90のコメント: Re:帰還というけど (スコア 5, 参考になる) 40
カプセル型の宇宙機は弾道飛行で落っこちてくるだけと思ってる人は多いと思いますが、実際は重心を少し外周方向にずらすことで軽い機首上げモーメントを作って、ロール制御で飛べるようになってます。この点はアポロもソユーズも概ねどの宇宙機でも変わりませんし、飛んでいるか落ちているかと言えばL/D比は極めて低いものの飛んでいると言えるでしょう。
弾道飛行をするのはIMUが失われるなどしてロール制御が不能になった時で、この場合は例えばソユーズの帰還カプセルでは目一杯にスラスターを吹かしてとにかく底が下に来るように風見効果で安定させます。そういった場合を除けば、ジェット機のように大きな全金属製単葉の主翼を持つわけではありませんが、通常の帰還においては、カプセルは飛びます。
ちなみに、第一宇宙速度(7.9km/s)と自転速度(400m/s)の運動エネルギーの差をヒートシールドを焼いて地球大気に押し付けるいわゆる"大気圏再突入"で埋めたくないなら、全力で逆噴射して軟着陸すれば不要になります。ただし地球なら5km/s、火星なら3km/s、月なら1.7km/s程度のdVが必要になるので、まあミノフスキー核融合炉なりNERVA型エンジンなりTWR>1の電気推進エンジンなり、機体側にそれなりの能力が必要になります。これらは中々手に入りませんので、通常は安価、簡素かつ実績豊富な空力減速が使われるわけです。もしかすると、月くらいなら今の技術、いや1960年代くらいの技術水準でも減速を大気圏再突入に依存せず全行程で逆噴射のみを使って着陸する宇宙機が設計可能かもしれないですね。乗員2名の装備と帰還用のエンジンや燃料に加えて、フルアルミ化した簡易ゴルフカートくらいなら持ち込めるかもしれません。
カプセル型宇宙機は実は飛んでるよ、無制御で落ちているわけではないよ、というコメントでした。