although most factors showed non-significant between-study heterogeneity, it was significant for some factors, suggesting that differences in epidemiological characteristics (eg, the rate of severe baldness or CHD) (中略) contributed to the heterogeneity to some extent.
原因と結果の取り違え (スコア:0)
原因と結果を取り違えているのでは? 相関関係と因果関係は異なる
心臓病およびその兆候のある男性は禿げる可能性が高い~が正しい
Re:原因と結果の取り違え (スコア:1)
論文本文を斜め読みしました。
「原因と結果」に関して言えば、彼らはあくまでハゲと冠動脈疾患の間に相関があるということを主張しており、どちらが原因とも結果とも言っていません。「ハゲが冠動脈疾患の原因となっている」との主張は注意深く避けているように見えます。
つまり筆者らも、何とかして毛を増やしたら冠動脈疾患の予防ができるだろう、なんてことは一切主張していません(ハゲが原因という因果関係を証明するためには実際に増毛する群としない群に分けて追跡する比較試験とかが必要です)。
高血圧や喫煙などの明らかかつ直接的なリスク因子が、ハゲのリスク因子でもあるので、恐らく「喫煙/男性ホルモン/インスリン/高血圧等の要因が、冠動脈疾患のリスクとハゲのリスクの両方に影響している」という、その辺の機序が考えやすいのでしょう。
その他、この論文で指摘できる弱点(として筆者らが挙げているもの)でめぼしいのは、
・地域差による見かけ状の相関を否定できない(つまり専門用語でいうところの交絡)。ハゲが多くて(肥満が多い等別の原因で)冠動脈疾患も多いお国柄のA国と、ハゲが少なくて冠動脈疾患も少ないお国柄のB国のデータを、メタアナリシスでまとめて一緒に解析した場合、実際はハゲ自体は冠動脈疾患と何ら関係なくても、見かけ上はハゲと冠動脈疾患の間に相関があるように見える可能性がある。
・薬剤などの影響は一切考慮されていない。ハゲ自体が悪いのではなく、それらの人が使っている毛生え薬や血圧や糖尿病の薬が冠動脈疾患のリスクを増やしている可能性については、この論文自体では考慮されていない。
Re:原因と結果の取り違え (スコア:3, 興味深い)
私も斜め読みな上、メタアナリシスに関しては詳しくないのですが、少し補足を。
>・地域差による見かけ状の相関を否定できない
これを減らすことがメタアナリシスの目的の一つなので、どういうことなのかなと思ったのですが、著者らが言うところの"selection bias"のことでしょうか。
今回の場合は交絡や層化というよりも、英語文献のみに頼ったためそれ以外の言語の文献が乏しいことがこの研究の限界である、という意味だと思います。
>・薬剤などの影響は一切考慮されていない。
こちらは正確には、メタアナリシスという論文の性格上、元の報告が記録していない因子については知りえないということですね。
この点に関してはハゲの基準が研究によって同じとは限らない(脱毛症を含むかどうかなど)ことと同様です。
また、因果関係についてはこれまでに提唱されてきた仮説を紹介する程度であるのですが、コホート研究(ハゲだった人がその後病気になるか)とケースコントロール研究(病気になった人がハゲかどうか)の両方について解析しており、特にコホート研究でも相関が見られることからハゲが(若ハゲも)将来的に心臓病になるリスクの高さを示す指標となることを示しています。
その意味でハゲは心臓病の原因ではありませんが、先行指標となりうることは示されています。つまりハゲの人は心臓病に気をつけてね、とは言えるわけです。
kaho
Re: (スコア:0)
>"selection bias"のことでしょうか。
そこではなくて、直後の
を見て交絡の話かと思ったのですが、ではなく診断基準不統一などの話をしている気もします。すみません。ただ、メタアナリシスをすると上記のA国B国の例のような話って自然に防げるのでしょうか。計算外の交絡因子の除去は所詮不可能だと思っていたのですが…。