南極の場合、内陸基地もデポも時とともに沈降します。内陸旅行の際は、ルート上に燃料などの資材を大量にデポし、何度も往復してルート開拓を行います。その旅程は単純な片道旅程で20日以上かかり、期間も夏側に制限されますから、ルート構築自体も何年もかけて行ったものです。
たとえばドームふじ基地は、地上構造物でしたが、現在は地下に埋もれた状態になって維持されています。これをジャッキアップや上部拡張によって維持しているのです。そのノウハウ獲得とルート確保のために日本は53年間継続的に南極観測を行ってきました。
内陸基地は一旦完全に埋まってしまえば、再度ルートを構築し、基地を元の状態にするには、10年以上かかるでしょう。その間科学的成果は期待できません。となれば、そこに人生をかける人材が現れること自体あまり期待できなくなるでしょう。一旦失えば、日本は半永久的に南極を観測空白とし、データを他国に頼ることになります。そうなれば、大気科学、天文学などいくつかの基礎科学分野ではリーダーシップをとり続けることは不可能になるでしょうし、雪上車や極地建築のノウハウ獲得もできないでしょう。
日本の南極観測は大きいとはいえ予算が少なく、米国や欧州連合、オーストラリア、中国などがとくに二桁以上大規模な予算をかけています。とくに近年目立って中国と韓国の勢力拡大が目立っています。なぜ、大国がそれほどの予算規模で命をかけてまでしのぎを削るかというと、いくつかのサイエンスで継続的にリーダーシップを発揮することが重要だと考えられているからです。リーダーシップを発揮し続けることの意義は考えようです。少なくとも大国はそれを必要と考えている場合が多いです。
大気は極まで含む大循環が存在し、シミュレーションを組む場合支配的な項となることは間違い有りません。
地球の将来予測をする上で非常に重要です。しかしここでは、問題を小さく考えてみましょう。国ごとに情報の格差や情報処理ノウハウの格差が生まれたとして、その影響が将来にわたって無視できるかどうかは一般論としてははっきり言えません。でも、とりかえしのつかない格差になったときには、まさに取り返しがつかないでしょう。たとえば、気象の予測精度は今後もあらゆる方法で改善傾向が続くでしょうが、結果的に農業生産高にインパクトを与えたり、貿易上の駆け引きにデータが利用されます。
もちろん、そんなもんは関係ないと信じることにすることもできます。それを選ぶのは現役世代の国民です。
流氷の増加による接岸不能は、流氷への積雪という悪循環になっており、短期的に改善傾向に転じる見込みはありません。ただ現状、ヘリが二機あれば、越冬資材の輸送は不可能ではない程度ではあるので、ここでのヘリ一機の調達予算がかなり切羽詰まった切実な予算なのです。