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どこにぶら下げようか迷ったんだけど、ここに。
あまり知られていないようなのですが、著作権は無体財産権として相続税がかかります [nta.go.jp]。著作権に対する相続税は、その存続期間(独占期間)とは無関係であり、「印税収入期間」だけが問われます。
著作権継承者に科せられる義務としては現在唯一のものが相続税と言って良いのですが、通常のケースでは、相続を躊躇わせるようなものにはなっていません。
「著作物に関し精通している者の意見」というのは(文芸作品の場合)他でもない日本文芸家協会らしい。
はい、その通りです。文芸作品の場合、日本文藝家協会 [bungeika.or.jp]が「推定印税収入期間」だけではなく、「年平均印税収入の額」の算出まで全部請け負っています。 国税当局と遺族の間で板挟みになることもある仕事でした。
今思えば、権利の存続期間と推定印税収入期間の大幅な乖離について、職にある時に疑問を抱くべきでしたが、逆を言えば、恐らく現在協会に奉職している方々はやはり疑問に思っていないのではないかと思います。
あと、補足すると、著作権は相続放棄するとパブリックドメインになります [e-gov.go.jp]。
今まで「推定印税収入期間50年」という判定を出したことはあるんでしょうか?
私が在職した間には、その数字を出したことはなかったかと。しかしそれ以外の期間でどのような数字が出たかまでは知悉しておりませんので、偉大な作家においてそのような数字が出る/出たことがないとは言い切れません……。
今後の延長議論の中でこの点が論点になってくれればと思う次第です。
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対案は大事だよね (スコア:-1)
#個人的には「死後何年」ではなく「遺産を相続する遺族が全員死亡するまで」がいいと思うのだが…
Re:対案は大事だよね (スコア:0)
また、その著作権を売買し、法人の管理下に入った場合は?
Re:対案は大事だよね (スコア:0)
法人の管理下に入ったら、その法人が存続する限り永遠で。その法人の収益になるんだからこれは当然。
Re:対案は大事だよね (スコア:0)
その法人が権利を他者に売ったらどうなるんだろう。
Re:対案は大事だよね (スコア:2, 興味深い)
書き忘れたが、権利を得る以上は義務も負ってもらうようにするべき。
著作権税みたいなもので、それ持ってるだけでなんらかの支出の義務は負ってもらう。
最初から義務があると著作業として苦しくなるだろうから最初の数年のみは免除。そして義務が発生する時点で、著作者はその権利を維持するか放棄するかを自分で決める。放棄したら二度と誰かの権利になることはないが、たとえ無収入でも義務は消えないので、維持するかどうか慎重に決めさせる。
相続税をもっと! (スコア:5, 参考になる)
どこにぶら下げようか迷ったんだけど、ここに。
あまり知られていないようなのですが、著作権は無体財産権として相続税がかかります [nta.go.jp]。著作権に対する相続税は、その存続期間(独占期間)とは無関係であり、「印税収入期間」だけが問われます。
著作権継承者に科せられる義務としては現在唯一のものが相続税と言って良いのですが、通常のケースでは、相続を躊躇わせるようなものにはなっていません。
Nullius addictus iurare in verba magistri
Re:相続税をもっと! (スコア:1)
死ぬ前の印税収入(3年平均) x 0.5 x 評価倍率
この0.5だが、同じ無体財産権のうち特許権、実用新案権、意匠権、商標権にはなく、鉱業権・租鉱権にはある。リスクファクタということだろうか。
>(2) 評価倍率
> 課税時期後における各年の印税収入の額が「年平均印税収入の額」であるものとして、著作物に関し精通している者の意見等を基として推算したその印税収入期間に応ずる基準年利率による複利年金現価率とする。
要するに「推定印税収入期間」である。
「複利年金現価率」つーのは(俺には)聞きなれない言葉だけど、現時点の価値ってことだ。
例えば現時点で500万円預けて利子が付いて50年後に1000万円になるとしたら、現時点の500万円は50年後の1000万円と同等の価値を持つ。逆に50年後に1000万円の印税収入を得る権利は、現時点では500万円の価値を持つことになる。利率(上記「基準年利率」)は国債に準じる。
「著作物に関し精通している者の意見」というのは(文芸作品の場合)他でもない日本文芸家協会らしい。
「この作品はベストセラーだけど時事ネタだから3年で売れなくなる」とか「この作品はロングセラーだから100年売れる(うち著作権有効期間50年)」とか評価して「印税収入期間」を決めるんだと思うが、
70年延長を主張しているということはおそらく70年後も収入があると考えているわけだから、70年分の相続税もきっちり払っていただきたい。権利は70年分主張するが、義務は身内のお手盛り評価で3年分しか果たさない、というのはナシよ。
仮に年間1000万円の印税収入の70年分にかかる税を一括払い(だよね?遅れると追徴金(高い利子)がつくハズ。バブル崩壊期にはそれで悲劇もあったとか)するとしたら、けっこうキツイ額になる。
絵画や陶芸の大家が死亡すると相続税がエライコトになるので公立美術館に寄付して「無い事」にしてしまうらしいが(出典:ギャラリーフェイク)そういう選択も出てくるだろう。そのためには受け入れ先が必要だ(文化庁あたりか?)。
俗に金持ち三代って言うけど、相続税40%で特に節税せず配偶者50%、子50%(遺言がない場合のデフォルト)で相続して配偶者死亡時に子100%で相続するとすると一代あたり48%残ることになるから、4代重ねるとわずか5%になる。
延長しても相続税をきちんと払うならたいして子孫に残せないんじゃね?
