これはちょっと特殊な例で、小田急が使っていた(※今は別の仕様になってる)自動列車停止装置の仕様に起因する。
たとえば「時速10km/h以上は出すな」という信号を鉄道に受信させて、超過したら非常ブレーキをかける、みたいな安全装置は一般的にある。
その速度を判定するのに、車両側ではなく地上側でやる場合、2点間の通過時刻の差で処理するしかないんだけど、そうすると「0km/hの指示(つまり『止まれ』)」という判定ができない。0km/hでは2点間を通過するのにかかる時間が無限大なので、「どれだけの間隔があれば正常値か」という判定ができないから。
だから機械的には時速10km/h以上だと非常ブレーキがかかる、みたいな超低速を閾値にしておいて、それ以下で冒進したときは(非常ブレーキがかからないかわりに)車両を脱線させる設備を設けた、みたいな話。
(それ以上で冒進したら自動で非常ブレーキがかかるので考慮してない)
もちろん、上の写真みたいな設備に、通常の運転速度で突っ込んだらビルにダイブする案件だけど、
・自動列車停止装置をOFFにしてたらリミッターがかかる(ので、結局は少しの脱線で終わる)
・自動列車停止装置をONにしてたら「10km/h制限」より前の場所でも制限が発生する仕組みで、そちらで非常ブレーキがかかるから最高速で突っ込む心配はない
という仕組みで、上記のような短い分岐でも有効に機能するようにしている。
自動列車制御装置そのものが故障して、
・外見上ONになってる(リミッターがかからない)
・制御装置が速度制限の信号を無視する
・運転手も冒進上等で突っ込む運転をする
という3重の要素が揃ったら無効化されてしまうといえばそうだけど、そこまで言ってたらどんなシステムでもダメってことになっちゃうしねぇ。