kahoのコメント: 英訳がひどい、と思ったら (スコア 5, 参考になる) 45
Independence Scienceの記事の方がそういうスタンスなんですね。
論文をかなり意図的に解釈した英語の記事を更に間違った訳にして、原著論文から似ても似つかない話に
してしまっています。
まず遺伝子組み換え作物の作成ですが、今回調査した作物は意図した遺伝子を発現させるために
CaMV(Cauliflower mosaic virus)プロモーター配列(コンピュータープログラムで言えば実行開始位置)
を利用しています。ウイルスの感染によって組み込む事もあればそうでないこともあります。
ウイルスは非常に効率的に配列を利用する構造になっているため、CaMVプロモーターにオーバーラップ
して存在するGene VIも取り除かれずに同時に組み込まれるものが多いという論文です。
また、Gene VIがタンパク質に翻訳されたものがP6であり、DNA/RNAとしてのGene VIとタンパク質と
してのP6の話と両方が議論されています。
> Gene VI に感染した遺伝子組み換え作物には、「CaMV35S プロモーター」と呼ばれる遺伝子発現を調節する配列が組み込まれている
上に述べたように「Gene VIに感染」という表現は誤りです。
CaMVプロモーターの組込みによってほぼ必然的に組換え植物に導入されたものです。
> 意図的に Gene VI が植物の遺伝子に組み込まれた場合、黄化や奇形といった症状が出たり、繁殖力が低下することが分かっている。
これは誤りではありませんが、「発現量に応じて」という重要な点が抜けています。
組み込まれただけでは異常をもたらしません。
> 人体細胞においても Gene VI の活動 (RNA サイレンシング) が見つかっている
Gene VIは(ウイルスの感染を助けるために)RNAサイレンシングを「抑える」効果が見つかっている
ことと、Gene VIの影響を受ける遺伝子と同じ配列がヒトにもあることからヒトで発現すると
影響があると予想されますが、実際に影響があるか、またタンパク質P6を摂取して影響があるかは
分かっていなと思います。
また、データベースとの照合によればP6は既知のアレルゲンとの相同性はないということです。
結論としては元の論文は、今のところ問題とはいえないけれど組み込まれた植物に影響が出るかも
しれないから、Gene VIが翻訳されないようなよりよいCaMVプロモーターを使ったほうが
いいんじゃないか、というものです。
これがIndependence ScienceによってGMOの危険性を強調する記事にされ、更にそれを間違った知識と
英訳で意味の通じないストーリーにされている、と感じました。