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Scienceのアブスト読んだだけですけど、拒絶反応を起こさないように免疫系を弄ったマウスに、白血病を引き起こす変異を導入した『ヒトの』造血系細胞を移植したって話ですね。
これまで培養細胞の遺伝子を組換えて実験したり、モデル生物の遺伝子を組換えたりっていうのはメジャーな方法でしたけど、どちらも『ヒト』ではありません。 基礎研究には足りたのですけど、(多分)製薬業界には不足だったのでしょう。 その点、今回の手法は原因細胞だけはヒトのものなので、マウスとヒトの差を気にせずデータを取れます。 白血病は造血系細胞内で細胞自律的に進行する(他
なるほど参考になりました ガン幹細胞でこの手の実験が行われていなかったのは、ちょっと意外でした
#コメントしてしまったのでモデできません どなたか#1150215に『参考になる』のモデを……
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アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者
実験系の確立としては喜ばしい (スコア:4, 興味深い)
Scienceのアブスト読んだだけですけど、拒絶反応を起こさないように免疫系を弄ったマウスに、白血病を引き起こす変異を導入した『ヒトの』造血系細胞を移植したって話ですね。
これまで培養細胞の遺伝子を組換えて実験したり、モデル生物の遺伝子を組換えたりっていうのはメジャーな方法でしたけど、どちらも『ヒト』ではありません。
基礎研究には足りたのですけど、(多分)製薬業界には不足だったのでしょう。
その点、今回の手法は原因細胞だけはヒトのものなので、マウスとヒトの差を気にせずデータを取れます。
白血病は造血系細胞内で細胞自律的に進行する(他
Re:実験系の確立としては喜ばしい (スコア:5, 参考になる)
実はこれまでにもヒトがんを移植可能な、免疫不全モデルマウスってのはありまして。有名どころでは、ヌードマウスの足蹠などの皮下にがん細胞を接種して、そこで固形腫瘍を作らせるとか(ただし、これだと元のがんと同じフェノタイプとはいえない)。最近では、SCIDマウス(重症複合不全症モデルマウス)に1型糖尿病の自然発症モデルであるNODマウスを掛け合わせた、NOD/SCIDマウスが開発されて、それを用いた実験によて、「がんの元になる細胞」である「がん幹細胞」が、白血病を皮切りにいくつか
Re:実験系の確立としては喜ばしい (スコア:1)
なるほど参考になりました
ガン幹細胞でこの手の実験が行われていなかったのは、ちょっと意外でした
#コメントしてしまったのでモデできません
どなたか#1150215に『参考になる』のモデを……
Re:実験系の確立としては喜ばしい (スコア:3, 参考になる)
いえ、それを実証したのが、NOD/SCIDマウスを利用した実験でして。
そもそもがん幹細胞の存在自体は、1970年代から提唱されてたんですけど、それを実験的に証明することができなかった。これには理由が二つあって、一つはがん組織の中から特定の細胞だけを見分けて分取する方法がなかったこと、もう一つは実験モデル動物がなかったことです。
最初の問題については、フローサイトメトリーの実験技術が開発されて、セルソーターを用いた特定細胞集団の精製方法が見つかったことで解決されました。そして、二番目の問題ですが、これは単にヒト組織を定着できるかどうかという問題に加えて、そもそも正常な生体では免疫によってがん細胞が排除されているものなので、それを弱めて、がん細胞が定着しうる動物モデルを開発する必要がありました。これに加えて、がん幹細胞の研究の背景には、正常な体性幹細胞が発見されたことも大きく関与してます。正常組織の修復に関わる、体性幹細胞の表面抗原などに関する知見が、がん幹細胞を見定めるときの重要な手がかりになりました。
で、このような条件がそろって、がん幹細胞が最初に発見されたのが1997年、血球細胞系のがんである白血病で証明されました。これは、体性幹細胞として血球系の造血幹細胞が最初に見つかったのと同じで、もともとがばらばらの浮遊細胞の状態にある血球系細胞が、分離精製が容易であることが大きな勝因だったと言えるでしょう。NOD/SCIDマウスにおける実験では、ヒト白血病患者の白血病細胞から、ごく少数含まれている幹細胞を分離してマウスに接種すると、ヒトと同様に多数の白血病細胞(幹細胞は中に少数含まれる)が増加して、同様の病態を示しただけでなく、そのマウスから再び幹細胞を分離して同様の実験を繰り返すことが出来た…ややこしく聞こえるかもしれませんが、これは要するに「コッホの条件」の第3および第4項を満たすことの証明なので、これで古典的な考えでも「病原体」としての条件を満たすことになるわけです。
その後、固形腫瘍においても、2003年に乳がんと神経細胞種、2007年に大腸がんにおいて、同じNOD/SCIDマウスを用いた実験系を用いて、がん幹細胞の存在が証明されてます。この他にも、いくつかのがんにおいてがん幹細胞の存在が報告されてます。ただし、それらでは(使用許諾の関係からか)NOD/SCIDなどを用いた動物実験での証明はまだ済んでません。