一方、長期経済的価値のない著作物であれば、相続税の心配もない代わりに延長するメリットも著作者(の子孫)には全くない。
まあ70年後までの印税収入を正確に算出するってのは実質無理だと思うから、後で追徴なり還付なりで補正する必要があると思うか。
Re:相続税をもっと! (スコア:1)
はい、その通りです。文芸作品の場合、日本文藝家協会 [bungeika.or.jp]が「推定印税収入期間」だけではなく、「年平均印税収入の額」の算出まで全部請け負っています。
国税当局と遺族の間で板挟みになることもある仕事でした。
今思えば、権利の存続期間と推定印税収入期間の大幅な乖離について、職にある時に疑問を抱くべきでしたが、逆を言えば、恐らく現在協会に奉職している方々はやはり疑問に思っていないのではないかと思います。
あと、補足すると、著作権は相続放棄するとパブリックドメインになります [e-gov.go.jp]。
Nullius addictus iurare in verba magistri
Re:相続税をもっと! (スコア:1)
参考になります。が、
相続は普通、全部相続するか全部放棄するかの二択で、一部放棄ってことはできない。
わかりやすい例だと資産は相続するが負債は放棄、ってのはできない。
例に挙げた美術品の寄付ってのは事実上の一部放棄を可能にする。
遺族としては、現金資産は相続したいが、印税が入るかどうか(美術品の場合は「売れるかどうか」)もわからないのに相続税だけはかかるモノなんてイラネ、となるかもしれない。
そういう際に一部放棄できるようなシステムはあるのか?
Re:相続税をもっと! (スコア:2, 興味深い)
よく考えるとこの式不公平だな。
印税てのは売れた時でなくて刷った時に入る。
ハヤカワ文庫なんかだと10年分くらい刷る(で時々表紙だけ変える)。
定義通り評価するなら、
たまたま過去3年が「刷らなかった年」だと、3年平均収入が0になって相続税なしで6年以内に増刷かかって遺族大ラッキー(もちろん絶版の可能性もあるが)、
たまたま「刷った年」だと、本来年平均は1/10であるのに1/3であるとして税がかかる(実際は0.5かかるので1/6)ので遺族大不孝
多作だと平均化されるだろうが、寡作とか余技(翻訳に多い)だと問題になることもあるんじゃなかろうか。
> 文芸作品の場合、日本文藝家協会 [bungeika.or.jp]が「推定印税収入期間」だけではなく、「年平均印税収入の額」の算出まで全部請け負っています。
「年平均印税収入」なんて外注するまでもなく税務当局が一番良く知ってるハズなので怠慢だと思ったが、このへんを考慮してるんだろうか。
Re:相続税をもっと! (スコア:1)
「本来70年以上の価値があるのに50年までしか出せないから延長しろ」というのなら理解できますが
「今までのところ30年の価値が最大だが足りないから70年にしろ」ではスジが通らない。
Re:相続税をもっと! (スコア:1)
私が在職した間には、その数字を出したことはなかったかと。しかしそれ以外の期間でどのような数字が出たかまでは知悉しておりませんので、偉大な作家においてそのような数字が出る/出たことがないとは言い切れません……。
今後の延長議論の中でこの点が論点になってくれればと思う次第です。
Nullius addictus iurare in verba magistri