コメント: Re:プラセボ効果 (スコア 5, 興味深い) 55
サイモン・シンの「代替医療解剖」って本を参照。
#ちなみにこの本、針灸などの東洋医学もけちょんけちょんにけなしているんで、日本での評価はばらける。
ある治療法が「プラシーボ効果に過ぎない」と厳密に判定する(二重盲検法と、数多くの臨床論文をレビューしてまとめる方法)ことは
ここ15年くらいで確立した(正しくは、3-40年前から考案されて、属人性のない(=再現可能な)方法になったのが最近)もので、
21世紀初めにその方法によって、「ホメオパシーはプラシーボを上回る効果はない」と結論された。
言い換えれば、「ホメオパシーにプラシーボ効果はある」。
ただし、「プラセボだけの効果しかない代替医療に問題はある」。
さて、「代替医療解剖」の文庫版あとがきによると、プラシーボ効果そのものの科学的研究がここ5年くらいで進んでいるらしい。
患者の遺伝子によってプラシーボが効きやすいとか、患者ではなくて医者の側にプラセボの効きやすさのファクターがあるなど。
そのうちの一つに、「プラセボだけの医療法に頼ると、患者は(医学的には)無意味な安心感に包まれて、必要な医療が遅れる」という指摘がある。
一方で、「ノセボ効果」というものも近年着目されてきている。
これは「この薬を飲むと、副作用がおこるんじゃないか」という予感が、本来なんの効果もない偽薬(含ホメオパシーのレメディ(=砂糖粒))を飲むと
予感した副作用状の身体異常が、ヒトによっては我慢がならないくらい生じるという現象。
まとめると、ホメオパシーに頼ると、ちょっとした安心感とひきかえに、何の治療効果もなく、必要な根本治療が遅れる上に
砂糖粒を飲んだだけなのに、副作用に苦しむ可能性、というリスクすらあるということになる。
ただし、通常医療の中で、終末期医療や軽い症状・慢性病にはプラセボ効果を、通常医療の中で(大事なことなので2回)、
医者と患者のコミュニケーションの科学として確立させようという考え方も提案されているらしい。
#プラセボとプラシーボ混ぜ書きしたけど直すの面倒なのでめんご