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いや,グラフェン自体は面白い物質ですし,基板上でCVD使って作るしかなかったグラフェンを簡単に作って見せたってのは確かに研究としては素晴らしいのですが,ノーベル賞かって言うとなんだか違和感が.今後グラフェンの研究から派生して一大研究分野ができるとか,何らかのすごい使い道が,というところまで行ってからの受賞なら納得ができるんですが,
グラフェンの単離に成功 → 面白そうだからみんな研究しようぜ!(現状)
というレベルでの受賞は早いんじゃないかなあと.
ブラッグのX線回折みたいに「明らかに今後凄いことになる」って見えるんなら話は別なんですが,グラフェンはまだ海のものとも山のものともつかない状況ですし……
>という状況ではないと思いますよ。
いえ,ちょうど現在みんなが飛びついたところです.ちょっと前のナノチューブみたいなもんです.#……というか,ナノチューブで行き詰まった人々も多数参入しています.
と,自分のコメントを読み返してみたら書き方が悪いですね.
>面白そうだからみんな研究しようぜ!(現状)
って書きましたが,これは「面白そうだからみんな研究しようぜ!」で今に至るとかそういう書き方の方が良かったかも.
状況は当時のナノチューブと全く一緒で,
新しい物質系が出た → 飛びついていろいろ測定 → とりあえずいろいろ物性が出る
というところまで来ただけです.当時はナノチューブも,高い熱伝導性が出た,電子の状態がワイル方程式で書けて面白い,高い易動度が出た,凄い光学特性が,化学的安定性を生かしてナノデバイスとして云々,といろいろ発表がなされ,「今後の微細電子素子を担うのはナノチューブだ!」と勇ましいことまで言われたわけですが,結局行き詰まって撤収しつつあります.#ナノチューブに関しては,(先日飯島先生も愚痴っておりましたが)ほとんどの企業が撤退してしまいましたしね.#そういう意味ではフラーレンも同じなのですが,あちらは「炭素で斬新な物質系ができる」というパラダイムシフトを起こしたんでまあありかと.
現状ではグラフェンも全く同じで,ディラックコーンに由来する面白い特性が出た,高い易動度が出た,高い化学的安定性を生かして電極材料に,シリコンデバイスを代替するのはグラフェンだ云々と,まあ大勢飛びついていろいろ言っている状況です.が,本当にこれがそういったデバイスにまで発展するのか,発展しないにしても面白い物理系が開けるのか,に関してはまだ何ともいえない状況なんですよ.#いえ,私自身過去に日記で取り上げているように,グラフェン関連で面白い研究はいくつもあるんですよ?(1 [srad.jp],2 [srad.jp],3 [srad.jp],4 [srad.jp])#ただ,それが新しい一分野と呼べるものにはまだなっておらず,既存の固体物理/表面科学の研究対象を変えただけにとどまっているだけで.
そういう観点からすると,
>飯島さんにも、あげればよかったのにとは思いますが。
というよりは,むしろまだどちらも授与には値しないんじゃない?というふうに感じられるんですよね.もちろん,今後凄い分野に発展する可能性は秘めています.が,それを見定めてからでもいいんじゃないかと.
>「お墓に入りそうな人から優先的にあげてるんだ」とか揶揄する口の悪い人も……
「あのテーマは絞っても4人居るからな.誰か死んだら授賞式だ」とか言う先生も.……実際に推薦とかその後の調査とかに参加してる人だから,冗談に聞こえないのが怖いところ.いえ,冗談なんですけどね.……冗談だと思いますよ?
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アレゲはアレゲ以上のなにものでもなさげ -- アレゲ研究家
早すぎる (スコア:3, 参考になる)
いや,グラフェン自体は面白い物質ですし,基板上でCVD使って作るしかなかったグラフェンを簡単に作って見せたってのは確かに研究としては素晴らしいのですが,ノーベル賞かって言うとなんだか違和感が.
今後グラフェンの研究から派生して一大研究分野ができるとか,何らかのすごい使い道が,というところまで行ってからの受賞なら納得ができるんですが,
グラフェンの単離に成功 → 面白そうだからみんな研究しようぜ!(現状)
というレベルでの受賞は早いんじゃないかなあと.
