phasonのコメント: ちゃんと読んでみました (スコア 5, 参考になる) 47
やはり光学異性体を作り分けたりはしていないようです.
ちょろちょろと報告がある,「攪拌したら光学活性的な挙動が出たよ」という現象を詳しく調べられる系を作ることに成功,とかそんな感じですね.
マクロな攪拌とミクロな光学活性は関係が無いと昔は思われていましたが,ポリマーとかには影響があるんみたい,という報告がちらほら出ていました.どうも,攪拌によって溶液中の分子の並びかたに偏りが生じているのではないか?という事になります.と言っても溶液ですので,きっちり並ぶと言うよりは,平均するとちょっと螺旋っぽい構造になる,とかそういう統計的な話になります.
そこで著者らは,もし溶液中でそういう螺旋っぽいミクロな構造が実現しているなら,そこに蛍光色素を一緒に入れておけば円偏光が出てくるんじゃないの?と考えて実験.さらに入れておくポリマーとして室温でゲル化するものを使うことで,そういった攪拌中にできるミクロな構造を固定化し,そのまま測定に持って行くことに成功しています.
でまあその結果,マクロな攪拌によって誘引されるミクロな対称性の破れ(イメージとしては,洗濯機を回すと,中の衣類がねじれる様なものと言ったらよいか)をきちんと測定できる手法になるよ,と.
この手法の売りとしては,使ってるポリマーが非常に簡便に合成できて入手性に優れているところ,室温で固まり,少し温めると溶けるため微視的なカイラルな構造を作ったり崩したりと言った実験がやりやすいところ,水溶性の様々な色素を取り込ませて同じように実験できるところ,などだそうです.