phasonのコメント: Re:さんざん既出だけど、「京」の使い道って何? (スコア 5, 興味深い) 81
>バカでかい計算一発に意味がある問題向けに作ったってことなんでしょう。
それも無いではないんですが,理研の方の話を聞く限りではもっと単純に「生命科学用のスパコンが欲しい!出来ればでかい方がいい!」とかそんな雰囲気も.
……いえ,うちの組織も絡んでるんで,否定的なことばかり言うと上司に怒られるのですが.
当初の夢(例えば茅先生達の夢)としては,階層をまたいだ計算(*)を実現して,より統一的な理解を実現する(そして精密科学のレベルまで持って行く)というのをぶち上げていたんですが,いろいろ検討が重ねられた結果結局それは現状の計算能力ではフルに利用したとしてもとても足りない(桁でいくつか足りない),という.
(新しい計算法の開発も進んでいて進展はあるんですが,当初の「夢」がでかすぎて追いついていない)
*例えば単純な1分子は,量子化学計算により非常に精密に計算できます.しかしタンパクぐらいになるとそういう精密な計算では計算量が発散してとても計算できず,もっと経験的手法が使われます.さらに周辺の溶媒の効果を取り込んだり,分子集合体である生体膜などになると経験的手法ですら計算が発散してしまうため,もっと単純な剛体球+引力(斥力)といった単純な扱いや,統計的な扱いになります.このように生体を扱おうとすると異なる階層で異なる手段が用いられるわけですが,これを計算力を駆使して同じ計算手法で原子から生体組織まで取り扱いたいとか,細胞の中での酵素反応を細胞丸ごと計算に取り込みつつピンポイントな部分は量子化学計算並みの精度で計算したいとか,そういうのがそもそもの夢です.
スパコンセンターを作ったり,そういった組織を中心にして生体分子系の計算手法(理論&アルゴリズム)の開発をしたり,とかは非常に素晴らしいと思うんですが(そういうことは今もどんどん進んでいます),使うスパコンが本当に世界一の必要があるの?とかいうと,ほら,そこはまあ.
(生命科学系を中心とした計算系の組織を作り上げるために,予算獲得の旗印としてぶち上げた,という印象が……)
#とか言うとボスに怒られます.