アカウント名:
パスワード:
近くに教科書センター(県立の教育関連施設)があるので行ってみました。 先生の人事の季節なのでさぞ忙しかろうと思ったのですが、どちらかといえば研修機能が主体なのでかえって施設内は静かな状況でした。 名簿に名前と所属(もちろん学校名ではない)を書いて早速図書室で閲覧しました。複写サービスも貸し出しも無く、カメラで撮るのももちろん憚られるので、メモ取ってきました。(教科書センターは県によって設置状況が色々なので、教科書センター一覧 [mext.go.jp]を見てアポイントを取って行った方がいいと思います。)
今回は平成24年検定の「電気基礎」を色々見比べてみました。 発行しているのは実教出版(以下「実教」)、オーム社(以下「オーム」)、コロナ社(以下「コロナ」)と山下明さん(以下「山下」。これらは文部科学省の正式な教科書出版社略称)の4者で、教科書番号としては9種類(上下巻は別種類扱い)となります。 というのも、実教、コロナは2巻構成と「精選版」「わかりやすい」1巻構成を同時刊行し、オームは2巻構成のみ、山下は1巻構成のみ発行していて、これで全9種類というわけです。 なお、判型は実教2巻構成と山下がA5、他は全てB5です。
山下『電気基礎』は146ページ構成(索引を含み、はしがき・目次・奥付を含まない。以下同じ)で、新学習指導要領の1項目1章で5章立てとなっています。なおページ数だけで見て一番多い実教2巻構成は全部で514ページです。 本当にTeXで組んだそのままのような構成で、学習者の興味を引くようなコラムや人物名紹介も無く、まるで大学の教科書のような版面になっています。回路図も実体配線図も最低限、学習のポイントマークは2種類です。 また、他の教科書は表紙裏にギリシャ文字の読み方から重要公式まで色々書いてあるのですが、山下は「白表紙」だからなのか、巻頭にSI接頭語とギリシャ文字、アルファベットの字形提示が1ページのみあるだけです。表紙デザインも何もしていません。 あと、山下が他と大きく違うのは、演習問題の解答が教科書の中にありません。指導書は教科書センターに置いていないので発行されているのかどうかは分かりませんし、解答は多分採択して発行者に連絡すれば提供を受けることが出来るのでしょうが、こういう事例もあって、現状では指導者も学習者も多少大掛かりな準備・予習が必要かと思います。 ただ、こういった「素っ気なさ」は、裏を返せば「学習に集中できる」のでは無いかと思うところです。横に注釈を書くのは良し悪しだし…。
私は電気について半ば挫折してしまったので、ざっと見ただけで教科書全体の善し悪しが評価できないのですが、ベンチマークとして複素数とベクトルの取り上げる順番について比べてみたところ、実教精選版だけが複素数からベクトルに行き、後はベクトルを先にとりあげて複素数を導入するかたちになっています。山下ではベクトルの後にLCR各素子における意味を詳しく説明しています。交流の電力についてはオームのみベクトル・複素数のすぐ後に取り上げていました。肝心の山下はベクトル・素子の後だったような…(メモするのを忘れた)。 ちなみに新学習指導要領によると、数学では複素数は「数学II」、複素数平面は「数学III」、ベクトルは「数学B」で指導することになっています。 余談ですが、オームは他の2社と上下巻の分割点(実教・コロナは交流の途中で分割、オームは電気計測を先行させ、交流を下巻に全部押し込む)が違っていたりして、色々考え方があるのだなと感じました。
新学習指導要領では、電気基礎という科目で5分野15項目、指導要領 [mext.go.jp][注:pdfの148ページ〜]で40行ぐらい、解説 [mext.go.jp][注:pdfの71ページ〜]で4ページのボリュームですが、これらの公表文書を読み込んで、学習者に内容を叩き込むための内容を考えるのは大変な作業じゃないかと思います。 大学で学業をしながら検定教科書を執筆編纂、検定受検されて合格した山下明さんは、本当に凄い事業を一人で成し遂げられたんだと思います。(「はじめに」にはちょっと面白いことが書いてあるのですが、これは実際に現物を見ていただければと思います。あんまりネタバレしたくないもので。)
「ストイックな教科書」も良いものだな…と思いました。−−−−− 山下『電気基礎』交流の章の一番初めの言葉「スタインメッツが確立した交流理論は…」のくだりに色々考えさせられたのでID
より多くのコメントがこの議論にあるかもしれませんが、JavaScriptが有効ではない環境を使用している場合、クラシックなコメントシステム(D1)に設定を変更する必要があります。
