それは地上での話ですね。
宇宙空間の軌道を変える場合は、どこからどうぶつけても変わります。
例えば真後ろからぶつけると、軌道が膨らむ方向に移動する。真正面からなら、軌道が下がります。
いずれの場合も、もし円軌道だったなら楕円軌道になりますね。元から楕円軌道のことが多いと思うので、その場合は離心率が変わります。軌道周期も変わる。
もし軌道に対して真横からぶつけた場合、軌道傾斜角が変わるだけで、軌道周期はおそらく変わらない。
コース変えるという意味では、地球に落下しないよう、軌道がクロスするタイミングや位置がズレれば良いので、どっちでも良いんですね。
ところが、今回の実験では、実験結果を簡単かつ精密に知りたい。
軌道傾斜角の変更では、地球からの観測は困難ですよ。
でも、軌道周期が変わるのなら、それは観測が容易です。天球上を横切るタイミングが、1年後に数分ズレてる、とかそういうのを調べれば良いだけなので。
これが、真正面(多分)からぶつけてる理由だと思います。
それと、今回のは二重小惑星系なので、ターゲットとなる衛星側の公転周期が11時間50分と短いのもポイントでしょう。これが10分減ると見込まれているようで、二重惑星系の軌道の揺らぎとかを地上から観測することで検証しやすいのだと思います。
実際に地球にぶつかる小惑星があって、それを排除するケースでどの方向からあてるのが良いのかは、状況次第でしょうね。
衝突させる資源の発射基地とかの都合で横から(公転面の鉛直横側)ってのはあまり良くなさげですが…。
蛇足ですが、軌道運動の表現はフィクションではないがしろにされてます。
有名なのが機動戦士ガンダム逆襲のシャアで、落ちてくるアクシズを、アクシズの進行方向側から押してますが、あれではブレーキがかかって軌道が下がります。つまり落下を早めてるだけです。
まぁ物語では謎力で上昇させてたんで影響無かったですけど、おまえら宇宙空間で戦闘してて皆が皆そんな認識なんかいと総突っ込みでしたねぇ…。まぁ一般的には分かりやすい表現ではあったけども。とちょっと昔話。