>「海外の大学」 自分が滞在した所と友人関係で話をしていて大学院教育に関して同じ意見に至った所だと US: Harvard, MIT, UCLA, UCSF, Caltech, Johns Hopkins, Duke UK: University college London, Oxford, Bristol EU: U Tubingen, Lausanne (EPFL), U Basel, U Zurich, U Amsterdam, Norwegian University of Science and Technology 位ですね。たいした数じゃありませんが、日本の旧帝大の数よりは多いかと。。 大学院教育に関しては面白いことに、生物系、工学系共に同じ意見に至りました。
利点など (スコア:5, 参考になる)
海外からの留学生/PDが集まってくるような状況だと以下のような利点があります.
・即戦力が増える
D課程やらPDやらの人間が集まってくると言うことは,研究において即戦力が増えることを意味しますのでかなり研究上有利です.また,この手の海外に出ようという人間は母国の集団内でもそこそこ上位に位置しますので,自国内で人を集めるよりも優れた人間が獲得しやすかったりもします.
さらに,こういった留学生が集まってくる国というのは,総合的な研究環境(生活面も含む)が整っていて彼ら留学を希望する人にとって魅力的な国と言うことですから,誰も彼もがその国を目指しその結果競争率が上昇,ますます優秀な人材を選りすぐることができます(現在のアメリカ).
・ネットワークができる
こちらに来ていた人間との間につながりができますので,将来的に何らかの共同研究などがやりやすくなります.これは意外に馬鹿になりません.そうしてできた人の輪を通してさらにまた人を集めたりもできますし.
・国内に優秀な頭脳を貯め込める
PD/留学生などで来ていた人がそのままその国に残り研究者としてのキャリアを続けると,いわば他国から優秀な頭脳を刈り取ってきていることに相当します.アメリカなどで顕著なのがこの部分で,海外からのPD上がりの若手教授が掃いて捨てるほど居ます.彼らのうちのそれなりの人数はそのうち母国に帰ったりもしますが,それまでの期間その優秀な能力を自国の研究のために利用できるわけです.海外の潜在能力を奪って活用するようなもんですね.その代わり,相手の国には何年後かに十分な教育/訓練を受けた人材が帰ってくる,という利点があります(たまに帰化しちゃって帰りませんけど).
結局,海外から来る人材って融資みたいなものなんですよ.そのうちに利子(知識と経験)をつけて返さなければならない代わりに,しばらくの間それを活用して利益を上げられるという.
でもって日本の場合,まあ留学生が集まりにくいのはいくつか理由があるのですが,そのうち大きなものを挙げると
・留学先/PDでの滞在先としては二流国
やはり,なんだかんだ言っても流行の研究だとアメリカが強いんですよね.逆に手間暇かかる地道な研究だとヨーロッパが強い.そんなわけで,本当に優秀な人材はアメリカなどを志望して,まあそっちが駄目だったら日本でも考えてみるか,ということが多くなります.実際,日本でのPDが決まっていたけど,アメリカいけることになったからそっち行く,という例はそれこそいくらでも目にしますし.
・言語の壁
研究系を目指すんですから留学/PDで他国に行こうという人はある程度英語はできます.しかしながら,日本の場合英語で何とかならない場面が相当あります.特に研究室内でのディスカッション等でも英語が使いにくいってのは厳しいようです.日常生活も日本だと漢字やらひらがなやら何やら結構大変なようです.
・金銭的支援
これがかなりきついとか.PDはともかく,留学生を受け入れる基金等が少ない.研究費で引っ張ってもこれませんしね(そういう用途には使えない).アメリカやらヨーロッパやらは意外にこのあたりの○○基金等が多く,結構優秀な学生なら自腹切らずとも留学できたりします.逆に言えば,優秀な学生を見つけたら割と楽に引っ張ってこれる.日本の場合,国際学会などで優秀な学生を見つけて意気投合しても,金銭面でなかなか呼べなかったりします.
