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虫歯菌だけを選択的に溶かす酵素」記事へのコメント

  • 論文? (スコア:3, 参考になる)

    by Anonymous Coward
    タレコミにあるようなAmlの性質を報告した論文 [jst.go.jp]。(本文も読めます)
    Amlってのはミュータンス菌自身から取り出した、菌の周りの壁を壊す酵素だそうです。
    結構きれいにサリバリウス菌には効いていない様に見えるんですが、効く菌と効かない菌で何が違うんでしょうね。
    虫歯菌としての性質の差とかにリンクしてたらおもしろいなぁ。

    #歯磨きなんて長くても5分くらいでうがいしちゃうものだと思うんですが、
    #Amlは流されずに口の中に残ってくれるんですかね。

    • Re:論文? (スコア:5, 興味深い)

      by y_tambe (8218) on 2008年06月14日 21時46分 (#1363723) ホームページ 日記
      いわゆるAutolysinってやつですね。

      細菌の細胞には、植物細胞や真菌細胞と同じように細胞壁が存在してます。ただ植物の細胞壁がセルロース、真菌の細胞壁がキチンやグルカンなどであるのに対して、細菌の場合はペプチドグリカンというのが主成分になってます。ペプチドグリカンは、その名前の通り、アミノ酸(=ペプチド)と多糖類(=グリカン)から構成されている高分子です。細菌の細胞は、その基本となる単量体(ペプチドグリカンモノマー)を細胞膜の外に分泌し、それを細菌の成長(大きくなる)や分裂に応じて、既存の細胞壁に組み込みながら、細胞壁を組み立てています。
      この過程は、おおざっぱに言うと、(1)オートリシンにより、既存の細胞壁の一部を切断、(2)トランスグリカナーゼにより、ペプチドグリカンモノマーの糖鎖部分を、既存細胞壁の糖鎖に組み込み、(3)トランスペプチダーゼによりペプチド鎖同士を架橋、という手順で行います。

      細菌の細胞壁は、細菌細胞を守る働きをしています。実は、一般に、細菌細胞は細胞質の浸透圧が動物細胞と比べて高いため、細胞壁を失った細菌は、ちょうど赤血球を真水に浸けたときのように、細胞外の水が細胞内にどんどん侵入して、溶血ならぬ溶菌を起こしてしまいます。有名な抗生物質であるペニシリンは、上の(3)のステップ、すなわちトランスペプチダーゼの阻害剤ですが、この作用によって細胞壁の合成を阻害し、細菌の増殖を止めるとともに、殺菌作用を示すわけです。

      で、今回のオートリシンについても同様に、過剰に与えることによってS. mutansの細胞壁を切断しよう、ということでしょう。

      まぁぶっちゃけていいますと、耐性菌が出てくるかどうかと聞かれたら、出てくるだろうな、と思います……基本的に、抗細菌薬は耐性菌の出現との追いかけっこになりますので。特に、外から与えられるオートリシンもS. mutans由来なので、オートリシンの産生を控えるような菌株が出現したり、あるいは細胞壁の構造そのものが変化したような菌株が出現したり……。細胞壁の合成は、S. mutansの持つ齲蝕作用(酸の産生と、PAcなどの細胞表面タンパク質による付着)とは別の機構ですので、耐性を獲得した菌もまた虫歯の原因になりうるだろうな、と。
      ただまぁ、S. salivariusのような非病原性口腔レンサ球菌もいることだし、そちらに対する抗菌作用がないのならば、いわゆる菌交代現象を起こしてくれることに期待はできるかな…と。それでも一旦除菌が済んで、細菌叢が置き換わったら、使うのは止めた方がいいんじゃないかなとか、あと、口腔レンサ球菌には、心内膜炎の原因になるS. mitis菌群などもいるんで、そっちを増やすことにならなきゃいいなとか、その辺りは気になるところですね。
      親コメント

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