最大の変更点。
Inkscapeといえば、これまではPostScriptと同じく、左下隅が原点(0,0)で上方向にYが増加する座標系(デカルト座標)を採用しているのが特徴だったが、
バージョン1.0ではついに、他の一般的な描画アプリやSVGと同じく、左上隅が原点で下方向にYが増加する座標系での表示がデフォルトになった。
座標系の変更については古くから要望が寄せられていて、2003年には「バグ」報告として挙がっていたほど。
https://bugs.launchpad.net/inkscape/+bug/170049
Inkscapeの保存形式であるSVGと座標系が異なっていることも問題の一つだが、なにより他のツールとの相互運用でネックになっていた。(手作業にしても、自動化にしても)
だが修正には長い年月が費やされたのだった(17年か…)
上のリンク先を読むと、「バグ報告」から7年たった2010年に、こんな投稿がある。
(前半省略。この『バグ』が他のツールとの相互運用性の問題であることと、対応は早ければ早いほど良いことを指摘している)
IMHO, to be considered a "real" design tool, rather than an open-source novelty or hobbyist's sandbox, Inkscape needs to consider whether it will conform to the norms of digital design.
拙訳:
私見ですが、Inkscapeがオープンソースのオモチャや愛好家の遊び場ではない「本物の」デザインツールと見做されるためには、デジタルデザインの規範に従うことを考える必要があるでしょう。
全く同意する。
これからさらに10年たってしまったわけだけど、個人的には、これが対応されない限り、修正に何年かかってもバージョン「1.0」を名乗るべきではないと思っていた。
そしてこの度、ついに対応がなされたバージョン1.0のリリースに至った。
おめでとうInkscape。