また,日本の場合海外留学生向けの奨学金の交付決定時期がちょっと遅いんですよね.相手にかなりぎりぎりまで待ってもらわなきゃいけない.ぎりぎりまで待ってもらったあげく「やっぱダメでした」となる危険性を考えると,ちょっと手を出しづらい,ってことも.
Re:利点など (スコア:2, 興味深い)
現在海外のPDですが、ついでに補足
日本の大学院が海外に絶対的に負けている点
-金銭的負担
海外では博士課程の院生が自腹を切って博士課程に進学するなんて事はありえません。博士課程の大学院生は教授の仕事を手伝うという名目で、授業料と生活費が支給されます。逆に日本だと育英会の借金を400-600万程度背負って大学院博士課程を卒業することになります。
-コースワーク
海外では博士課程の1年目は系統だった講義にかなりの時間を割き、非常に幅広い知識が身につきます。一方、日本の大学院では研究室で実験して、論文書けば学位がもらえる為、多くの大学院生は自分の研究室から離れた分野の知識に非常に乏しい事が多いです。これが日本の大学院生はタコツボで使えないと言われる所以でしょう。ちなみに、小生の大学院時代の恩師は、海外の大学院生はそういう風に教育を受けているから、君らは自分でその分を補わなければならないんだという事を院生にいつも言っていました。
-プロジェクトの進め方
これはこちらに来てから感じた事ですが、こちらではプロジェクトを開始する前にかなり綿密に実験に対する仮説を検討します。実験を開始する前に、この実験でpositiveならば結論はA、negativeならば結論はBと言った所まで議論を詰めます。逆にここの議論が詰まっていないと、プロジェクトを開始させてもらえません。なので、プロジェクトの迷走が少ないと言えます。一方、日本では「この辺やってみたらおもしろいんじゃない?」程度のノリで実験がスタートする事が多いので、プロジェクトが迷走しがちです。結果このような日本式の大学院教育を受けても海外では「使えない奴」と言うレッテルを貼られてしまうので、日本の大学院教育のシステムを根本的に変えない限り留学生の獲得競争に勝てるはずは無いでしょう。
Re: (スコア:0)
他はともかく、
>これが日本の大学院生はタコツボで使えないと言われる所以でしょう。
これは違うと思うぞ。
なにしろそれを言ってるのは日本企業(の人事部)だけだもの。
外資企業からは言われないよ。
それから、「海外の大学」とひとくくりにするのはいかがなものかと。
あなたの経験した大学が、世界中に一体何校あるというのやら。
Re:利点など (スコア:1)
>なにしろそれを言ってるのは日本企業(の人事部)だけだもの。
>外資企業からは言われないよ。
これは分野によって違うかもしれませんね。言い方が少し乱暴だったかもしれません。
残念ながらピペドの領域では外資からもあまり相手にされていませんが・・・。
>「海外の大学」
自分が滞在した所と友人関係で話をしていて大学院教育に関して同じ意見に至った所だと
US: Harvard, MIT, UCLA, UCSF, Caltech, Johns Hopkins, Duke
UK: University college London, Oxford, Bristol
EU: U Tubingen, Lausanne (EPFL), U Basel, U Zurich, U Amsterdam, Norwegian University of Science and Technology
位ですね。たいした数じゃありませんが、日本の旧帝大の数よりは多いかと。。
大学院教育に関しては面白いことに、生物系、工学系共に同じ意見に至りました。
Re:利点など (スコア:1)
これ、日本人もそうですね。優秀な人はアメリカに行ってしまう。
日本は資源が頭脳しかない国なので本当はかなりまずい状況なんですが、研究費が真っ先に削られる現状ではどうしようも無いですね。
Re:利点など (スコア:1, すばらしい洞察)
>・金銭的支援
>これがかなりきついとか.
仮に日本国内でバイトするにしても、ちょっとした企業だと平気で国籍条項突きつけてきますしね。
外国人でもできるバイトと言えば、コンビニや飲食店など日本の若者が嫌がるような場所くらいか?