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レコード製作・販売あたりを「出版」と表現するのは避けたほうがよいです。
レコード会社というのは、曲の実演記録を収めたメディアを製作して売るわけですね。それ以前に、曲自体が商品となりえます。それを作者に代わって売る、つまり作詞者・作曲者からの著作権(財産権)の委譲を受けて著作権管理や印税分配などをおこなう音楽出版 (music publishment) という業種があり、それを行う会社は音楽出版社 (music publisher) と呼ばれます。
先の小室哲哉の事件でも音楽出版とからめて解説する報道が多数あり、そちらも参考になると思います。レコード会社の関連企業の場合もありますが両者の業務は異なり、レコード会社も(JASRACなどを介して)音楽出版社に曲の使用料を支払うことになります。というわけで、「レコード出版」のような表現は我々消費者目線ではあまり違和感がないかもしれないけれど、音楽業界の構造などを考える場合には混乱の元になるので、避けるべきです。
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海軍に入るくらいなら海賊になった方がいい -- Steven Paul Jobs
抜けている視点はデジタル流通ではなくデジタル制作 (スコア:5, 興味深い)
個人で手の届く価格のパソコンとソフトウェアシーケンサーでも、スキルさえあれば大衆をだませるクオリティの作品が作れるようになってます。 ついこの間も、ピアプロの投稿作品をiTunesで販売する [itmedia.co.jp]、初音ミク楽曲のアルバムがオリコンランクイン [itmedia.co.jp]なんてニュースもありました。
実力を持ったクリエイター、それもさまざまなジャンルの人がピアプロのようなコミュニティサイトに集まって作品を作って発表し、多くの人に受け入れられている。これはもう厳然たる事実です。
流通の改革が必要な一番の原因は、一昔前だと出版社の協力なしには到底不可能だった人やものを含めた制作環境がデジタル技術の進歩によって個人でも持てるようになったことではないかと思っています。デジタル流通は確かに最後の壁ではありましたが、根底にあるのはこれらの制作環境の進化でしょう。
出版社にお膳立てしてもらわなくてもクオリティの高い作品が作れて流通させることまで可能ならば、出版社の持つ著作権法上の流通特権は邪魔になる局面も当然増えます。もともと著作権法は文化の振興を目的とする法律で、出版社は著作物を広めるにあたって重要な役割を担っていたから権利が与えられていたわけですが、その重要性が薄まっている以上権利も弱まるのは当然の流れです。
#まあ出版社が自らそれを認めることないでしょうし、だからこんなかみ合わない議論になるんでしょうけど。
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
Re:抜けている視点はデジタル流通ではなくデジタル制作 (スコア:1, 参考になる)
まさにその通りで、さすがJASRACあたりは分かってるなぁという記事でした。
どちらかというと、流通側と思われがちなJASRACだけど、そういう所はしっかり押さえてる。
Re: (スコア:0)
突然出版社の話になって面食らってるんですが、元の会合には紙メディアの人間は出席してなかったので〝音楽〟出版社のことかな?
