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クローン牛から人間の抗体を作成」記事へのコメント

  • by kona (6904) on 2002年08月15日 16時09分 (#146595) ホームページ
    抗体生産の生物工場として乳量の多い牛を利用する
    ことを目的とした研究だと思いますが
    動物に人間の病気を感染させるわけで…

    インフルエンザでは豚が鳥インフルエンザと
    人インフルエンザに同時に感染することで
    豚の体内でインフルエンザの遺伝子組み替えが起こり
    新型インフルエンザとして大流行すると 見られています [kitasato.or.jp].

    これを「抗原不連続変異」と呼ぶそうですが
    抗体牛では心配は無いんでしょうか?

    • by memex (4261) on 2002年08月15日 23時15分 (#146826) ホームページ
      非常に基本的な間違いがあります。
      一度生物学の教科書を読まれることをお勧めします。 → 元スレッドの方。

      別に kaho氏も書かれていますが、「抗体」はある特定の分子(何でも良い)
      を特異的に認識するような機能を持ったタンパク分子のことです。

      高等動物の体内には通常、何十万種類もの特異性の異なる抗体分子が存在
      していますが、外部から侵入した病原菌に特徴的な分子と、それと結合する
      抗体が反応すると、この抗体の含量が増大して病原菌と結合し、リンパ球
      などの生態防御系は抗体を手がかりに病原菌を排除しようと働きます。

      上記は非常に大まかな流れでして、当然もれている点も多々あるわけ
      ですが、それでも生物には元々
      ・膨大な種類の抗体を産み出す仕組みがある(利根川進博士のノーベル賞
      受賞理由)
      ・病原菌と結合した抗体を認識して攻撃する自己防御系がある
      ・間違って自分自身の持つ分子と結合する抗体を作らない仕組みがある
      ・しかし間違って作ってしまうと、膠原病やリュウマチといった病気が引き起こされる
      といった興味深い問題が背後に隠れています。

      抗体自身はタンパクですので、当然それの元になる遺伝子があるわけで、
      それを単離してやれば、ある特定の抗体だけを増やすことが出来るように
      なるわけで(こちらはモノクローン抗体としてノーベル賞を受賞しました)
      これらは10年以上前から実用化されている技術です。

      従って、「動物に人間の病気を感染させる」わけでないことはお分かり
      いただけるでしょうか。

      牛にこういった遺伝子を入れることで大量に抗体を作らせて、たとえば
      乳からそれを回収して医薬品原料とすることが出来れば、かなりの低
      コスト化が期待されます。

      同じような原理でたとえばヒトのインスリンや成長ホルモンなども合成
      することが出来るでしょう。

      植物に抗体遺伝子を導入する研究も行われていますが、こちらは経済的に
      医薬品を購入する外貨のない発展途上国でそのような作物を栽培し、
      それを食べるとカロリー摂取だけでなくたとえば赤痢やマラリヤなどへの
      「食べるワクチン」としての利用が期待されています。

      我々先進国の人間には想像できないかもしれませんが、こういった利用法
      が研究の原点であると私は理解しています。

      インフルエンザの件についてはKaho氏の通りですが、生物には非常に
      多数の例外的な現象があり、そのような現象がいつでもどこでも簡単に
      起こってしまうと仮定すると、どんなSF的な与太話も可能になって
      しまいます。
      --
      Eureka !
      親コメント
      • 丁寧な解説ありがとうございます。
        単に私が知らないだけかもしれませんが、少し補足を

        >植物に抗体遺伝子を導入する研究も行われていますが、こちらは経済的に
        >医薬品を購入する外貨のない発展途上国でそのような作物を栽培し、
        >それを食べるとカロリー摂取だけでなくたとえば赤痢やマラリヤなどへの
        >「食べるワクチン」としての利用が期待されています。

        植物ではヒトのタンパク質を正常にフォールディングできるかどうか、
        また修飾できるかどうか定かではないので抗体自体を作らせるわけでは
        なかったと記憶しています。
        植物につくらせようとしているのは病原体のタンパク質断片で、これを
        摂取することで食べた人があらかじめ抗体を供えておく、というシナリオ
        ではないかと。だからこその「食べるワクチン」。

        タンパク質はたいてい消化器官で分解されるので食べたところでなんの
        効果もないように思われていましたが(例えばヘビ毒はタンパク毒なので
        飲み込んでもほとんど効果を発揮しない)、意外なことに粘膜からか傷口
        からか吸収されて抗体がつくられることが分かってきたのでこういった
        方面の遺伝子組み換え作物が研究されるようになってきました。
        --
        kaho
        親コメント
        • タレコミした者です。

          >memexさん、kahoさん

          タレコミ文の「このクローン牛に様々な病原菌を感染させる事で」のくだりが、そもそも誤りなのですね。
          他にも色々なお話が聞けて参考になりました。ありがとうございます。

          こういった、(専門の方にとっての)基本的な事柄を知らずに、世間一般の人(含む自分)が誤解しているケースって、少なからずあるのでしょうね。特に遺伝子組み替え・クローンといったキーワードが含まれる技術だと。
          親コメント
        • 補足ありがとうございます → kahoさま

          訳あってソースは明かせないのですが、ご指摘の「食べるワクチン」
          の研究の開始時は確かにそういった研究が進められていましたが、
          これはこれで実際作ってみると思ったようにはうまくいきません。

          現時点で私が注目しているのは植物でScFvを作らせる
          http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=10809004&dopt=Abstract
          のような研究です。

          従って、あのようなコメントとなりました。

          ご参考まで。
          --
          Eureka !
          親コメント
      • 遺伝子組み替え作物を食べると、その遺伝子が体内に入るなどと考える馬鹿者が多すぎる、頭が悪いのは環境ホルモンのせいだプンプン
        (ちょっと意訳?)という立花隆氏の発言を聞いた後で、食べるワクチンの話
        • AC wrote: (もっとも、遺伝子組み替えでワクチン野菜なんか作んな
          AC wrote: くても、たらふく食べられるようにする方がみんな
          AC wrote: ハッピーで健康になるんじゃないかと思うんだけど?)

          「おなかが一杯になる」と「病原体への抵抗性が高まる」のは等価
          ではありませんよね。

          もちろん食糧状態が改善されることで生存率や回復率が高くなる
          のはその通りですが、衛生的な問題がこれで全て解決するわけ
          ではないでしょう?

          とはいえ、おなか一杯食べられない人々をどのように手助けして
          いくのかは多分に政治的な問題である一方、技術的に解決可能な
          部分もあるだろうと思います。

          満腹したら今度は生活習慣病やガンなどが問題になるのも困った
          ものですが…
          --
          Eureka !
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    • 豚を媒介したトリウイルスの変異は今回の話と直接関係ありません。

      ウシがヒトの抗体をつくり出すにしても、別にヒトのウイルスを
      感染させるわけではありません。というか、そもそも感染しないし。
      抗体を作らせるならウイルスのエンベロープ(外殻)などのタンパク
      質の断片の抗体をつくらせるので、ウシがヒトのウイルスのキャリア
      になるようなことはないでしょう。

      これはウイルスではなく細菌でも同じことです。
      --
      kaho
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