ブラッグのX線回折みたいに「明らかに今後凄いことになる」って見えるんなら話は別なんですが,グラフェンはまだ海のものとも山のものともつかない状況ですし……
Re:早すぎる (スコア:2)
という状況ではないと思いますよ。
カーボン・ナノチューブとグラフェン,突き抜けた物性をデバイス開発に生かす [nikkeibp.co.jp]
みたいだし、
グラフェンや量子ドットを活用,次世代デバイス,応物学会で続々 [nikkeibp.co.jp]
なんで、旬なんでしょう。
飯島さんにも、あげればよかったのにとは思いますが。
Re:早すぎる (スコア:4, 参考になる)
>という状況ではないと思いますよ。
いえ,ちょうど現在みんなが飛びついたところです.
ちょっと前のナノチューブみたいなもんです.
#……というか,ナノチューブで行き詰まった人々も多数参入しています.
と,自分のコメントを読み返してみたら書き方が悪いですね.
>面白そうだからみんな研究しようぜ!(現状)
って書きましたが,これは
「面白そうだからみんな研究しようぜ!」で今に至る
とかそういう書き方の方が良かったかも.
状況は当時のナノチューブと全く一緒で,
新しい物質系が出た → 飛びついていろいろ測定 → とりあえずいろいろ物性が出る
というところまで来ただけです.
当時はナノチューブも,高い熱伝導性が出た,電子の状態がワイル方程式で書けて面白い,高い易動度が出た,凄い光学特性が,化学的安定性を生かしてナノデバイスとして云々,といろいろ発表がなされ,「今後の微細電子素子を担うのはナノチューブだ!」と勇ましいことまで言われたわけですが,結局行き詰まって撤収しつつあります.
#ナノチューブに関しては,(先日飯島先生も愚痴っておりましたが)ほとんどの企業が撤退してしまいましたしね.
#そういう意味ではフラーレンも同じなのですが,あちらは「炭素で斬新な物質系ができる」というパラダイムシフトを起こしたんでまあありかと.
現状ではグラフェンも全く同じで,ディラックコーンに由来する面白い特性が出た,高い易動度が出た,高い化学的安定性を生かして電極材料に,シリコンデバイスを代替するのはグラフェンだ云々と,まあ大勢飛びついていろいろ言っている状況です.が,本当にこれがそういったデバイスにまで発展するのか,発展しないにしても面白い物理系が開けるのか,に関してはまだ何ともいえない状況なんですよ.
#いえ,私自身過去に日記で取り上げているように,グラフェン関連で面白い研究はいくつもあるんですよ?(1 [srad.jp],2 [srad.jp],3 [srad.jp],4 [srad.jp])
#ただ,それが新しい一分野と呼べるものにはまだなっておらず,既存の固体物理/表面科学の研究対象を変えただけにとどまっているだけで.
そういう観点からすると,
>飯島さんにも、あげればよかったのにとは思いますが。
というよりは,むしろまだどちらも授与には値しないんじゃない?というふうに感じられるんですよね.
もちろん,今後凄い分野に発展する可能性は秘めています.が,それを見定めてからでもいいんじゃないかと.
Re:早すぎる (スコア:1)
基本的にグラフェンはまだ、CNTの延長でみんなで面白がってるだけという印象なので。
そもそもノーベル物理学賞って、「え、今さら??」ってむしろ逆に遅すぎる人にあげる感がありますしね。2000年のノーベル物理学賞なんて、「集積回路(IC)の発明」ですからな。
(ノーベル賞は他界された方は対象外なので、「お墓に入りそうな人から優先的にあげてるんだ」とか揶揄する口の悪い人も……)
Re:早すぎる (スコア:3, おもしろおかしい)
>「お墓に入りそうな人から優先的にあげてるんだ」とか揶揄する口の悪い人も……
「あのテーマは絞っても4人居るからな.誰か死んだら授賞式だ」とか言う先生も.
……実際に推薦とかその後の調査とかに参加してる人だから,冗談に聞こえないのが怖いところ.いえ,冗談なんですけどね.……冗談だと思いますよ?