phasonのコメント: Re:組み換えと編集の意味の違いなんかわからんです (スコア 5, 参考になる) 11
分野外なんでうろ覚えな部分もありますが
昔ながらの遺伝子組み換え:効率が低い.そのためレポーター遺伝子(蛍光タンパクを作る遺伝子など.こいつの導入が行われていれば蛍光タンパク質が作られるため,組み込まれたかどうかが光で容易に判断できる)や薬剤耐性遺伝子なども一緒に埋め込む.で,うまくいった細胞やつを光や薬剤(等)で検出・選別してそれを培養する.
そんなわけで,多くの場合レポーター遺伝子や外来の遺伝子等が一緒に組み込まれるため,組み替えが行われているかどうかを検出しやすい.
ゲノム編集:効率が非常に高く,狙った位置を高確率で変えたいように変えられる.そのためレポーター入れずにやることも可能(ただし,効率が高いと言っても100%ではないので,ある程度のスクリーニングは必要).
昔ながらの遺伝子組み換えと同じこと(外部からの特定遺伝子の導入)もできるので,その場合の結果は(効率を無視すれば)同じようなものになる.
また,一塩基だけ入れ替える/欠損させるようなことも比較的容易.一塩基の変異・欠損は自然界でも良く起こっているので,これを行われたものに関してはあとからゲノム編集されたものなのか,天然で発生した突然変異なのかが区別できない.
「ゲノム編集で他種由来などの外来性の遺伝子を組み込んだもの」に関しては,既存の遺伝子組み換え体と同じような規制対象となるとたいていの人が考えています.
問題は一塩基変異や,一塩基の欠損によるフレームシフト(DNAは3塩基ごとに読んでいくため,一塩基が抜けるとそれ以降の意味が全く別のものになる)などを導入した場合です.これらは天然でも十分起こり得る突然変異と同等なので,規制する根拠があるのかどうか不明です.
(これを規制するなら,自然界でたまたま起こった突然変異も規制しないと整合性がとれない,とも言える)
また,規制するのだとしても,一塩基だけ入れ替えたとか欠損させたという場合は天然で生じる突然変異と区別が付かないため,どうやって規制対象を特定するのか,というのが不明です.
極論すれば,こっそり一塩基変異を導入して特性を向上させておいて,「いや,天然の作物中から優れた株を特定しました」と言われるとどうしようもありません.
また,遺伝子組み換え生物に関する現在の世界的な枠組みであるカルタヘナ議定書では規制対象を「新しい遺伝物質の組み合わせ」というような感じに規定していますが,一塩基変異/欠損の導入などはこの定義には当てはまらない可能性が高く,現時点で規制対象とはならない可能性が指摘されています.
(現在,「新しい枠組み作るかどうかしないとね」という議論がある状態)