紙の出版社と音楽出版社は、依って立つところの権利の内容がまったく異なるし(紙は「出版権」著作権法79~88条、音楽は「著作隣接権」主に96~97条)、ネットへの取り組みも相当違うと思った方がよい。
紙の方は「ネットにコンテンツ流したいんだけど、ケータイで読めるものしか儲けにならない。どうしましょ?」ってことで、先日もアジア太平洋デジタル雑誌国際会議 [fippdigitalconference.jp]なんてもので無い知恵を絞ってました。
Re:抜けている視点はデジタル流通ではなくデジタル制作 (スコア:2, 興味深い)
同じ様に
>もはやコンテンツ制作の仕事は魅力を失っていると話す
なんて文があるけど、個人的にはあそこらへんをコンテンツ制作の仕事だとは思っていない、の方が実感に近いな。
紙は一番やばいから必死感があるよね。
Re:抜けている視点はデジタル流通ではなくデジタル制作 (スコア:1)
より厳密に言えば、レコード出版社を中心とした既存音楽流通事業者ですな。著作権法で言うところのレコード製作等の立場にある企業・団体ですね。
音楽業界はYouTubeやニコニコ動画の台頭、VOCALOIDのヒットなど個人クリエイターの製作・制作環境の変化がここ数年すごく激しい。数年後には今からは想像もつかない状況になってる可能性もあるんじゃないですかね。
#オフトピだけど、書籍業界は出版社合同でKindleモデルの市場を開始後数年は赤字覚悟で大掛かりに立ち上げるのがいいと思う。
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
音楽出版 (スコア:1)
レコード製作・販売あたりを「出版」と表現するのは避けたほうがよいです。
レコード会社というのは、曲の実演記録を収めたメディアを製作して売るわけですね。それ以前に、曲自体が商品となりえます。それを作者に代わって売る、つまり作詞者・作曲者からの著作権(財産権)の委譲を受けて著作権管理や印税分配などをおこなう音楽出版 (music publishment) という業種があり、それを行う会社は音楽出版社 (music publisher) と呼ばれます。
先の小室哲哉の事件でも音楽出版とからめて解説する報道が多数あり、そちらも参考になると思います。レコード会社の関連企業の場合もありますが両者の業務は異なり、レコード会社も(JASRACなどを介して)音楽出版社に曲の使用料を支払うことになります。というわけで、「レコード出版」のような表現は我々消費者目線ではあまり違和感がないかもしれないけれど、音楽業界の構造などを考える場合には混乱の元になるので、避けるべきです。
Re: (スコア:0)
インディーズ系とか。
事業継続性では大手に及びませんが。
メジャーになりたければ大手からデビューする方法を模索します。
芸術面でも営業面でも方向性が違いますから。
デジタル流通はインディーズ系にとって諸刃の剣です。
メリットもデメリットもある。
PRの場としては良いがそれに全面依存することはマイナス面が多い。
趣味で自作を公開するのとプロの仕事を公開するのでは考慮すべき条件が違いすぎます。
少なくとも中小の製作会社は単独でデジタル流通に商品提供するだけの能力はありません。
例えば着メロ
Re:抜けている視点はデジタル流通ではなくデジタル制作 (スコア:1)
以前は、レコード会社の協力がなければ作品制作自体が難しかったので、音楽の世界ではほとんど問題にならなかったわけですが、デジタル技術の進歩で制作環境が、ネットの進歩で発表環境までがそろってしまった。
このような環境では、クリエイターにとって最終目標が商業デビューとは限りません。初音ミクJASRAC登録騒ぎのときなんて、商業流通ルートに乗ることを拒否した人の方が多かったくらいです。
コミュニティサイトに集まって作品を投稿してる人も大半は「あってもいいけどお金は二の次」です。人によって一番の目的は変わると思いますが、少なくともメジャー商業ルート故の制約というデメリットがお金というメリットを上回らない人も相当数いるということです。
著作権は商標や特許と違ってそういう人にも発生します。NHKオンデマンドの記事にもありますが、権利処理で一番問題になるのはこの手の「商業流通の中に入ってこない人・作品」なわけです。
ネット権だのフェアユースだのは、こういった商業外での作品制作を後押しする意味もあるわけですが、「デジタルコンテンツの流通は公益ではない」「誰かが安くコンテンツを使いたいからやっているだけ」等のコメントを見る限り、その視点が抜け落ちている人も多いですよね。
#それを産業にどう生かすかは別問題で、著作権法に頼るのもどうかと思います。
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
Re: (スコア:0)
メリット・デメリットあるというのは分かるけど、整理って難しいですよね。
>Amazonや楽天市場は流通大手ではないのでしょうか。
「流通」とくくれる気はするけど、実際の小売店+流通?とは異なるものでもある、と思います。
どちらも、広い店舗を持っていて、販売スペースに余裕があるところ、という。
実際の小売店は、商品を置くにもキャパシティが限られること、また、流通から商品を仕入れないと売るものがないためか、流通に制御されてしまう面もある。
中小モノでは、そもそもこういった小売店から見ると商品ではない、ということですよね。