犯人はmoriwaka -- Anonymous Coward
見本を見てきました(長文注意) (スコア:1)
近くに教科書センター(県立の教育関連施設)があるので行ってみました。
先生の人事の季節なのでさぞ忙しかろうと思ったのですが、どちらかといえば研修機能が主体なのでかえって施設内は静かな状況でした。
名簿に名前と所属(もちろん学校名ではない)を書いて早速図書室で閲覧しました。複写サービスも貸し出しも無く、カメラで撮るのももちろん憚られるので、メモ取ってきました。
(教科書センターは県によって設置状況が色々なので、教科書センター一覧 [mext.go.jp]を見てアポイントを取って行った方がいいと思います。)
今回は平成24年検定の「電気基礎」を色々見比べてみました。
発行しているのは実教出版(以下「実教」)、オーム社(以下「オーム」)、コロナ社(以下「コロナ」)と山下明さん(以下「山下」。これらは文部科学省の正式な教科書出版社略称)の4者で、教科書番号としては9種類(上下巻は別種類扱い)となります。
というのも、実教、コロナは2巻構成と「精選版」「わかりやすい」1巻構成を同時刊行し、オームは2巻構成のみ、山下は1巻構成のみ発行していて、これで全9種類というわけです。
なお、判型は実教2巻構成と山下がA5、他は全てB5です。
山下『電気基礎』は146ページ構成(索引を含み、はしがき・目次・奥付を含まない。以下同じ)で、新学習指導要領の1項目1章で5章立てとなっています。なおページ数だけで見て一番多い実教2巻構成は全部で514ページです。
本当にTeXで組んだそのままのような構成で、学習者の興味を引くようなコラムや人物名紹介も無く、まるで大学の教科書のような版面になっています。回路図も実体配線図も最低限、学習のポイントマークは2種類です。
また、他の教科書は表紙裏にギリシャ文字の読み方から重要公式まで色々書いてあるのですが、山下は「白表紙」だからなのか、巻頭にSI接頭語とギリシャ文字、アルファベットの字形提示が1ページのみあるだけです。表紙デザインも何もしていません。
あと、山下が他と大きく違うのは、演習問題の解答が教科書の中にありません。指導書は教科書センターに置いていないので発行されているのかどうかは分かりませんし、解答は多分採択して発行者に連絡すれば提供を受けることが出来るのでしょうが、こういう事例もあって、現状では指導者も学習者も多少大掛かりな準備・予習が必要かと思います。
ただ、こういった「素っ気なさ」は、裏を返せば「学習に集中できる」のでは無いかと思うところです。横に注釈を書くのは良し悪しだし…。
私は電気について半ば挫折してしまったので、ざっと見ただけで教科書全体の善し悪しが評価できないのですが、ベンチマークとして複素数とベクトルの取り上げる順番について比べてみたところ、実教精選版だけが複素数からベクトルに行き、後はベクトルを先にとりあげて複素数を導入するかたちになっています。山下ではベクトルの後にLCR各素子における意味を詳しく説明しています。交流の電力についてはオームのみベクトル・複素数のすぐ後に取り上げていました。肝心の山下はベクトル・素子の後だったような…(メモするのを忘れた)。
ちなみに新学習指導要領によると、数学では複素数は「数学II」、複素数平面は「数学III」、ベクトルは「数学B」で指導することになっています。
余談ですが、オームは他の2社と上下巻の分割点(実教・コロナは交流の途中で分割、オームは電気計測を先行させ、交流を下巻に全部押し込む)が違っていたりして、色々考え方があるのだなと感じました。
新学習指導要領では、電気基礎という科目で5分野15項目、指導要領 [mext.go.jp][注:pdfの148ページ〜]で40行ぐらい、解説 [mext.go.jp][注:pdfの71ページ〜]で4ページのボリュームですが、これらの公表文書を読み込んで、学習者に内容を叩き込むための内容を考えるのは大変な作業じゃないかと思います。
大学で学業をしながら検定教科書を執筆編纂、検定受検されて合格した山下明さんは、本当に凄い事業を一人で成し遂げられたんだと思います。
(「はじめに」にはちょっと面白いことが書いてあるのですが、これは実際に現物を見ていただければと思います。あんまりネタバレしたくないもので。)
「ストイックな教科書」も良いものだな…と思いました。
−−−−−
山下『電気基礎』交流の章の一番初めの言葉「スタインメッツが確立した交流理論は…」のくだりに色々考えさせられたのでID