦とか⑩とか、「戸籍」という制度そのものに対する問題点なのか、それとも「戸籍」制度の運用上の問題点なのか、あるいは「戸籍」の周辺に関して起こっている問題点なのか、問題点の整理が全く出来ていない。とりあえず「戸籍」に関係ありそうな問題点を、とりあえず思いついた順序で並べてみただけの文章で、そもそも何を論じたいのかサッパリわからない。

この『自由と正義』って、日本弁護士連合会の雑誌のはずなんだけど、「家制度」に由来する現在の戸籍法に対し、こんな論文を掲載して、いったい何をどうしたいんだろう?

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