”発電所の廃熱が温暖化の主因”とか言ってる人って、所々で見かけますね。
でも温室効果ガスによる太陽エネルギーの吸収量の変化より、桁違いに小さいんですよね。下記のように。
世界の総一次エネルギー供給量(TPES,2008年):12267Mtoe = 12267x11.63TWh = 142665TWh
Wに直すと 142665 / 365 / 24 = 16.3TW
http://www.iea.org/textbase/nppdf/free/2010/key_stats_2010.pdf
ちなみに電力需要量はもっと小さくて、2TWぐらい。
これに対して、太陽から地球に届くエネルギーは約174000TW。
http://ja.wikipedia.org/wiki/地球のエネルギー収支
本当ならこれと同じだけのエネルギーが外に出て行って、地球の平均気温は一定に保たれるところ。
ところが温室効果ガスが増えて、一部が地球にため込まれてる。
その影響量は、ここ2世紀ぐらいに増えたCO2の分だけで、放射強制力にして1.66Wm^-2。
http://www.ipcc.ch/publications_and_data/ar4/wg1/en/ch2s2-3.html#table-2-1
地球の表面積を掛けて、影響量(太陽光から吸収される熱が増えた分)は
1.66 x 5.1×10^14 = 約850TW
つまり人為的なCO2の増加だけで、これだけ熱の吸収が増えている。
この他にもメタンやら何やらの効果もあるけど、CO2が一番でかい。
また、水蒸気による増幅の効果も含まれている。水蒸気はこれらの効果を増幅しているだけで、それ単体では温暖化を継続させる力は無い。たとえば、下記のScienceの論文を参照。
http://www.sciencemag.org/content/330/6002/356
その 850TW+α がどれだけ平均気温に影響を与えるかは、下記の図SPM.5 (PDFの7ページ目)で大体わかる。
http://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th/syr_spm.pdf
いまぐらいの濃度のままなら、1900年と比べても上昇量は1℃少々で済む。
これに対して世界で使われてるエネルギーによる発熱量16TWってのは、ほんとに桁違いに少ない。そりゃ局地的にはヒートアイランド等の現象を起こしたりするけど、温暖化ガスの影響量に比べると、無視できる程度の発熱量でしかない。
いつかエネルギー消費量が今より2ケタ上がったら放熱自体も問題になるかも知れないけど、半世紀後でもせいぜい10倍の予測。
上記では世界の一次エネルギー供給量全部で比較したので、その一部である原発の廃熱でも同じことが言える。再生可能エネルギー(風力やバイオマスや太陽光)の利用による放熱の増加分は含まれてないけど、これもしょせん、化石燃料を燃やした場合の放熱と同じオーダーだ。化石燃料を燃やす量が減って、差し引きでは放熱量はあまり変わらないか、減るか、(よほど性能が悪くても)せいぜい数倍だろう。それがたとえ30TWとか50TWになっても、影響は知れてる。
それよりも、CO2による影響(850TW以上)分を減らす効果の方が、桁違いに勝る。
”放熱自体が温暖化の主因”だなんて、FUDもいいところですわな。
# もちろん地球上で吹く風が持つエネルギーも、人類が扱えるエネルギーより桁違いに大きい。少々風車を建てたぐらいじゃ、とてもとても。